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大怪獣ゲスラ  作者: ロッカ&参照太夫
23/45

  やっぱり友和

 初めての銀河系からの来訪者に、誰もが興味津々なのだ。

 好奇心とは、知的生命体の必須条件なのだから。


 ここはテレパスの星アドロ。

 誰もが、何もかも、お見透し。

 考えてみると、かなりうざったい。

 だからこそ、思いやりと優しさが、必要条件となったのだろう。


 さて、バーの中では、やっと緊張の解けたエンタメとaタイプが、飲食を始めた。

 安心したaタイプは矢次早にデザートを注文している。


「エンタメさんはきっと〝さとるの化け物症候群〟にかかってたんだな」


「ううむ。上手い事を言う。さすがは特異点だ」


「しょうがないよ。俺達はテレパスじゃないんだから。……だがしかし、明日はいつもの愉快なエンタメに戻っている事であろう」


「おいダンナ、声に出して喋ってるよ。下手くそで偉そうなナレーション」


「この星じゃ、その方がいいかもな」


「成る程。……とエンタメは言った」


「その調子だ。と友和」


「はむ、はむ、はむ、はむ、とaタイプはとっても美味しいです。はむ、はむ」


「ぶははは面白いな。と、たまには失敗もするが、実は頼りがいのある、渋い男前、女泣かせのエンタメが言った」

 エンタメは顎に力を込めて、男前な表情を作ろうとしている。


「あははは、よく言うよ。──

 ところで此処の奴らの、この写真、な。まさに、でくのぼうって感じだな。

 この身体、野球のバットみたいな棒っ切れで、できてんのかな?

 えへん。拙者とて、木石ぼくせきではござらん。って木の木っ端じゃないか。この、木っ端役人があ! ってあっはっは。

 議長、あなたはアドロの宝です。いつもは邪魔だけど無けりゃ困る。そう。コタツの脚です。

 うっぷっぷ。この写真、ウチのコタツの脚にそっくりなんだよ。

 それから恋人達。

 ああ、君の木目は素晴らしい。なんて言うのかな?

 化粧品はこれ一発! 艶出しワックス。な。

 あはははは火気厳禁だな。

 はあ、止まんなくなった。可笑しくってな。

 なんせ棒っ切れだもんな。あはははうっそみてえ。

 虫メガネで探してみたら、ちっちゃい穴ポコのような目ん玉と、虫食いみたいな口が、ちょぼっとあったりして。いや、きっとある。

 そしたら笑っちゃうよな。

 そんでもって、その虫食いのおちょぼ口から、ユンケルのストローみたいな極細のやつで、チューチューと、流動食すすってたりしてな。

 そして言うんだ。君の料理は最高だ! 何が料理だっぎゃっはっはっは」


 アドロ星に激震が走った。


 だがそれは、侮辱されたテレパス達の怒りとは、ちょっと違っていた。

 長きに渡って培ってきた、安全にそして快適に生きる為の知恵とも言うべき、相互理解の為の、思いやりと優しさ。これに真っ向から冷や水を浴びせられたのだ。

 この刺激は、テレパス達に、えも言われぬ快感をもたらした。


 まさに、初めて味わう〝不謹慎な刺激〟であった。

 さっそく星全体をテレパシーが駆け巡る。


(これは、たまりませんなー)

(何ですかねーこの感覚は)

(想定外の快感なのね)

(ひどい事を言いやがる! って言うんですよ)

(お? さっそく覚えましたね)

(気持ちいー)

(ビリビリくるわー)

(シビレちゃう)

(面白いですな)

(しかし、木目ほど美しいものは無いんだがなあ)

(ダロメ星から帰ってきたマルリンの木目なんか、たまらんですな)

(あれはかなりエッチな木目だね)

(聞こえたわよ)

(マルリン、バッカは褒めてるんだよ)

(何よマルリンばっかり、私の木目の方がずっとセクシーよ)

(とにかく、あの三人、今後も目が離せないわね)


 まさに視聴率百パーセント。

 予定調和の安定世界を守る為に、これまで無意識に封印してきた、このたまらない〝不謹慎な刺激〟

 知的生命体にとっての必須条件とは、好奇心プラス、何てったって〝刺激〟なのだ。

 当人達はご存知無いのだが、この〝不謹慎な刺激〟を発信する銀河系の三人組は、今やアドロ星のスーパースターとなった。



 ところで、エンタメ放送局は続いている。

「ああ、ダンナにゃもう負けるよ。と溜め息のエンタメは言った」


「はむ、はむ、あーん。このケーキ、もお最高! アドロのデザートは宇宙一だと思います。と、いつでも一番綺麗で可愛いaタイプが、美しい声で言いました。おしまい」




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