撃破!撃破!撃破!
今、我々の頭上には昼だというのに流星が降っている。腹には重くのしかかるような重たい音が響き、足からはびりびりと振動が伝わってくる。
「今はどんな状態だ」
問う
「現在、火力を集中し、徹甲弾から通常弾に切り替え運用しています。目標に目立った動きはなく、あと少ししたら彩雲を出し確認させる予定です。」
よし、作戦通り。思った以上にドラゴンも粘っていたが、現代兵器の前にはただの小さなトカゲだったようだ。最初は身をよじったり、必死になって翼を開こうとしていたのだろうが、それも次第に弱まり、少し前からそれもなくなった。今もたまにぴくぴくするだけでほとんど反応がない。
しかし、その一方でこちらもかなりの弾薬を使った。それだけ相手も耐えたということだ。今回は相手の位置が最初から分かり、超遠距離からの射撃だったから被害は一つもなかったが、もし相手が奇襲を仕掛けてきたら危なかったかもしれない。
(早急に高性能レーダーの換装が必要かもしれない)
「総司令、敵の抵抗もほぼなくなったようです。砲撃を中止し、翔鶴より彩雲を発艦させ、状況を確認します。」
「わかった、くれぐれも安全に、慎重に頼むよ」
「わかりました、失礼します」
山口君が出ていく。しばらくすると砲撃がやみ、頭上を彩雲らが飛んでいく。
(これが戦闘か...)
確かに私は人をあそこで殺したが、あれが続き人々を巻き込めば戦争になるのだろう。この世界の国々は如何せん幼い。ある国は他民族に対して排他的であり、またある国は神の教えを重視し、またある国は孤立しながらもただ一国のみで多に立ち向かう。前世界もそうだが、結局のところ人の意識が統一され国家が成立するなんてありえないと思う。そうなればただの機械の集合体であろう。
人が競い合うことで資本主義は形成され、人々が平等を望むことで社会主義が形成される。しかし、社会主義は政府下の強い弾圧と疲弊によりほぼ崩壊し、資本主義は発展の一方で貧困と格差を生んだ。これら二つを合わせ、寛容な社会を、といっても結局のところ何処かに亀裂が生まれるのは確かだ。それがこの世界においては大きすぎる。全く違う思想、主義が混在する中で自らが王であり、人々が国家として成り立つためにはそれがぶつかり、闘って決めるしかないのだ。それは武力衝突でもあり、話し合いという言葉の戦争でもあり、経済戦争でもある。思ってみれば前世界において勃発した世界大戦というのも、社会主義やファシズム、資本主義、領土的野心その他いろいろな思い、考え、思惑が戦争という形で発散されていたのかもしれない。
(もしこの世界でその思想の衝突が起きたらどうなるのだろうか...)
そんなことを考えていると、山口君が入ってくる。
「翔鶴艦載機彩雲からで『敵完全沈黙攻撃ノ意思ミラレズ我帰艦ス』とのことです。輸送艦を先行させ上陸し、状況を確認させることが良いかと」
「わかった。まだ何が割るかわからない、警戒を厳とせよ」
「了解」
初の対魔物戦だったが、完全にこちらの勝利で幕が下りそうだ。されど、過去の例を見てわかるように、慢心したものは負ける。気を引き締めなくては。
...最後に何か来るとかないよな?
最後、完全にフラグですね...
次でなぜこの島々に入植が進んでいないかわかると思います。
今後とも本作をよろしくお願いします。
行などについてこのままでよろしいでしょうか?




