三話~男と少女とトラウマと~
『話はわかった。その女王とやらが守るパンドラのハコを壊せなければどのみち俺は死ぬと』
「そ。だから一緒に行かなくちゃ。ふふっ」
アリスはまるで今の状況を楽しんでいるかのように、両手を広げくるくると踊るように回る
「あ...でもなぁ。トランプの国に行くにもあれがなぁ」
勿体ぶるかのようにチラチラこちらを見るアリスに俺はゾワゾワと背筋に何かが走った気がした
「しりたい?しりたぁい?あのね、このパンドラ【世界】には役持ちが沢山いるの。普通は役持ちは役持ちとしての役割っていうのを大きく外れた動きは制限されてた。実は役持ちっていうのは一つの人工知能なの。元来役持ちとしての役割が根底にあるんだけど、その制限がなくなると、普通のプレイヤーとかわらないの。それでね役持ち達は役目を放棄し好き放題できちゃうってわけ。わかる?」
にぃっこり。いや、にんまりと言うべきか。アリスはまるで幼い子供に教えるかのように猫なで声で話す
大きな身振り手振りを交えまるで演説でもしてるかのように
「役持ちがもし女王の味方にされるとこまるから、壊さなきゃねぇ…?震えてるの?怖いの?だいじょうぶ。役持ちはね、というかこのセカイもなんだけどぜーんぶただの情報の塊。だから役持ちを壊しても初期化されて更新されるだぁけ。そもそもその恐いっていうのもパンドラが脳を刺激して直接脳波に干渉してるからなの。だから別にヒトを殺すわけじゃないからだいじょうぶ。それに役持ちとかデータを壊せるのは私だけだし。書き換えたりはできるかもだけどね。」
ガタガタと震える俺に背伸びをして頭を撫でる少女
避けなかったのは単純に体が硬直していたからだ
全ての役持ちがこんなふうなら俺はどのみち死ぬだろうとぼんやり思いながら
この背筋を這いずるこれは、狂気だと分かりながら俺は自分が持ち得る全てで、恐怖を押さえつけたのだった
決して彼女自信に怯えていることを悟られないように
とりあえず...トラウマになったことは間違いない