プリズムマッスル☆鬼邪殺戮怒≪キャサリン≫におまかせっ! 1・(おまかせはしたく)ないです
女児向けアニメと言えば、現在は魔法少女がメインストリームでしょうか。
例えば暴力で全てを解決する(語弊だらけの表現)アニメシリーズです。
ですが小さな妖精的な謎生物と交流するタイプのやつも・・・ジャンル名とか分からないですが、ターゲットが近いものとして今でも脈々と受け継がれています。
今回の転生先はそんな感じでした。
この手の作品は詳しくはないんですけど、今の私は主人公っぽいポジションみたいです。
前世の記憶を取り戻したところ小学五年生の女の子「せにあ」になっており、既にパートナーとなる妖精的なナニカと出会ってそこそこ経ったぐらいでした。
そしてその妖精と言うのが・・・。
『マイマスター、明日の学校の準備は終わりましたか?』
メイドロボかよ。
ピンクのフリフリメイド服に透明な翅を生やした身長30cm程のこの可愛らしい生き物は昨日まではフワミンと名乗っていました。
それで私と同じタイミングで前世の記憶(ロボのそれを前世と呼ぶのなら)を取り戻し、ロボミンと改名しました。
「・・・そう言えばロボミンは流石に内蔵武装とか持ってこれてないよね?いや一応念の為」
『元の性能の武装は持ち込めていません』
「ちょっと待とうか、不穏極まりないのが聞こえたんだけど」
『実弾武器は植物の種子を魔力で圧縮した空気により高速で撃ち出すものになっており性質上の有意な変化は認められないのですが、それ以外は細菌や植物性の毒性物質を噴霧するものに大幅に変質してます』
「・・・オーケイ、私が許可しない限り使わない感じで行きましょう」
絶対禁止にしなかったのは、まあ念の為です念の為。
念の為で済め(祈)。
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「突然ですが、今日は転校生を紹介します」
担任の先生が朝っぱらに放ったその一言に、私の体は戦慄と共に固まりました。
震える手は自分でもわかるほどに冷たくなり、先生の話す一言一言が気色の悪いエコーが掛かって上手く聞き取りにくい。
ついに。
ついにこの日が来てしまったのです。
それも前振りもなく突然に。
思えば、今回の転生はトラブルが無さ過ぎたんです。
いやちょっとした事件は毎週のようにあったけど、最終的にはロボミンがじっさいあんぜんであぶなくない幻覚剤を散布して取り敢えず何とかなってきました。
この順調さも、今回まだヤツが降臨してなかったからに他なりません。
「ど、どうしたのせにあちゃん?顔まっさおだよ?」
「ダ、ダイジョーブダイジョーブぺぷこちゃん」
くりくり眼鏡の友達ぺぷこちゃんに心配かけまいと私は何とか取り繕います。
しかしそれも長くはもたないでしょう。
眼光だけで人を射殺せる殺気を纏った強大な筋肉男が転校生として紹介された暁にはもう教室がどうなるか分かったモンじゃないですし。
え、今回は予知魔法で見なかったのかって?
何て言うか・・・未来を知るのって、怖くないですかね?
