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恋煩いの、お薬ちょーだい!

作者: 過去形

「はーい、どうぞ、これ三日分の風邪薬。あと、胃が悪くなるかもしれないから、念の為に頓服出しときますよー」

「ありがとうございます。先生」

「やだ、よしてくださいよ。先生なんて。私はただのしがない薬師ですよ」

「だって、お医者のところよりも効くんですよ?」

「それはただの風邪だから。大変な病気だったら、お医者さんでないと治せません。・・・はい、お大事にー」


季節の変わり目になると常連のようになってやってくるご婦人を送り出して、私は一息ついた。


「あぁ、こういう時お茶でも入れてくれる助手がいればなぁ・・・」


首を回すと、コキコキといい音がした。


あーほんと、一人で店を回すのは、楽じゃない。






私の名前は、ユーヒ・ポター。

王都の端っこで細々と薬屋を営んでいる花の独身22歳。

お客がいなくなってからのティータイムが唯一の楽しみな、今日この頃。


花粉が飛ぶ春先や、季節の変わり目、風邪がはやる冬場など、忙しい時期はある程度決まってはいるものの、お客さんはいつでもどんな時でもやってくるもので、まったりとお茶を楽しめるだけ平和だと思う。


一応、一介の薬屋なのだが、処方箋があれば調合するし、軽い病気ならその場で診てそれから薬を調合することもある。

だからなのか、贔屓にしてくれる人も多くてありがたい限りだ。


「・・・あー、もうティーバック切らしそうだなぁ。明日にでも買いに行かないと」


取り敢えず残っていたローズヒップに湯を注ぐ。

適度な酸味と綺麗な赤色の美味しいお茶だ。

お茶請けには昨日作っておいたパン耳スナック。

近くのパン屋のおじさんからもらったパン耳を多めの油で揚げ焼きして、砂糖を軽く振った一品。少しなら日持ちするし、いいおやつになる。


「うほ。いい色―」


カップに入った赤いお茶。息を吸い込むと、良い香り。


幸せだ・・・。


そして、まさにその至福の一杯を味わおうとしたその時。


チリンチリンと、ドアベルが鳴った。


お客様のご来店らしい。

ティータイムの先送りが決まった瞬間だった。


「・・・いらっしゃいませー」


棒読みになるのも仕方ないとは思わないか。









「・・・すみません、なんか。お邪魔してしまったみたいで」


声の硬さに気づいたのか、恐縮されてしまった。


いやいや。とんでもない。不可抗力ですよ、お客さん。


「いえ?大丈夫ですよー。今日はどうされましたかー?」


頭を瞬時に切り替えて接客する。

当たり前だ。こちとらお客がいないと今日の夕飯にも困る接客業だぞ?


「ちょっと、最近調子が悪くって・・・」

「あー、でしたら奥へどうぞ。少し診せて頂いてから処方しますよー」


お客さんを奥へ送り、私は手を洗って消毒した。


奥の小さな部屋で椅子に座ってお客さんはちょこんと待っていた。

目の前に座り、軽く問診を始める。


一見したところ健康そうな青年だが・・・。


「えぇっと。調子が悪いとは、具体的にどんな感じですかー?」

「えっと、あの。し、心臓がドキドキして・・・」


動悸か。

若いのに心臓病か・・・?もしそうなら一刻も早く病院送りにしなければ。

私は少し緊張した。


「他には何かありますー?」

「あ、はい。顔がカーっと熱く、赤くなってしまって。と、時々指も震えてしまうんです・・・」


発熱に手指のふるえ。頬の紅潮・・・。


私の手に負えなさそうなんだが・・・。

でもいかにも健康そうな人なんだよなぁ。


「どういった時に症状が出るか覚えてますかー?」

「・・・あ、は、はい。まぁ・・・」


なぜか青年はモジモジしている。記憶に自信がないのだろうか。


「大体でいいので、教えてもらえます?」


安心させるように微笑みかけた。

青年もぎこちない笑みを返す。


「わ、笑わないでくださいね・・・?」

「え?ええ。もちろん」


笑うってなんだ?





