第十話 至高のグルメは異世界に
夜、岐阜のホテルにて編集……
一度スタッフに注意されました……
気温が37度と、今年の最高気温を更新した八月のある日。クーラーガンガン、快適なマンションにエルフが二人……。
二人はそんな快適な空間で、興味津々に(主に理科)高校編入試験のテキストで勉強していた。
「なるほど……理科は面白いですね、アリシア。ほらアリシア、火は燃料と熱と空気によって発生すると習いましたが……なんと空気ではなく空気中に含まれる酸素という気体によって発生する……って聞いてますか?」
「聞いてるわよ。その気体によって私たちが呼吸できるんでしょ。」
理科のテキストで得た知識を自慢している、金髪の少年エルフはアンヘルだ。その自慢に塩対応で返しているのは、銀髪の少女エルフはアリシアという。
彼ら二人はコーヤがパソコンで調べた最寄りの高校に編入するために勉強をしている。
「それはそうとアンヘル。数学はできてるの?私はようやく連立方程式を終えて確率まで行ったけど⋯⋯」
ニヤリと笑みを浮かべてアリシアは言った。
「マジですか!?僕はまだ一年の方程式とやらまでしか進んでないのに⋯⋯」
アリシアの案の定、アンヘルは一番苦手な数学をあまり進めていなかった。進めていたのは、やはり理科だった。
「理科ばっかやってるからよ。そう言う私もまだ社会ができてないし⋯⋯」
「僕は社会、出来てますけどね」
アンヘルはドヤ顔で言い放った。
「なんか悔しい」
ドヤ顔で言われたのが腹立たしく、アリシアは社会の勉強をより進めることにした。
アリシアが興味を持ったのは歴史と公民だ。この世界の歴史と政治等を見るのは面白い。この世界の法律は、どれだけ平等で人民のことを考えたのだろうか?こんなに安心安全で生活水準が高い国が元いた世界にあっただろうか。いや、私は見たことがない。と言うより、見るまでもないだろう。
アリシアは、興味津々で勉強を再開した。
〜30分後〜
「あー疲れた」
「そうですね⋯⋯」
かれこれ三時間は勉強した二人。肉体的疲労はほぼないが、精神的疲労がかなり出てきた。丁度昼時だったので、一度休憩することにした。
「とりあえず休憩しましょうか。それと昼食はどうしましょうか⋯⋯」
「そういえばコーヤに聞くのを忘れてたわね⋯⋯どうしようかな?」
大事なことを伝え忘れたコーヤはと言うと、ワタルとロアを連れてどこかに行ってしまった。
しかし、コーヤが自由に使って良いと言ったお金が入った封筒があるのを思い出し、アリシアはその封筒をかなり丁寧に開けた。
そこに入っていたお金は、自由に使って良いとは普通言わないであろう額だった。
「一二三四⋯⋯」
「合計で10万円ですね」
「「⋯⋯」」
「多すぎませんか?」
「同感ね。私もそう思った」
封筒に入っていたのは10万。日本のお金の価値があまり分からない二人でも、多すぎると分かるぐらいの金額だった。どうするべきかと考えるが、なんか怖いのでこの部屋にある食材だけで作ることにした。
「この世界の食材で何か作れるんですか?」
アンヘルは料理をあまり作れないのでアリシアに頼むしかない。
「大丈夫みたい。私たちがよく食べていたものが作れそうよ」
「そうですか。それは安心しました」
どうやら料理出来そうなので一安心。
その間にアンヘルは理科のテキストをペラペラとめくり、勉強(魔法の為)をすることにした。
数分ほど経つと、キャンソー⋯⋯この世界ではコンソメの香りがしてきて食欲を刺激した。
どんな料理だろうとアリシアのところに向かうと、見慣れた料理がそこにあった。
「キャベルボールですか?」
「そうね。丁度材料が揃っていたからよかったわ。ちなみにキャベルボールじゃなくてロールキャベツ。この世界では同じものでも名前が違うことがあるから注意してよ。特に学校では」
常識を覚えるようにとコーヤから言われている。
アンヘルは、最初から分かっている言いたそうな顔で適当に返事をする。
「はいはい分かりましたよ。それと、その謎の立方体は何ですか?」
「ああ、この世界のキャンソー⋯⋯つまりコンソメ。これを溶かすと簡単にコンソメを使った料理を作れるわけ」
アリシアはコンソメキューブを人差し指と中指で挟んで自慢げに説明した。隊長をしていた時より凄く楽しそうだと、アンヘルは思った。
また数分ほど経つと、ようやくロールキャベツが完成した。
久しぶりに故郷の料理を食べられるので、アンヘルのテンションはいつもより高めだ。
しかし、アンヘルには少し気になることがあった。
「そういえばダイアーさんはどこに行ったんですか?」
勉強に集中していて、ダイアーの所在が分からないのだ。アンヘルは、一応聞いておくかみたいな軽い感じでアリシアに聞いた。
「ダイアーさんなら、一時間ほど前に出てったけど……どこに行ったのかまではわかんない。まあ、そのうち帰ってくると思うよ」
「そうですか。それなら別にいいですかね」
そんなことは置いといてみたいな感じでダイアーの扱いが酷いが、二人には、そんなことよりもロールキャベツのほうが重要なのだ。その美味しそうなロールキャベツのほうが。
「おお、少し味は違いますがこれもなかなか……」
「でしょー。再現するのに手間取ったけどいい感じに仕上がったんだ」
早速食べ始める二人。
アリシアが作ったロールキャベツは、故郷のキャベルボールを見事に再現していた。
キャベツの甘みと肉の旨みがぎっしりと詰まったそれは、食欲をさらに増加させる。また、その二つが溶け出したコンソメスープは故郷の味を越す、至高のスープだろう。それを作るアリシアもすごい。3年ほど前まではthe普通といった程度の腕前だったが、著しく腕が上がっている。
「アリシア。これは……すばらしいです。どこをどうしたら……このようなものが」
「すごいでしょ。実は私が3年ほど料理を猛特訓した成果でもあるけど……一番の決め手は材料かな。冷蔵庫によって野菜も肉も新鮮だし、香辛料も豊富にある。料理には最適だね」
香辛料……この世界にはありえないほどの量の香辛料がありえないほど安価で売られている。僕はこのことに気がついたとき、この世界の人間はおかしいのだろうかと思った。しかし、うろ覚えのパソコンで調べた結果、多量生産と、国を越えた大規模な貿易によって非常に安くなっているそうだ。
故郷の世界の香辛料は、大商人が独占して栽培したものを販売していたため、おかしいほど値段を吊り上げる。さらに生産量を抑えて限定品にすることで、貴族の購買意欲を上げさせる。それによって庶民には一切回ってこない。高いうえに数も少ない。そんなものを庶民が買えるわけがない。
しかしこの世界は違う。数を減らすことによって利益を上げるのではなく、安く大量に仕入れる。それにより少ない利益でも、チリも積もれば山となると言ったところだ。
こんな考えがあの商人にもあればいいのに……とアンヘルは思った。
「また作ってください。アリシアの料理は最高ですから」
アンヘルは食器を片付けながらアリシアにそう言った。
「……えっと……アンヘルがもっと数学をできるようになってからね」
アリシアは少し顔を逸らした。
そのせいで洗っていた皿を落としそうになってしまった。
お読みいただき、ありがとうございました!!
inホテル
弟「刺身うめえwww」
如月「ちょっと自分の小説見てくれない?」
弟「わかった」
如月「どう?」
弟「エルフの名前のセンスなさ杉だろwww」
如月「ですよねー」
こんなことがありました。
ので、名前を変えました。(完了済)