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ネオニートの日常は魔科不思議。  作者: 如月奏
第一章 エルフが転移してきた。なので土台を固めようと思う。
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第四話 中二病のバカ二人


 ぷはぁ、うめぇ。新発売してた、このアップルサイダー結構いけるじゃん。自販機限定なのが残念だ。


「ネタルは相変わらずコーラゼロだな。たまには新しいもん飲んだらどうだ?」


「僕には僕のコダワリがあるんだよ〜」


 そう言ってネタルはコーラゼロを飲み干す。その後ある遊びをするため、カメラを用意して録画を始めた。


「炎よ。暗黒に包まれし炎よ。我の力を糧とし、光さえ堕とすその闇の業火で焼き尽くせ!!」


 ⋯⋯こんなことをしていて恥ずかしくないのかって?ふっふっふ⋯⋯それはもちろん恥ずかしくない!!何故なら今は平日の午後一時半。こんな時間に人が来るとでも?

 それはさておき⋯⋯しっかり俺の映像撮れてるかな?


「バッチリだよ煌夜。これならド派手な演出ができる」


 俺にはわからんがネタル曰く、バッチリらしい。この映像になんやかんや編集して魔法っぽくみせる。

 何?声は後でつければいい?

 それは雰囲気だ。俺にとってはスポーツの試合をする前の円陣。気合を入れるための詠唱なのだ!!


「すいませーん」


「は、はひ!?」


 背後から見知らぬ女性から声をかけられてしまった。まさか⋯⋯見られていた?

 煌夜がネタルの方を見ると、瞬間移動をしたように自販機の前に立ち、ドリンクを選ぶふりをしていた。

 おのれネタルめ⋯⋯そんなことよりどうしたものか⋯⋯声をかけられたから多分ここまで五秒ぐらい。振り返らないと礼儀がない奴だと思われそうだし、返事をするか。


「あの⋯⋯何か用ですかっ!?」


 え?なんで銀髪の外国人がこんなところにいるんだ?そしてなんで俺に話しかけた?マジで意味わからん。

 ⋯⋯おいネタル。コミュ障なのはわかるがこっちばっか見んな。キモいぞ。

 煌夜が黙り込んでいると、銀髪少女はそのことも気にせずに話し始めた。


「貴方は今、何してたのですか?魔法?」


「ええ⋯⋯そうですが⋯⋯」


 やべぇ⋯⋯絶対痛い奴だと思われた⋯⋯。

 煌夜が冷や汗をかいていると、銀髪少女は予想外の答えを出した。


「魔法、成功しないみたいですね。お手本見せましょうか?」


 お手本?どゆこと?

 ⋯⋯ああ、この人も痛い人なんだろう。

 勝手に痛い人だと認定した煌夜&ネタルだったが、前言撤回しなければならなくなった。


「では見せますね?ここに木の枝を差して⋯⋯風刃(ウィンドナイフ)


