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大怪獣ゲスラ  作者: ロッカ&参照太夫
25/45

  ジェノサイド。……その罰ですか?

 カーン少佐が地球へ着くと、コードネーム〝近所のオッサン〟と〝買い物帰りのオバサン〟が待っていた。

 時は夜半。場所は出没湖畔。

 高速艇は潜水して湖中を進み、3人は流木島へ上陸した。


 ほこらの前の大穴の入口には、しめ縄が張ってあった。

 そしてその脇には、各省庁の覚書おぼえがきや注意事項が、立て看板となってズラリと並んでいる。

 日本政府の特別調査隊は、超巨人と遭遇した結果、すっかり怖気づいてしまっていた。


「あんなの(超巨人)がいるんだぜ! 冗談じゃない!」

「ゲスラだって、うじゃうじゃいる筈だ」

「じわじわ準備を整えながら、交代要員が来るのを待とう」

「必ず仮設トイレを使う事。立小便なんかしたら……」

「井出隊員の時のように、アイツ(超巨人)が出てくるかも……」

「ひゃ~! くわばらくわばらくわばら……」


 大穴に入るのが嫌で、立ち入り調査をぐずぐずと日延べしているのだ。


「そうだ! 産業廃棄物を大穴に棄てた場合の、罰則規定の立て看板は、まだ作ってない!」

「明日はその看板を作ろう」

宮司ぐうじの許可証も用意してもらおう」

禰宜ねぎの許可も付け加えた方がいい」

「もっと手間のかかる事は、何かないかな?」

「湖畔の駐車場使用の手続きを、複雑にしよう」


 官僚主導の調査隊は、お役人の本領を発揮して、複雑な手続きを作っている真っ最中であった。



〝近所のオッサン〟と〝買い物帰りのオバサン〟がキャンプに現れた。


 警備担当の警察官が言った。

「あー? 何だお前たちは? 駄目駄目、民間人は……」


 ──ジュバババッ


 と二人の熱線銃ブラスターが火を噴いた。

 警察隊は一発も発砲できずに、全員黒こげとなった。

 二人はテントの中を、順番に覗き込んで、引き金を引く。


「グエ~!」

「助けてくれー!」

「殺さんでくれー!」

「なんでオバサンが?」


 火が付いたテントは、すぐさま消化剤を使って鎮火させる。

 なんという、陰険で悪辣なやり口。


 善男善女が、黒こげになって、半こげになって、丸焼けで、生焼けで、阿鼻叫喚の悲鳴をあげて転がる。

 逃げ出した奴は、カーン少佐が静かに追う。すぐに追い詰める。


「頼む。見逃してくれ!」

「俺達が何をしたって言うんだー!」

「何もしなかったからかー?」

「お前は何者だー!」


 ──ジュバババッ


「ギャー!」「熱っちっちっちイ」「アヒー!」「人殺しイ!」「オニ!」「悪魔ア!」


 カーン少佐はほくそ笑む。

「ふふふ。虫けらども……」


 更に断末魔の悲鳴に次ぐ悲鳴。


「きゃっはははは!」

 発狂した女性隊員の叫笑が響く。


 3人は、しらみつぶしに始末してゆく。


 くすぶり続ける黒こげの死体からは、焼肉の匂いが立ち昇る。

 血まみれスプラッターとは、また違った、高熱、焼け焦げ地獄。

 それは、悪魔のバーベキュー・パーティー。


 52名からになる特別調査隊を、あっと言う間に皆殺しにした。



 ジェノサイド。……それは大量虐殺。

『江守友和の冒険』始まって以来の惨酷な展開。

 悲惨の極みであり、人間性のカケラも無い。



 まるで、ロブ・ゾンビ監督の……『マーダー・ライド・ショー2・デビルズ・リジェクト』のような……あれは……オールマン・ブラザース・バンドの『ミッドナイト・ライダー』って曲で始まる……まさに傑作!……。ところで……韓流時代劇、『善徳女王』は……拷問シーンに至ってさえ……主人公が、女だって事がバレない。……もー! 誰が見たって、女にしか見えないだろ! あはは。虚構を楽しむって事に対する、製作者と視聴者の、阿吽の呼吸を見る思い。……それにしても、つぼを心得た、憎いストーリー展開。……面白い! まあ、ヒロインが、お姫様の格好になったあたりからアキるけどね……。『江~姫たちの戦国~』……「ワシガ・イシズエトナッテ・ミンナガ・スミヨイ・ヘーワナヨノナカ・ヲ・ツクレタラ・ソレコソガ・ホンモウ・デアル」ってな調子のキモチワルイ信長さん・・・ウググ・・・ゲボボ・・納豆味のケーキだ!……ウッスラボケの高齢化社会に媚を売って視聴率を稼ぐつもりなのだろうが……、ウッスラボケ社会に拍車をかけてドースル? と、「イイタイノデアル」……。 第一、信長様は助かって、フェロモン号に乗って、今でも森蘭丸やコトミ艦長と一緒に、銀河宇宙を飛んでるんだもんね。あ、……救急車だ。ドシタノ? ウワ! 俺は正常だ! 連れてかないでくれ! ……とにかく、最近のNHK大河ハ……『竜馬』もそうだったが……ナゼ……キレイゴト・ノ・タテマエバカリ・ヲ・強調スルノダロウカ? ラブ&ピースを唱えときゃ間違いないって? こんな調子だとラブ&ピースだって、死にたくなるだろう。大河制作陣は・マ・コンナモンデ・イーダロ? ショミン・ノ・ブンザイ・デ・モンク・タレルンジャネーヨ! ソレヨリ・オマエ・視聴料払ッテンノカ? ト・ウエカラ・メセン・デ・タカヲククッテイル・・・。 