「は、花屋の、あの可愛い女性を見ると、いつもそうなってしまうんです・・・!」


目を瞑って一息に言い切った青年の顔は真っ赤だった。


・・・なんだ。そうか。いやぁ、変な病気(これだってけったいな病気だけど)じゃなくて良かった、良かった。


「ははぁ、なるほど」

「一体これはどういった病気なんでしょうか、・・・あ、の。先生」

「医者じゃないんで『先生』じゃなくて構いませんよー。と言うより先生呼びってあまりされたくないんですよねぇ。恥ずかしくって」

「・・・は、ぁ。わかりました。それで、あの」

「ダイジョーブです。これは病気ではありません。強いて言うなら、そうですねー。・・・『恋煩い』とでも言っておきますか?・・・ほえー、こっちが恥ずかしいっすなぁ」


幼馴染から『おっさん臭いからその口調、やめときなよ』と言われている地の口調がモロ出てしまった。


気恥ずかしいので誤魔化すために、ハハハなんて笑ってみる。

いやまさか、恋を病気と間違えて薬もらいに来る人がいるとは思わなんだ。


「こ、ここここk、恋?!」

「ええ。それはもう。完璧に」


鶏のごとく、ココココ言い始めた青年。

自覚してないって凄いな。


しかも相手が、花屋の美人ときた。

あぁ、可哀想に。振られるな。

つい、青年を生温かい目で見つめてしまった。


実を言うと、私は花屋の一人娘、美人で評判なリリアーノ・コゼットとは幼馴染の腐れ縁だ。(私をおっさん臭いと評したのが彼女だ)

だから、彼女の恋愛事情に図らずも精通してしまっているのである。


彼女は私とは違い、恋多き乙女で、その素晴らしい容姿とも相まって今までに付き合ったことのある男性は手の指、足の指を優に超える。

しかも熱しやすく冷めやすい、良く言えば情熱的な気性のため1人に長く続いた試しがない。

そして面喰い。


(・・・ま、その点だけで言うと合格点、かな・・・)


私は目の前の青年を見て思った。


明るい金髪に空色の瞳、すらりと通った鼻筋。

うん、カッコイイ部類に入るだろう。きっと。


断言できないのは、彼女と私ではカッコイイの線引きに非常に差があるからで。

彼女が言うには、私に言わせると大抵の男性がカッコイイ部類に入るらしい。

彼女ほど自分の容姿に自信のない私なんだから、他人に厳しくできようはずもないと思うのだが・・・。


ちょっとおどおどした態度がイカンかもしれないが、まぁ恋する青年の不安定な心情の表れだろうし。

薬は処方できないが、少し励ますぐらいは許されるかな・・・。


「えぇっと、貴方のお名前伺ってませんでしたねー。そういえば」

「え。あっ、ああ、はいすみません。俺いや僕、エドワルド・コナーといいます。あ、の・・・先生は・・・?」

「あ、いけない。忘れてましたーあはは。ポター薬店店主の、ユーヒと申します、です。はい。コナーさん、でしたね?残念ながら恋に効く薬はありませんので処方できませんが、アドバイスなら出来ると思います。・・・お聞きになりますかー?」

「え?!い、いいんですか?!ぜ、ぜひお願いします・・・!」


身を乗り出してくるコナーさんに思わず苦笑いしながら、幼馴染の彼女を思った。


リリー、君、また罪作りなことを・・・。


どうせいつか振られるのに、アドバイスなどと嘯く私も私だなぁと思いながら。


いやでも、コナーさんいい人っぽいし、リリーだってまだ若いけどそう言ってられない年になりつつあるんだからこれを機に身を固めるとかすればいいなぁ、なんて自分のことを棚上げにしつつ。








