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思惑

-総統官邸‐

「失礼します。空軍司令部から来ました新塚です。空軍長官から伝令を申し付かっております。」


やっときたか...この時間に来た、ということは不審船に関して情報が回ってきた、ということだろう。


「わかった。それで大原君は何と?」

ここで有力な情報が来てくれると嬉しいのだが...

「はい、現在我が国の領海を侵犯している不審船ですが、『獣国』の『外交団』、ということが確認されました。海軍に依頼し、現在調査団が派遣され事情聴取を行っております。」なるほど、獣国か…はっきり言って、面倒な相手が来たかもしれない。

というのも、我が国は現在『一種族』...つまり、人間が治めている国だ。それに対して、獣人というのは歴史上、人種に差別されてきた種族だ。もし、『人間の治める国』に『人間に虐げられてきた種族の国』の外交官が拘留されたらどう思うだろうか。しかも、外交官というのは決まって貴族といった位の高いものがつく…

「軽く外交問題か…」



私は最初、獣人が来るとは思っていなかった。せいぜい来た奴らに対して『保護し、厚くもてなし、そして他国との交渉の仲介を求める』程度のことを考えていたからだ。

(考えが甘かったか…)


「まずはその外交団を保護してくれ。その後、私が直々に出向き彼らに事情を聴く。また、このことに関しては議会でも取り上げ、臣民に向けてもラジオ放送を用いて概要のみでいいから放送してくれ。我々が秘密裏に問題を解決するにも如何せん無理がある。ならば国全体で国賓として向かい入れ、好印象を与えた上で交渉に入ろう。それでは各省庁へ連絡頼むよ。」

秘書のにそのことを伝えると一礼し、退室していった。連絡に来てくれた新塚君にも退出するよう促し、私は海軍省への内線をつなぐ。

「もしもし、秋津だ。多田君にお願いしたいことがあってだね、これから遠洋航海演習があるだろ?そこの………」

 受話器の向こうの彼は相当驚いているようだ。だが、今これをやっておけば我が国は全面的に獣国に対して優位に立てる。


ん?何をするかって?まぁ、簡単に言えば江戸幕府がアメリカにされたのと同じことだよ(笑)…



‐獣国外交団‐

 私はこの外交団の団長だ。貴族の次男坊として生まれ、出世なんてありえないと思っていたが、このような大役に就くことが出来るようになるほど出世することができた。

 しかし…

「……なるほど。では、商業連合から帰ってくる途中で海賊に襲われ、その結果ここまで逃げてきたと…」

あぁ、情けない…

「はい、そのとおりであります。ただ、我々を襲った海賊なんですが、身に着けていた鎧やサーベルがサッと確認したところカムールのものでした。盗品、ということも考えられますが現状、カムールが一部の海賊を雇い入れ他国の船舶を攻撃しているなどの噂から、我々もその標的にされたのだと思います。」

あぁ、誠に情けない。今、私が話したことが敵についてわかる全てだ。普通ここまで情報を流すなんてあり得ないが、今我々が置かれている状況では仕方のないことだ。


 いま、我々は『八島帝国』という国にいる。はっきり言って私はこの国を全く聞いたことがなかった。しかも、この国は『龍の巣』の島に立地しているのだ。はっきり言ってあり得ん。最近はストレハインの勇者に関してのニュースが主だったが、もしかすると『八島帝国』の発見はそれ以上にニュースになるかもしれん。

 また、この国の技術というのは『魔術』とはかけ離れた位置にあるものだと考えられる。何度か我々の船を見に来たワイバーンにしては無機質なものや、帆もなく、魔力機構もなく、それでいて蒸気機構を搭載しているには速力が早すぎる大型船舶、はっきりってこの国の力は未知数だ。これまで全く情報が回ってこなかったことから独自に文化が発展してきたんだろうが、これは全世界の脅威となりうる。それこそ彼の帝国が小さく見える程のだ。

(情報が欲しい…)


「それでは、以上で質問を終わります。もうすぐ港のほうへ着きますのでそれまではごゆっくりください。また、我が国の総統閣下が面会を申し出ております。基地につき次第移動しますのでご承知ください。それでは失礼します。」


あぁ、窓から日の光が差し込んでくる。(窓から外が見えるようになっていること自体おかしいが…)

ふと、我々が寄港するであろう港を見た。ぼんやりと影が見える。






ジッとその影を見つめ、その影をはっきり確認したところで私は戦慄した………

また遅くなって申し訳ありません。このように亀より遅いペースですが、温かく見守っていただけたら幸いです。

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