 ジェノサイド。……それは大量虐殺。

 めらめらと再び燃え上がる脂質の多い死体。

 かの、安禄山の超肥満死体は、臍に灯心を差し込んで点火したところ、何日も何日も燃え続けたと言う。



 そうだ。ドサクサまぎれにお便りを読もう。「大怪獣ゲスラ」は思った以上に面白いデス。ロッカさん頑張ってクダサイ。う。嬉しい。そーです。面白いと思って読んでクダサイ。ツマラナイと思って読むと、ツマラナクなります。何事もそーいうものなのです。ところで『蒼穹の昂』ハ・面白い。……ジュリー・ハ……ナンテ恐い・ニョーボ・ト・暮してイルンダアァァァァァ……。元妻のザ・ピーナツは元気かな? あれ? ジュリーと結婚したのはどっちだっけ? 「姉でしょうか? 妹でしょうか? いいえ。どっちも。」って、金子みすずの詩のCMのギャグです。「ツマンネーゾ!」って……そういう時もあります。



 う~! ジェノサイド。……それは大量虐殺。


 あー解った解った。解ったでありんすから……。

 と、参照太夫が言った。



「生き残りはいないわね。いくら下等な地球人だって、逃げられたら面倒だわ」

 と買い物帰りのオバサン。


「そうだ。連盟なんかの耳に入っちゃ、面倒事になるかもしれん」

 と近所のオッサン。


「そこまで考える必要は無い。生物兵器の秘密が解けたら、どのみち、熱核爆弾を使う事になる」

 とカーン少佐。


 まことに「連合」は非情だ。情け容赦が全く無い。





 装備を点検しながらカーン少佐が言った。

「ここから先は俺の仕事だ。君たち二人は、水中の高速艇で待機していてくれ。もし俺が帰らなかったら、その時は……」


「怪獣のいる穴に入るなんて、嫌よ!」

 と、買い物帰りのオバサン。


「俺だってご免こうむるぜ」

 と、近所のオッサン。


「うむ。仕方がない。万一の時は、イカレヒルダに連絡してくれ」

 と言い残してカーン少佐は、大穴へ入って行った。


 右手に熱線銃、左手にライトを持って、洞窟を進んで行く。

 ライトは担ぐような感じで、逆手にして持っている。

 これは警察官やFBIなど、その筋の〝決まりごと〟だ。

 何故そのような持ち方なのか? …… 

 知ったかぶりのウンチクを書きたいが……、残念ながら、忘れた。


「ちゃんと調べてから書くでありんす!」

 と参照太夫。


「知ってるトコだけでも……書きたいじゃないか。あ、思い出した! いつでも悪い奴をぶっ叩けるように、構えてるって事だった。……ふう」

 とロッカ。



 どのくらい進んだろうか?

 途中、胃がでんぐり返るような、変な感覚を味わった。

 足元のツタがやけに絡まってくる。


「まてよ?」

 と立ち止まる。

 地面を照らしてぶったまげた。

 ツタじゃない。絡まってくるのは大量の蛇だ。

 洞窟の地面は、何千いや何万匹もの蛇で埋め尽くされていた。

 なんとも嫌な色の地面が、まるで波打つようにヌラヌラとうごめいている。


 蒼白になったカーン少佐は、すぐさま熱線銃の引き金を引いた。

 だが、何故だか不発なのだ。何度引いても熱線は照射されない。


「ひええ~!」

 と思わず悲鳴をあげたカーン少佐は、蛇が大嫌いだ。

 人は蛇嫌いと蜘蛛嫌いに、二分されるという。


「そうだ! 俺は蜘蛛は平気だ! だけど、蛇は、蛇は、嫌だあぁぁぁぁぁぁぁ」


 逃げようとしたのだが、幾重にも絡みついた蛇によってがんじがらめにされた。動けない。

 おまけに、洞窟の天井からも蛇が、おびただしい数の蛇が、ボタボタと落ちてくる。

 蛇の海に倒れこんだカーン少佐を、蛇が覆う。

 襟から袖口からズボンの裾から入り込んでくる冷血の、爬虫類の嫌な感触。

 五体に、顔に、蛇は絡みつき這いずり回る。

 どいつもこいつも、


 ──シャーッ! シャーッ!


 と大口をあけて、チロチロと、長い先割れの舌を、出したり引っ込めたり……。

 カーンの口の中に、もたげた鎌首を擦り付けて、入り込もうとする。


「うきゃうわうわうわう」

 と、変な声を発したカーン少佐は、ジョワジョワジョワと、盛大に失禁した。

 もう、とっくに限界なのだが、連合諜報員は最後の意地を見せた。


「蛇め! イカレヒルダめ! 小便ひっかけてやった! ザマミロ!」

 と叫んだ。

 だが、四肢がピクピクと痙攣を始めた。そのまま白目となり、口から泡を吹いて失神した。



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