 銀髪少女が木の枝を指差してウィンドナイフと唱えると、木の枝はスパンと真っ二つになった。


「マジかよ⋯⋯」


「これぐらいの初級魔法なら、魔力の微弱な『人間』でも使えると思いますよ?」


 煌夜&ネタルは生まれて初めて見た魔法に絶句していた。「これは偶然だ、魔法なんかじゃないはず」と現実逃避した。しかし、銀髪少女の発言で現実に戻された。


「なんでそんなに驚いているんですか!?普通の人間でも、これぐらいの魔法は使えて当然だから、ちょっとだけ皮肉をこめてみたのに⋯⋯」


 銀髪少女は二人の驚く様を見て困惑している。


「あの⋯⋯魔法なんて生まれて初めて見たんだが⋯⋯」


「僕もだ⋯⋯魔法なんてPCの中でしか見たことない」


 煌夜&ネタルは呟くような声量で、魔法を初めて見ることを銀髪少女に言った。

 しかし、三人共が意味不明だと思っている顔になった。


「え?」


「「え?」」



⋯⋯しばらくお待ちください。



「つまり⋯⋯この世界には魔法が存在しないと⋯⋯」


「そう言うこと、なっネタル」


「ああ、そうなるね」


 数分ぐらい話をして分かったことは、今俺の目の前にいるのがアリシアと言う名前のエルフで、三人の同士と別の世界からこの世界に飛んできてしまったと。


「その同士はどこにいるんだ?」


「あの船の中です。来てください」


 煌夜&ネタルはアリシアについて行ってた。そこにはアリシアが言った通り、三人のエルフがいた。


「おかえりアリシア〜」


「おお、その二人は魔法を使えるようになったのか?」


「さっき魔力を感じたからそうですよね?」


「この世界に魔法はないみたいなんだけど⋯⋯」


 アリシアが、言いにくいような様子でそのことを伝えると⋯⋯


「「「え?」」」


 見事にハモりました。



⋯⋯しばらくお待ちください。



「なるほど⋯⋯僕達の世界と違ってこの世界では魔法は存在しないんですか」


 アンヘルと呼ばれた青年が独り言を呟く。


「じゃあさっきの魔法はアリシアのだったのか〜」


 マイペースそうな女性、ロアが納得するように腕を組む。


「そんなことよりこれからどうすればいいだろうな?はっはっは」


 エルフにしてはガタイのいい男性、ダイアーが笑いながら笑えないことを言った。

 全然笑い事じゃないと思うけど。

 さて、異世界人か⋯⋯どうするべきだろうな。戸籍とか面倒そうだな。そのあたりはまあ適当になんとかするか⋯⋯。

 煌夜がため息をつきながらそんなことを考えていると、いきなり船の上からドシンと大きな音がした。船内にいた全員が確認しに船の階段を上がると、そこには緑色で人型で、気味の悪い生物が棍棒を持って襲いかかってきた。先頭に立っていたダイアーは思いっきり扉を閉める。すると、バンバンとドアバンしてる音が船内に響く。


「なんなんだあのキモい生物は!?」


「知らないの?あれはゴブリンって言う魔物なんだけど~」


「僕はあんなキモいゴブリン知らないよ!!」


「おいネタル、なんとかしろ!!お前今、撮影用に作った塩化ビニルの弓と鉛の矢を持ってるだろ?」


「煌夜は僕を殺す気なの!?」


 デスヨネー。果たしてどうするべきか⋯⋯。

 そうだ、こんな時のエルフだ。


「アリシアさん、魔法で追っ払えないのか?」


「アリシアでいいわよ。それはそうとして、ゴブリンを仕留める魔法だったら、この船が吹き飛ぶけどいいの?」


 手のひらをパチパチ言わせてるけど⋯⋯ダメに決まってるじゃないか!?


「実は武器を携帯していない時に飛ばされたものだからな⋯⋯何か武器があればなんとかなるんだが⋯⋯」


 ダイアーさん⋯⋯ダイアーが武器があればと言ってるがそんなうまいことあるわけ⋯⋯あった。護身用(笑)の手作りバタフライナイフ刃渡り30センチ(違法)が偶然にもカバンにあった。


「ダイアー、これしかないけどこれでいけるか?」


「おお、ナイスコーヤ。これぐらいならいけそうだ。⋯⋯少し質は悪いがな」


 質が悪いとは失礼な!!俺が丹精込めて作ったバタフライナイフ六号を⋯⋯。そんなことより、ナイフ一本で大丈夫なのか?


「心配しなくても大丈夫ですよ。ダイアーさんは近接戦闘が大の得意ですから。魔法より得意なんじゃないかと思うぐらいですよ」


 それはエルフとしてどうかと思うがな。


「それじゃあ殺ってくるぞ」


 ダイアーは煌夜から受け取ったナイフをペン回しのように三回ほどクルリと回すと、扉に挟ませた木の枝を引っこ抜いて三体のゴブリンに向かって走っていった。ダイアーはゴブリンの持っていた棍棒を蹴飛ばし、緑色の喉を切り裂いた。煌夜の手作りナイフは赤色に変わっていく。そのナイフは三つの喉を赤に変えた。


「よし、やったぞ」


 俺たちの方を見て自慢げにそう言っていたら、背後からゴブリンが忍びより、後頭部目掛けた殴りかかっていた。


「危ない!!」


 俺は反射的に叫んだら、矢が飛んでいってゴブリンの額を貫きゴブリンを絶命させた。ふと横を見ると、ネタルが塩化ビニルの弓を持って少し震えていた。


「ナイスだネタル」


 俺は小さな声でそう言い、グッドサインを出した。

 さて、このひでぇ状況を他人に見られたらマズイな。どうにかしないと⋯⋯。

 平和ボケした日本人には耐えられないような状況で、煌夜は冷静だった。




お読みいただきありがとうございました!!

今回の重要アイテム

木の枝

手作りバタフライナイフ六号(刃渡り30センチ)

塩化ビニルの弓と鉛の矢

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