初の部隊召喚
「ふう、終わったか」
一気に体中の緊張が解けていく。なにせ、初めて人を殺したのだ。緊張しないはずがない。
こいつは四式自動小銃、海軍の半自動小銃だ。連発できたのもこいつのおかげだ。
肩から垂れる血を見てきられたことにようやく気付き、処置を始める。
しかし、人を殺すというのは案外あっけなかった。引き金に指をかけ、銃口を相手に向けるまでは心臓の音がうるさくなっていたというのに、一人殺せば逆に穏やかになっていた。
(とうとう、やっちまったか...)
まだ少し信じられない、よく人を殺すと吐き気がしたり、震えが止まらないというがそうでもなかった。
自分自身を疑いながら、亡骸をあさる。こいつらは下のほうとはいえ、王国の兵士だ。役立つモノを持っているかもしれない。
王国の鎧 剣 少量の金銭 保存食と水筒 国王からの書 薬(麻薬だと思われる)王国兵士の証明書
...結局、出てきたのはこれらだけだった。この中で使えるのは金銭と国王のサイン入りレター、証明書ぐらいだろう。
(しかし薬か、大体危ない薬の出回る国家は政治がうまくいってなかったりするが...この国もきっとそうなんだろう)
さて、これから少し東へ進む。ある程度兵力を整えるために、平地へ出ないといけないからだ。森の中で召喚を始めたら面倒だろう。
そうと決まれば、車(装甲車)か何かを出そう。クーゲルパンツァーなんて珍兵器でもいいが、とりあえず
安心と信頼性のドイツ製、Sd.Kfz. 234 234/2だ。武装もあるっちゃあるがどうせ森を抜けるだけなのでこれでいいだろう。
~移動中~
ここらへんでいいだろう。ブレーキをかける。大体あの馬車の場所から一時間30分ほど東に行ったところだ。免許なんて持ってないので運転できるかと乗ってから思ったが、なぜか動かすことができた、というか大体の知識が勝手に頭に流れ込んでくる。(たぶん、ルーちゃんが何かしてくれたのだろう)
外に出る。海岸線に近いからか少し潮の香がしてくる。海ももう見える場所で、少し行けばすぐに
とりあえず、まず一個中隊の召喚だ。艦隊を召喚するにも、あれだけの規模であれば体力が相当いる。
その間の護衛やら散策に使うつもりだ。
「召喚」
あたりが明るく光り、それが収まったころには200人ほどの部隊が現れた。
小銃、重機関銃、軽機関銃等を持った歩兵部隊と、装甲車を持つ機械化歩兵が主だ。
「佐竹 紀夫以下200名参上しました。これより秋津指揮官の指揮下に入ります」
一斉に敬礼がされる。返礼をし、中隊各員に説明を始める。
「兵士諸君、今回は私の召喚に応じてくれてありがとう。私の名は秋津 明人という。
私はこれからこの世界に名を響かす指導者の一人になろうと思う。そこで、君たちにはこれから造る国の刀であり、盾となってもらう。命を落とすことがあるかもしれない、手足を失うことがあるかもしれない、友や恋人を
失うかもしれない。それでも、私の夢についてきてくれるか?」
そういうと、一斉に拳が上がる。この広い平原に万歳万歳万歳と声が響く。
「ありがとう、君たちのその信頼にこたえられるよう、私も命がけでやらせてもらう。
これからについてだが、この後輸送船に乗ってここからまた東に2.5海里ほど行った島に向かう。そこで次に艦隊を編成、その後また東へ進み、建国予定地へ向かう」
「指揮官、質問よろしいでしょうか」
「はい、なんでしょう?」
「建国予定地、と言いましたが、そのような場所があるのでしょうか」
実をいうと、知らない。というか聞いただけだからだ。ルーからの情報だから信用はできるしどうやって撮ったのか航空写真ももらった。詳細情報も見せてもらったが、立地としては最高のものだった。
しかし、女神から聞いたなんて言っても...とも思ったので、とりあえず適当なことを言っておく。
「それに関しては、先に飛ばした長距離航続可能な無人機を用いて確認した。また召喚することは当分無理だが、十分な情報が確保できている。各部隊長には資料を配布するので、よろしく頼む」
「ありがとうございます」
かなり苦し紛れの嘘だったが、セーフだったようだ。
「ほかに何か質問はあるか?
それでは、1435に時刻整合を行う。1分前、
三〇秒前
五秒前よーい
三、二、一
時間、1435、時刻整合終わり。
1530まで各員周辺警戒、一個小隊は私の護衛につけ。護衛小隊を除く指揮権を一時的に佐竹 紀夫中隊長に委任。
それでは、解散」
そういうと、事前に決めておいた(召喚前の入力)編成で部隊が散らばっていく。問題なく機能しているようだ。
さて、輸送艦つくるか、そう思い海の方向へと歩いてゆくのだった。
基本日本軍の兵器なのですが、今回はドイツ第三帝国の装甲車を使わせていただきました
かなり詰め込みましたが、次には軍艦建造、出航まで行くと思います




