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赤ペン精霊の神剣ゼミでクラス最強の魔法剣士になれました  作者: 森田季節
第二部 神剣ゼミで剣士に編

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108 意外な再会

「ぶほっ!」

 濁った声をあげて、エルトミの体が跳ねた。


 そのまま少し横の地面に叩きつけられる。

 どうやら足が曲がっているし、そもそも、鎌が手を離れて吹き飛んでいる。


「なっ……いったい何が……?」

「よく見てみろよ。といっても見れないだろうけど」


 俺はその何もないように見える場所を指差す。


「あそこにはとがった大きな岩があるんだ。俺はそれをインヴィジブルで消した」


 インヴィジブルは通常、自分を消す魔法だけど、物を消すことも理論上はできる。


 エルトミは無詠唱でインヴィジブルを解除した。

 そこには巨大な岩が一つ土壁からはみ出るようにして存在している。

 地下からここに出てきた人間にはそんなのわからないだろう。


「こんな小手先の技で僕に傷を……」

「戦場では勝てばいいんだよ」


 俺はすぐにエルトミの前に立つ。

 やっと相手に恐怖の色が灯ったのがわかった。

 その鎌も今は手を離れている。


「ま、待ってください! もう一度正々堂々と――」

 俺はひと思いにその剣を心臓に突き刺した。


 エルトミはゆっくりとその場に倒れる。悪いけどすぐにファイアボールで焼き払う。特殊な魔法で致命傷にならないようにしていても、なんらおかしくないから。


 これで大物は一人片付けられた。


 エルトミが死んだせいか、ぱっとイマージュも覚醒した。

「まさか、お前、勝ったのか……」

「敵の油断を突けました。俺、いい弟子でしょ?」


 ほかの帝国側魔法使いもエルトミが死んだことに気づいたのか、動揺しているのがわかった。ここから攻めに転じられそうだ。


 でも、まずは――


「第一巫女のところですね」


 俺とイマージュはすぐに第一巫女のほうを目指して進んだ。


 今回のボスに当たる奴は片付けたから大丈夫だと思いたいが、まだまだ強敵もいるかもしれず、気は抜けない。



 集落はそう広くはないから、急げば間に合うと思った。というか、そう思いたい。

「まさか、連中も第一巫女を殺しはしないだろう。そんなことになれば、もう教会を自分たちに協力させることなんてできないからな」


「とはいえ、そんな理知的な奴らばかりかもわからないので、安心はできないですけどね」


 とにかく、早いほうがいい。


 炎や氷が飛び交っているのが遠目に見えてきた。

 少なくとも間に合ってよかったとも言えるし、すでに敵を片付けているわけでもないからこれからが大変だとも言える。


 敵の数は四人ぐらいか。俺が加勢すればどうにかなるかな。


 すでにパイロブラストを撃つ準備はしていた。あまりに遠方だとコントロールが難しい。接近して、一気に敵そのものを発火させて決着をつける。


「エルトミって奴は倒したぞ!」

 まず、敵の動揺を誘って、一人目を発火させる。

 続けざまにもう一人。


 これですぐに終わるだろう。

「くそっ! どこから無詠唱かっ!」

 もう一人はイマージュが一刀のもとに斬り捨てた。


「よかったな、ザコだぞ、島津」

「そうみたいですね!」


 残り一人は半狂乱になって、ナイフを抜いて第一巫女のほうに迫っていく。

 何か壁を張ってもらえれば助かるだろうが、大丈夫だろうか。


 まずいな、角度的に攻撃魔法が第一巫女にも当たる!


 しかし、すぐに敵の前の地面が盛り上がって――

 そびえたつ高い壁みたいになった。


 その壁はさらに伸びていき、そのまま敵のほうに倒れて――

 ものの見事に押しつぶしてしまった。


「さすが第一巫女様ですね。防御しつつ、攻撃もやるってことですか」

 しかも、純粋な魔法の防壁と違って物理的な土壁を作るから、敵の補助魔法でも無力化ができない。武器を持った敵に対しては最善の選択と言っていい。


「いえ……これは違う方が唱えたものです……」

 となると、誰だ? イマージュがやったのなら、そう申告しそうなものだし。


「どう? なかなかの腕前でしょ」

 ここで聞こえるはずのない声を聞いたと思った。


 でも、間違いじゃなかった。そちらに顔を向けると、サヨルさんがいた。


「えっ……なんでサヨルが、ここに……。道にでも迷いました?」

「あのね……どんなに方向音痴でも帝国に足を踏み入れることはないわよ」


 じゃあ、理由はたいして残っていない。いや、道に迷ったというのはいくらなんでも冗談だったけど。


「あいつらの空けた穴を通って、そのまま追いかけてきたの。ここに来れば、時介たちと合流できると思ったけど、正解だったわね」

「え……でも、それだと事前に帝国に来てたことになるけど……」


 まさか今回の作戦をやってた敵が王国からわざわざやってきたとは思えないし。


「そう、帝国に来てたの」

 楽しそうにサヨルがうなずいた。


「あなたと合流して、帝国を倒す作戦ためにね」

 サヨルの目は冗談を言っているものじゃなかった。


「帝国といっても一枚岩じゃないわ。だから、トップの魔法使いと皇帝を倒せば、この戦争も終わる。そして、それだけの魔法使いがもう帝国には来てるってわけ」


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