「・・・うまくいくといいなぁ、コナーさん」


すっかり冷え切ってアイスティーとなったローズヒップを啜りながら独り言をこぼす。


いろいろ私とは価値観とか違ってはいるが、リリアーノは悪い娘ではない。

すこし彼女自身、恋とか恋人に夢を見すぎているだけなのだ。

自分が恋していることすら分からずに戸惑いを隠さなかったその割には食い入るように私のアドバイスとも言えないようなアドバイスに耳を傾けていたコナーさんは純朴なひとという印象を与え、リリアーノの今までの恋人にはいないタイプのようだったし。


もしかしたら、もしかするかも。


「ふふふ・・・」


そう遠くない未来を思って私は含み笑いを零したのだった。









それから3週間後。

お客さんの途絶えた午後のひとときに新しく買ってみたチャイというお茶を試そうと、ワクワクしながらパッケージを開けたその時に。


「うぅっ!あっ、あの、先生いらっしゃいますかっ。ぐすっ」


・・・泣きながら、コナーさんがやって来た。








「とりあえず、お茶でもどうぞ。あったまりますよー」


チャイが二人分に増えた。

テキトーに淹れたので美味しいかどうかわからないが、とにかくそれをコナーさんの前に置く。


「・・・ぐすっ、あ、ありがとう、ごぁいまっ・・・」

「はいはい。とにかく落ち着いて、ね。ティッシュならこれ、使ってください」


涙と鼻水でボロボロの顔をティッシュで綺麗にしてもらう。


3週間か。まだよく持ったほうだと言っても、彼にはなんの慰めにもならないよなぁ。


今までリリアーノの口から、今回の彼氏はどのくらい持っただのなんだの聞かされてきたが、その当事者を目の前にすることは初めてで、どういった対応をすればよいのか皆目見当もつかない。

その前にまずは軽はずみにアドバイスしてしまったことを謝るべきだろうか。


「す、すみません・・・。みっともないところお見せして」

「い、いえ!とんでもない。謝らないでくださいよコナーさん。・・・私でよければお話聞かせてください。リリアーノの幼馴染として、貴方には悪いことをしてしまったかなぁ、なんて思っているものですから。ほら、あの。罪滅しってやつで・・・あ、はは」


なんか、間が持たない。というか、居たたまれない。


自分とそれほど年も変わらないであろう男性が目の前で号泣している。

しかもその原因はきっと(いや絶対)私の幼馴染なわけで。


思わず、とっておきのお茶菓子でも振舞ってしまおうかと思って腰を浮かせかけた。


「・・・先生、彼女の幼馴染、なんですか・・・?」


ポツリとつぶやいた彼の言葉に私は動こうにも動けなくなってしまった。


なんて言えばいいのか、こう、知らなかった事実を目の前にしてショックで仕方ないという感じの声。

ううう、罪悪感で潰されてしまいそうだ。


「・・・はい。そうなんです。っごめんなさい。きっとリリアーノは貴方みたいな純朴で素敵な人とならうまくやっていけるだろうと思っていたんです」

「俺じゃあ、力不足、でしたね・・・」

「いえ!とんでもない。リリーが見る目がなかったからですよ!ええ!ほんとに!だって、彼女に振られた人割とすぐ次の彼女さんいてるみたいでしたし!幸せな結婚した人もいるって聞いたことありますし!」

