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赤ペン精霊の神剣ゼミでクラス最強の魔法剣士になれました  作者: 森田季節
第一部 神剣ゼミで魔法使いに編

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16 先生が好きになった

ちょっと恋愛展開にしました。

 もしかして、この感情って……。


 ――悔しさなのか?

 でも、悔しいって何に対する悔しさなんだ?

 何かに負けたことをからかわれたわけでもないし。


 それで一つの答えにいきついてしまった。


 俺、アーシアに焼きもちでも焼いてもらいたかったんだ。


 つまり、アーシアに気があるんですかなどと茶化されるということは、アーシアは俺のことを生徒としてしか見てないってことで……それは当然のことでしかないんだけど、ちょっと切なくて……。


「あの、アーシア先生、いや、アーシア!」

 あえて俺はアーシアを呼び捨てにした。

「俺、アーシアのことが、きっと……」


 アーシアは俺のくちびるにぴたっと人差し指を置いた。

 それで俺の口は止まった。


「時介さん、そのお気持ちは本当にうれしいです。でも、私はあくまでも赤ペン精霊です。教師として時介さんを指導するのが役目です。特別な関係になってしまったら、教えることも教わることも難しくなります」 


 まさにその通りだった。


「もし、時介さんが教えることも何もないほどの偉大な魔法剣士、それこそ神剣エクスカリバーを使えるような人になって、その時にまだ私を愛してくれる心が残ってるなら、考えてもいいですよ」


 アーシアは微笑んでいたが、その笑みは少し影があって、寂しげにも見えた。


「アーシア……先生、今のはすっごく正しくて、すっごくズルいですよ……」


 こんなこと言われたら引き下がるしかない。教師として非の打ち所のない回答、いや、解答だ。


「時介さんにご理解いただけたようでよかったです。あと、これから先、時介さんは何度も恋をしていく時期ですからね。いつも近くにいる私のことだけ考えると、視野が狭まっちゃいます。もっと、どんどん恋をしていってください。それこそ、あの上月さんでもいいです」


「そ、それは、まあ、今後の展開次第だから……」


 俺は気持ちを整理するために、頭を横に何度か振った。


「よし、今日の範囲をやるかな。先生、プリント出してください」

「もう、夕食を食べられる時間ですけど、いいんですか?」

「今からプリントやっても、夕食終了までには間に合うから大丈夫です」

 ここの食事は食堂形式で、一斉に同じ時間に食べるのとは違うので、三時間ほど幅があるのだ。


 夕食の後はしっかり魔法の実習もしようと思った。

 正直、これまで以上に気合が入っている。

 教官助手になったからというのも大きい。もっと、どんどん成長して恥ずかしくないレベルにまで到達したい。


 その日は堂々と寮を出て、演習場に行った。教官助手だから、夜間の外出も自由なのだ。図書館にこもって魔道書を寝るまで読むような人間もいるらしい。


 俺は補助系の魔法を試していた。

 補助系というのは相手の魔法を妨害したり、自分の力を強めたりする、直接的な攻撃魔法とは違う種類の魔法だ。

 まあ、自分を強化するのと相手を妨害するのとではあまりにも魔法としての方向性が違うから、全部を補助系というのはすごく大雑把なくくりなのだが、生徒はまず攻撃系魔法から一般的に学ぶので、こういう区分が有効なのだ。


 はっきり言って、こういう魔法は攻撃魔法より技術がいるので難しい。

 あと、もっと根本的に困ったことがある。


「これ、成功してるのかわかりづらいですね……」

 相手の魔法の威力を落とす魔法なんて、相手が魔法を使ってこないことには効き目がわかりようがない。


「発動していることは確かですから、大丈夫ですよ。このまま繰り返していくことが大切です」

「先生の言うこともわかるんですけど、それでも視覚的にどれぐらいの意味があるかわかったほうがやる気も出るんですよ」


 たとえば炎なんて誰が見てもどれぐらいの力が出ているかがわかる。それが達成感にもつながる。


「そうですね……かといって、魔法の威力は数値的に計算することはできないですし……」


 ふと、少し離れた森でピカッと何かが光った。


「私は一度消えておきましょうか」

 ぱっとアーシアがいなくなる。

 俺は一人でその光のほうに向かった。


 サヨルさんが魔道書を持ちながら、魔法の練習をしていた。


「あっ、サヨルさん、こんばんは」

「わっ! あなたも練習してるの!? そっか、こっちはあなたの練習場所なのか。私はいつも城の裏庭を使ってるからね」

 どうやらサヨルさんも夜はよく練習をしていたらしい。


 そこで、名案を思いついた。


「そうだ、お互いに魔法の実験台になりませんか?」

「実験台? もうパイロキネシスで服を焼かれるのは勘弁だけど」


 あのことがトラウマになってるのか、ちょっと警戒された。

「いや、魔法の威力を低下させる魔法――ウィークネスを使いたいんですが、効き目のほどが一人だとわからなくて」


「ああ、それで私にかけさせろということね」

「そうです。よかったら試させてください。その代わり、サヨルさんも試したいものがあれば、試してくれればいいですから」


「そうね、じゃあ、プロテクション・フロム・マジックをあなたにかけるから、その後にあなたに攻撃魔法をかけてみるわ」

「げっ! それは自分にかけてみてくださいよ!」


 プロテクション・フロム・マジックは敵からの魔法ダメージを軽減する魔法だ。つまり、その魔法の効き目が悪ければ大ダメージということになる。


「いいじゃない。交代ばんこにやるってことで。あなたも同じようにプロテクション・フロム・マジックを試してもいいからさ。実験台を用意するのが難しい魔法というのは事実だから、あなたの提案自体は飲んでるし」


「たしかにそうか。じゃあ、それでやりましょう」

 俺は早速、ウィークネスをサヨルさんに唱えた。


 光みたいなものがサヨルさんに飛んだから魔法としては効いたらしい。

 それに対して、サヨルさんが攻撃魔法を唱える。


「あなたに向けて撃っていい?」

「何もないところにしてくださいよ。それで威力はわかるんですし……」


 フレイムをサヨルさんは使った。

 マッチよりは強い程度の火が手から出た程度だった。

「あれ……フレイムの力がファイアより弱いぐらいになった……」

三連休、旅行先の宿が更新できる環境か少し不安なので(ストック自体はあります)明日分の更新分は今日の夜に行う予定です。

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