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予算委員会

2013年9月21日午前11時

日本首都東京霞ヶ関国会議事堂第1委員会室


此処では絶賛予算委員会中である。伊部総理は臨時国会を10月中旬に召集予定であったが、ロシア連邦や朝鮮共和国との関係が劇的に変化した為に昨日召集されたのである。


「伊部総理、昨日の首脳会談で宣言した第5次防衛力整備計画とJSTO設立について今一度詳しく説明を願います。」


民間党山江田千里代表はそう言うと席に座った。

伊部総理はそれを見て手を上げた。


「伊部慎三君。」

「山江田代表のご質問にお答え致します。長くなりますが、宜しいですか?」


伊部総理の言葉に、山江田代表は大きく頷いた。


「第5次防衛力整備計画の主力は空母の建造です。空母は最初は通常動力型空母を建造します。その空母建造予算は今臨時国会で承認していただければ嬉しいです。そしてこれからは仮定の話しですが、2015年にはその通常動力型空母を起工、空母航空団の発足も同じ時期にしたいです。空母航空団は3個飛行隊を編成します。そして2020年には進水し、2024年には竣工し部隊引き渡しを行います。2021年〜2026年は部隊訓練・空母運用研究期間とし、原子力空母建造準備を行います。」


伊部総理の『原子力空母』と言う言葉に、委員会室が騒ついた。

しかし伊部総理は話しを続けた。


「原子力空母は3隻建造します。2025年には空母建造予算承認を迎え、3隻を一気に建造します。この頃にはメタンハイドレート及び佐渡と尖閣諸島の油田が生産を開始していますので、一気に建造出来ると思います。2027年には起工し、2032年には進水、2034年には竣工し部隊引き渡しをします。そして空母に載せる機体としてF−3、これは仮称ですが新型国産戦闘機を開発致します。」


伊部総理の言葉に、もはや委員会室は沈黙に包まれていた。

全議員が伊部総理の話しに耳を傾けていたのである。





午後7時

アメリカ合衆国首都ワシントンDCホワイトハウス大統領執務室


「伊部は何を考えているんだ?」


オグマ大統領の言葉に、誰も答えられなかった。日本では予算委員会で第5次防衛力整備計画とJSTO設立・ロシア連邦と朝鮮共和国への経済援助・集団的自衛権行使の為の新法・国家安全保障会議設立新法等々、伊部総理が目指す『強い日本』に向けた法律が次々と承認された。第5次防衛力整備計画は2035年完成とした22年と言う長期計画となったが、早速通常動力型空母の建造予算が承認された。当初は荒れた委員会であったが、伊部総理の話しが効果的であった。伊部総理は侵略兵器と防衛兵器の位置付けは使う物の考え1つと言ったのである。防衛兵器も使い方や使う相手を変えれば侵略兵器になり、侵略兵器も使い方や使う相手を変えれば防衛兵器になるのである。伊部総理は更に包丁を話しに持ち出した。議員の皆さんは外食をしないように、と言ったのである。驚く議員達に伊部総理は、料理人が包丁で切り付けてくるかもしれないから、外食は控えて下さいと言ったのである。それに議員達は笑ってこう言った。『そんな心配はしていない。』伊部総理はその言葉に畳み掛けた。それならば空母や巡航ミサイルを配備する事に何ら問題は無い、と言い切ったのである。その言葉に議員達は反論出来ず、伊部総理は満面の笑みを浮かべたのである。これにより委員会で承認を受け後は本会議で可決させるだけである為に、もはや此等の法律は可決が決定事項であった。第5次防衛力整備計画は空母建造・海兵隊創設・巡航ミサイル配備・新型国産戦闘機開発等々あらゆる兵器開発が決定された。細かな点は第2部で語る事にするので、今回はこれくらいで勘弁して頂きたい。



「伊部はロシアと手を組み、更に北朝鮮とも手を組んだ。それだけに飽き足らず日本海条約機構を設立しようとしている。もし仮に日本が第5次防衛力整備計画を完成さし、JSTOに中国と韓国を除く東亜細亜諸国が加盟すれば、NATOを凌ぐかもしれないぞ。」



オグマ大統領の心配は日本の第5次防衛力整備計画とJSTOである。この2つが同時に完成すれば、NATOはWTOよりも強力な軍事同盟と戦わなくてはならなくなるのである。今のアメリカ合衆国は国防費の大幅削減を行っており、非常に国内的にもややこしい状況となっている。


「しかし大統領閣下、『日本が中国の防波堤』となると考えれば、現状は我が方に有利です。我が国は経済の立て直しを急いで、シェールガスの生産が軌道に乗れば再び超大国として復活出来ます。それまで日本に防波堤になってもらうのです。伊部は竹島を取り返す気ですから、我々が在韓米軍を引き揚げれば我々も高みの見物が出来ます。亜細亜人同士で消耗してもらい、防波堤が壊れかけた頃には我が国は復活しています。今は現状を利用しましょう。」


大統領国家安全保障担当補佐官のポテトの言葉に、オグマ大統領は頷いた。ポテト補佐官の言いたい事は分かるのである。しかし少しばかりのリスクがあった。



「在韓米軍を引き揚げるリスクは、そのまま配備して日本と南朝鮮との戦争に巻き込まれるリスクに比べれば低いです。幾ら日本がスワップ協定を破棄して経済が破綻したとは言え、責任は南朝鮮にあります。我々もその状況を注視していましたが、状況は中国に有利になりました。もはや南朝鮮は中国の属国に成り下がり、在韓米軍を配備する事にリスクがあります。引き揚げる事による南朝鮮国内の反感より、日本やロシア連邦・朝鮮共和国の賛同の方が得る物があります。中国と南朝鮮は孤立したも同然ですから。」

「確かに。」


オグマ大統領はポテト補佐官の冷静な分析に舌を巻いた。


「それでは在韓米軍はそう引き揚げとする。早速国家安全保障会議を開きたい、そしてペンタゴンにもそう命じる。」

「分かりました。」


ポテト補佐官はオグマ大統領の言葉に答えると、執務室を出ていった。

アメリカも新たな道を模索していたのである。






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