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ネオニートの日常は魔科不思議。  作者: 如月奏
第一章 エルフが転移してきた。なので土台を固めようと思う。
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第一話 とある世界のプロローグ

二作品目の投稿です。前回より面白くしたいです⋯⋯。


 辺境の土地の名もない森の中を、エルフ達が武器を持って歩いていた。全員が弓と魔石の込められた短い杖を装備し、周りを警戒しながらある場所を目指している。


「もう少しで例のダンジョンに到着する。何があるか分からないから常に警戒して」


 隊長と思われる女性のエルフが他のエルフに声を掛ける。全員が首を縦に振り、警戒を高めた。

 彼らの目的は、一週間前に突如現れた謎のダンジョンの制圧だ。そのダンジョンは入り口に入っていないエルフさえも行方不明にしたため、調査隊が結成されたのだ。これまでに三人のエルフが行方不明になっている。しかも隊長だけだ。これ以上被害者を増やさないためにも武装したエルフ10人と、若いが実力のある隊長とともに調査をしに来ている。


「全員休憩。例のダンジョンが近くにあるから注意しつつ、万全の状態にしてから調査を始めるように」


「はい、隊長!!」


 少年少女と言うべきまだ幼さの残る隊員が、隊長に大きな返事をした。その瞳はやる気に満ちている⋯⋯一部を除いて。

 彼らはまだ大人ではないが、魔法と弓を巧みに操ることができる。そのため、この作戦に抜擢された。また、実戦を体験することによって判断力などを高めると言うのも理由の一つである。


「あー疲れた。さっさと終わんないかな」


 エルフには珍しい、剣を使える少年がつまらなさそうにダラダラと歩いている。彼はやる気に満ちていないヤツの一部だ。

 少年は自分の剣で自分の肩を叩いたり、肩足で蹴ったり、地面に引きずったりと、腰にさせばいいものを、暇つぶしの為の道具にしている。


「しっかりしなさいよ。もしかしたらあんたも行方不明になっちゃうかも知らないんだよ?」


「はいはい。分かってますよー」


 お節介な少女が剣の少年に注意をした。剣の少年はつまらなさそうな顔で、適当に返事を返す。


「そうだよ。絶対僕達全員で帰れるように警戒してないと⋯⋯⋯⋯うわっ!?」


 気弱な少年が小石に蹴つまずいて転んでしまった。「うー痛たた⋯⋯」と膝をさすっている。


「お前もな?」


「はぁ、あんたがしっかりしなさいよ?」


 二人は呆れて笑った。気弱な少年は、顔を赤くして下を向いた。


「分かってるよー⋯⋯だけど気をつけてよ?いつ行方不明になるか分かんないから」


「確かにそうね。もしかしたら魔物の仕業かもしれないから武器の手入れをしておかないと」


 三人は弓を背中から取り外し、弦を調節し始めた。しかし、弓はあるが矢は誰も持っていない。魔力を豊富に有するエルフは、魔法で矢を出現させることができるからである。魔法の矢を使うことによって凄まじい連射が可能になる。だが、それをできるのは一部のエルフだけである。


「全員、戦闘準備!!オーク数体がこっちに向かってる」


「了解!!」


 周りの空気が変わり、全員が弓を構える。オークとの戦闘は何度も経験しているので、緊張感は無に等しい。勿論新米の三人も、弓の準備をした。

 二分ほど経つと五体のオークが剣を持って突撃した。しかし、全身を矢に貫かれ十秒ほどで撃沈した。

 しかし、剣の少年には呆気なくてつまらないものだった。


「あーあ、楽勝だったな」


「って言ってるけど一回も当たってないじゃない」


 二回も命中させ、その内一回ヘッドショットを決めたお節介な少女が、ドヤ顔を決めながら剣の少年に話し掛けた。


「う、うるせーよ。今日は調子が悪かっただけでな⋯⋯」


「まあまあ」


 三人は会話をしながらオークの所持品を確認する。すると、お節介な少女があるアイテムを見つけた。


「これは何だろう?」


「どうしたんだ?」


 お節介な少女は、剣の少年と気弱な少年に『あるアイテム』を見せた。三人は見たことのない物体に首をかしげる。

 あるアイテムとは何かの金属で出来た四角い箱に、赤い出っ張りがある謎のアイテムである。その出っ張りは何故か押したくなるような、そんな衝動にかられる気がする。しかし魔力が感知できないので、魔法ではないのは確かだ。

 三人はこんな謎のアイテムを扱うのは危険だと判断し、隊長に渡すことにした。

 しかし、今回の調査では行方不明者を増やすだけになった。三人が隊長に謎のアイテムを渡した二時間後に、隊長が行方不明者になったからである。今回の調査で得られたものは何もなかったのだった。



ーーーーーーーーーーーーーー

報告書


第九回新規ダンジョン調査結果


負傷者

無し


行方不明者

一名


行方不明者の発見

無し


 今回の調査はアリシア隊長が行方不明になったため、止むを得ず調査を断念。前回同様、ダンジョン内に入っていない。また、調査で得られた成果はない。

ーーーーーーーーーーーーーー


「これで報告書は完成だね」


 気弱な少年が羽ペンを置き、独り言を言った。静かな部屋だったので、その声はかなり響いた。


「それにしても、このアイテムはなんだろう?隊長に渡したはずなのに森に落ちてたし。まあいいや、明日二人に聞こうかな?」


 そう言うと、気弱な少年は夕食を作り始めた。

 星がきらめく夜空へ、たくさんの煙がのぼる時間に。




お読みいただきありがとうございました!!

何か報告があればここに書きたいと思います。

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