第4話
説明などなどまだ続きます。
今回は道具屋のジョンが登場。
「依頼もいろいろあるんだなー。」
ギルドで冒険者の登録も終わり、どんな依頼があるのか探してみることに。
「えー、薬草採取、街道の整備、ゴブリンの討伐…
ゴブリンってあのゴブリンだよな…
あとはレッサーウルフの散歩?」
依頼のボードには多種多様な依頼が貼ってあった。
ちなみにレッサーウルフの散歩は町長の飼っている魔物の散歩でありFランク相当らしい。
魔物がペットって、町長スゴイ…
「薬草採取がオススメって言ってたっけ。
支度金もあるから買い物とかしたいけど、
試しに一仕事受けてみますか。」
報酬50Gの薬草採取の依頼を受けてみることに。
ボードの依頼書を剥ぎ取って受付のエルザに渡す。
「この依頼受けたいんですけど。」
「はい、ランクGの薬草採取ですね。
薬の調合に必要な薬草を10株刈り取ること。期限はなし。
根っこは残してくださいね。そこからまた生えるので。」
エルザは依頼書に受付のハンコを押してカウンターの下にしまう。
薬草と言われても想像が付かないので聞いてみる。
「あの、薬草ってどういった感じの草ですか?」
「えぇと、魔力を多く含んだ草ですね。
手首から指先くらいの長さで、緑色で肉厚のトゲトゲしい葉っぱをしています。」
エルザが特徴を説明してくれた。
アロエの葉のようなものだろうか。
「そう言えば魔力って何ですか?」
最初から気になっていたのでついでに聞いてみた。
「この世界全てのものに宿る力と言われています。
魔法を使う為の力ですね。
生命力の強さとも関係しているとか。」
「へぇ。魔法もあるんですね。
俺でも魔法使えるんですか?」
「魔力を感知できるようになれば使えるかもしれませんね。」
「はぁ。それってどうやって?」
「魔法使いの方から修行を受ければ良いですよ。
どのくらいかかるかは人それぞれみたいですけど。」
どうやら魔法を使えるかどうかは修行次第らしい。
すぐ習得する人もいれば、一生かかっても無理な場合もあるとか。
一般の人はそういった事情から魔法は使えない場合が多い。
異界からの転移者は素質ありだという話も聞けた。
「そんなところでしょうか。
あ、薬草採取の方はバッグと刈り取る道具が必要ですので用意してくださいね。」
エルザは魔力の話が終わると急に依頼の話に戻った。
「あー、道具かぁ。買い物もしないとだな。」
「あと、慣れるまでは魔物に遭遇したら逃げたほうが良いですよ。」
「そうなんですか?」
「えぇ、冒険者の死亡率的に駆け出しが一番危ないので。
ゴブリンにレッドボア、レッサーウルフとかもGランクでは危険です。
薬草集めに集中してて、後ろからゴブリンにやられるとかも正直笑えません。」
エルザはさらっと口にするが、こちらは肝が冷える。
周囲には十分注意して依頼をこなそう。
エルザにお礼を言ってギルドを後にした。
次は道具の調達と宿の確認かな。
大通り沿いに皮袋の看板を見つけた。
「ここが道具屋だっけな。」
お店自体はそこまで大きくないがしっかりした建物だ。
扉を押して入ると鈴が鳴った。
正面の奥にカウンター、左右に商品棚が並んでいる。
「いらっしゃい。」
カウンターの下からのそりと男が出てきた。
ローブを羽織った不健康そうなこの男が店主らしい。
赤茶色の短髪に無精ひげ。目の下には隈がある。
「お、お客さん見ない顔だな。俺は店主のジョン。
この道具屋は、回復薬からちょっとした魔道具まで、
露店じゃできない品揃えだ。」
「これはどうも、タケシって言います。
バッグと採取用の道具を探してるんですけど。」
「ほぅ、駆け出しの冒険者ってとこかい。」
「わかるんですか?」
「あぁ、農具なら普通は武器屋に頼むし、
普通のバッグならこれまた露店で十分だ。
おおかたギルドの姉ちゃんにオススメされたってとこだろ。」
「えぇ、まぁそんなところです。」
「よし、ここはアレだな。"冒険初心者セット"これで決まりだ。」
ジョンはそう言うとカウンターの下から背負い袋を取り出した。
「これは?」
「おう、冒険者に必須の魔法のバッグと採取用ナイフのセットだ。
回復薬1個のおまけつきで50G。これは破格だぞ。」
にやりと笑いながらジョンは勧めてくるが、
貨幣価値がわからないのでいまいち理解できない。
「そうなんですか?」
「バカヤロゥ、定価で言えば魔法のバッグだけで50Gだ。
ナイフが20G、回復薬が10Gの合計80G。十分お得だろ。」
「わかりました。じゃあ、それで。」
「まいどあり。」
ジョンの熱に押され買ってしまったが、どうやらお得なようだ。
残金50Gで宿に泊まれるだろうか、
そんな事を考えながら道具屋を出た。
まだ冒険に出れません(泣)
次は宿屋の予定です。