そうこうしているうちに人の気配がドアの向こうに出現・・・アレ、何か思ってたのと違う。
現れたのは(今の)私と同じ小学五年生とも思えない、息を呑むような人間離れした、と言うかこの世の物とも思えないレベルの【種族:美少女】でした。
「皆さま初めまして、闇乃宮=パンデモニア・デスノと申します。日本人の祖母を頼りパンデモン王国から越してきました。日本については分からないことだらけですが、それでも皆さんと仲良くしていきたいと思っています。よろしくおねがいします」
完全生命体から出てきた完璧な挨拶に、クラスはどよめくどころか全員見とれて声も出ない状態になりました。
僅かに茶色がかった前髪ぱっつんの艶やかなロングヘアーがふわりと舞い、それがまた私の知る凶悪なチャームの魔法並みの何らかのナニカを振りまきます。
そして姿勢された座席は、やっぱりと言うかなんと言うか私の隣でした。
まあなんつうか、この子アレですね。
鬼邪殺戮怒とは違う理由でアレなアレですね。
一見完璧超人だけど心に闇を抱えて、主人公の妖精とは敵対する妖精と契約して悪の手先となって暗躍しちゃうタイプの子ですね。
ラスボスになるか途中で仲間になるパターンかはわかりませんが。
つーかデスノちゃん、長い名前のどこを切っても闇属性のワードになっちゃってるんですがこのやろう。
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「さてロボミン君。鬼邪殺戮怒の野郎が現れるポジションとしてトップクラスに有力な人物がそうでなかったわけです」
『肯定します』
「となるともう一つの可能性が本命となるわけですが、何かわかるかね?」
『イエス。マスターの今までの経験に照らし合わせるとやはり、悪の妖精となる可能性が最も高いと思われます。別の人物になっているケースもあり得ますが、最も警戒すべきこのケースに備える事を提案します』
警戒すべき、そう警戒すべきなんです。
ロボミン達妖精はプリフェアという種族です。
そんなプリフェアは、契約してパートナーになった人間と精神的に影響を与え合ってしまうらしいのです。
私は転生者だからなのか、それとも相手が顔見知りのメイドロボだからなのか何の影響も受けてませんが。
それはともかく、つまり世界滅亡クラスになる最悪のシナリオとして・・・デスノちゃんの闇堕ち精神と鬼邪殺戮怒の無限前向きマッスル志向が悪魔合体するというパターンが存在し得ると言う事です。
・・・いや、いくらデスノちゃんが天然で常人の域に収まらないとしても鬼邪殺戮怒の方が呑まれるとは思っていませんよ?
しかし万が一、億が一の事態は油断し切った時に発生するものなのです。
ちなみにデスノちゃんが闇堕ちルートに乗っているのはほぼ確実です。
ロボミンが生み出した植物の蔓をLAN端子にブッ挿すと言う、魔術と科学が交叉した超時空ハッキング=ジツの前ではこの世のセキュリティなど濡れたオブラートも同然です。
実に多くの情報が得られました。
現在パンデモン王国は継承問題で揉めに揉めているのはニュースでもやっていますが、裏では相当に血なまぐさい闘争が起こっています。
そしてデスノちゃんは王家に連なる隠し子であり、余りにも出来が良すぎるので期待の目と殺意が同時に注がれてしまい日本に逃げてきたんだとか。
勿論彼女の存在は公になっていない、どころか機密扱いのようです。
私は頭を抱えました。
「あの・・・キツすぎるだろこれ。世界死ねぐらい思っててもおかしくない目に何度も遭ってるって考えるのが妥当だわ。あの国の王家って制度上の権力そのものは無くても各財界や世界的大企業に太っといパイプある感じで、握ってる実質的な実利は半端なIT長者なんか寄せ付けないっぽいしね」
『おかしくないと言うより、周辺で念入りに痕跡を消されていた関連事件がいくつも存在します。中には死者はおろか軽傷者も出ていないはずのちょっとした事故に情報機関が動き、それを境に闇乃宮=パンデモニア・デスノの両親が世界のどこにも確認できなくなったというものも含まれます』
「最悪だ・・・普通に考えて完全にアレされてんじゃん。女児向け風世界観に期待して生きてる可能性も低くないにしても、デスノちゃんが知らなきゃ絶望暴走コンボは止まらねーわ」
多分本来の筋としてはユウジョウ交流でデスノちゃんの絶望に凝り固まった心を融かす感じなんでしょうが、最早そのシナリオには期待していません。
だって、まだヤツという最悪の不確定要素が姿を現してないんですから。
1話で終わる短い話だと思ってた時期が俺にもありました