「・・・はぁ、ありがとうございます」


私の励ましてるんだかなんなのか分からない言葉にも彼は礼を言う。


くそぉ、なんていい人なんだ。

これは一度リリーに説教してやらねばなるまい。


決意を新たにしていると、寂しげに笑ってコナーさんが話し始めた。


「先生、俺ね、これが初恋だったんですよ。いい年して笑っちゃいますけど」

「いえいえそんな!私だってもうすぐ23になりますけど、浮いた話のひとつでもあった試しがありませんし!」


あ、ちょっと自分で言ってて悲しい。

しかしそんなことは言ってられるか!コナーさんを慰めるためなら自虐ネタぐらい吐いてやる。


「どなたか好きになったことぐらいはあるんでしょう?」

「あ、ま、まぁ・・・あるにはありますけど・・・。なんていうか。好きになった人は皆リリアーノが好きでしたし・・・」


そうなのだ。幼馴染兼腐れ縁の私達は一緒にいることがなんやかやで多かった。

別にそれは構わないのだが、周りの異性の目はすべて、すべからく彼女に向かっていた。

そんななか、私が好きになる男性がリリアーノの魅力にとりつかれないなんて話もないわけで。

たとえ告白しても断られること必至な恋なんて始まる前から終わっていたのだった。


あれ?

結構考えてみると私もリリアーノのおかげで被害被ってないか?

それでも幼馴染続けている私って良い奴だなぁ・・・。


少し遠い目になる。


「先生も、大変だったんですね・・・」

「ありがとうございます。・・・コナーさん、ほんとに素晴らしい人ですよ貴方は。リリーなんかにはもったいない。きっとこれからコナーさんにぴったりのいい人に出会えますよ!」

「そうですね。これからですね」


穏やかに微笑むコナーさん。そういえば、いい年って一体いくつなんだろう?


「先生と話して、落ち着きました。ありがとうございました」


いつのまにかチャイを飲み干していた彼はそう言って立ち上がった。


「いえ、とんでもない。リリアーノがご迷惑をおかけして・・・」


ちょっとこのセリフおかしいなと思いながらも、私も立ち上がった。


コナーさんは礼儀正しくお辞儀してから店をあとにした。

その後ろ姿は、来た時ほどではないにしろ、少し落ち込んでいるように見えた。


「・・・あ、年聞くの忘れた」


店に戻ってチャイを飲み終わったあとに気づいた。


チャイって独特の味だな。シナモンがきついというか。これからは買わないかな。

これからのチャイの処遇を決めている頭の片隅で、少し考えたけれどもう会うこともないだろうと、気にしないことにした。


・・・でもとりあえずリリーは正座で説教する。これ決定。












次の休日にリリアーノの家に遊びに行って、香りのいい花を買うついでに説教して、一応ごめんなさいと言わせ、もうこの件についてのカタは付いたとこれからのシーズンに向けて薬のストックを確認していた、またまたお客のいない午後。


チリンチリンとドアベルを鳴らし、見たことのある人が入ってきた。


「・・・あれ?コナーさん。どうしましたー?風邪ですかー?」


私の問いに、コナーさんは微笑んで手に持った折詰を掲げて言った。


「この間のお詫びに」





「はーい、どうぞ。今回はダージリンですから美味しさは保証済みですよー」

「え?前のお茶も美味しかったですけど」

「そーですか?私、ちょっとシナモン系苦手で・・・」


薬類を片付けたテーブルの上には、コナーさんからの差し入れ(?)のケーキと私が淹れたダージリンのティーカップ、お好みでミルクポット。


・・・どうしてこうなった。


「あの、すみません。お邪魔でしたか・・・?」


思いっきり近くの机に積み上げた薬類を横目で見て彼が言った。


「え?いやそんなー。気にしないでください。ちょっと在庫確認してただけですからー」


本当はちょっとばかし思っていたけれど。


「そうですか。よかった」


なんてコナーさんが嬉しげに笑うものだから、皮肉っぽい思考もどこかへ飛んでいってしまった。


それにしてもお詫びだなんて律儀な人だ。

しかもこのケーキ、行列が絶えないと有名な王室御用達の洋菓子店のものじゃないか。

一度でいいから食べてみたかったんだよなぁ。


じゅるり、とヨダレが出て・・・おっと。いやそれは女子としていかん、イカンですぞ。


でもこれ、ちょっと泣き顔見せてしまったお詫びにしては豪華すぎる・・・。

はっ!もしや口止め料か?!

いやそうに違いない。


「私、誰にも喋ったりしませんから!コナーさんが振られて号泣してしかもそれが初恋だ、なんて!ええ!誰にも!」

「・・・やっぱり、みっともなかったですか・・・?」

「いえ!そんなとんでもない!ただ、私は別にこんな高級なお菓子で口止めされなくても喋ったりしないですし!」

「口止め・・・?あぁ、俺そういうつもりじゃありませんよ」


ニコリとコナーさんは笑った。

おお、やっぱりイケメンだ。こんな人を振るなんてリリーってやつは贅沢だな、まったく。


「で、でも。このケーキはじゃあ何なんですか。ビンボーな私には刺激が強すぎるんですが・・・」

「知り合いにここで働いている奴がいまして。お詫びに何を持っていけばいいだろうって相談したら、勧められちゃいました。カモにされたんですかねぇ、俺」


軽く笑うコナーさんに、内心戦きが止まらない。

え、なにこの人。ブルジョワ?


気にしないで召し上がってくださいとの言葉に、恐る恐るフォークを刺して一口頂く。

オーソドックスなショートケーキだが、それだけに素材のおいしさが良くわかる。


なにこの生クリーム!あっさりした口溶けなのにしっかりとした甘さ!

スポンジ!ふわっふわー!卵惜しげもなく使ってそう・・・!


「・・・おいしい、ですか?」


そう聞くコナーさんに首を縦にブンブン振って答えに代える。なんか喋るのが勿体無い。

名残惜しいが咀嚼して飲みこんだ。


「・・・うわぁ。ほんとに美味しいものって言葉が出なくなるんですねぇ。初めてですー。ありがとうございます」

「そこまで喜んでいただけて、俺の方こそありがとうございます。先生、本当に美味しそうに召し上がるんですね」


優しく微笑むコナーさん。


そんなに顔緩んでたのかな。・・・うう、ちょっと恥ずかしいぞ。


「や、マナーがなってなくてすみません。あ、それと私のことは呼び捨てしてください。コナーさん、患者さんじゃないですし」

「・・・えっと、じゃあ、あの。ユーヒ、さん?ひとつ、お願いがあるんですが」

「はい?なんでしょー?」


ゴホンと一つ咳払いして、コナーさんは言った。


「恋煩いの、お薬、ください」


「えっ」


どういうことだ?


混乱している私に向かって、彼は噛み砕いて教えるように言った。


「つまりですね、俺、貴方に恋をしてしまったんです」


「え。・・・っえええぇっ?!」


にこやかに笑うコナーさん。


・・・この人、かなり惚れっぽいんだな。

え、でもどうしよう?


どうしよう?


「すみません。いきなり過ぎました」

「はぁ、あの」

「返事は急ぎません。では、また」


颯爽と立ち去る彼を、私は見送ることしかできなかった。





「え?これ夢?」


いくら欲求不満でも白昼夢って、ねぇ・・・。


頬っぺたを思いっきりつねると、ものすっごく痛かった。


うわ。現実みたいだ。


「・・・どうしよ」


彼氏いない歴=年齢だった私が、こ、告白されるなんて。


困った。

嫌いじゃないけど、そこまでコナーさんのこと知らないし。

ってか当たり前だ。まだ会って二回目だぞ?


でも振られて可哀想なほど号泣した彼を見てしまったからには、軽々しく断れない・・・気がする。


「ああ、もう。どうしたらいいんだ」


頭を抱えるしかない。


とりあえずこのケーキ食べて、在庫確認して、歯磨いて、少し早いけど店じまいして、寝てしまおう。(人はこれを現実逃避と呼ぶ)

私はケーキを口いっぱいにほおばった。


「・・・やっぱおいしー」






このあと、翌日から始まったコナーさんの猛烈アタックに私がとうとう折れてしまうのはまた別の話。



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