出会い
恋とは何か。それは醜く、美しく、甘酸っぱく、難しく、簡単で、恐ろしく、嬉しく…そんな感情が入り乱れる事象だと私は思う…
私、倉本奏は恋をしています。相手は一つ上の先輩、田村創夜先輩です。先輩との出会いは今から一年前、入学して数日が経ったある日でした。
「…しまった…職員室の場所を聞けばよかった…」
私は先生に学級日誌を提出するために職員室に向かっていた。ただそこで問題が起きた。それが私が方向音痴で口下手であることだ。誰にも声をかけられず、私がどうしようか慌てていると1人の男子から声をかけられた。
「大丈夫?」
優しい声色だった。私がその男子の方を振り向くとそこには美少年が立っていた。整った顔、綺麗な瞳、芸能人と言われても納得してしまうような人でした。
「えと…あの」
「ん?あ、それ学級日誌だよね?職員室を探してるのかな?」
「え、あ、はい」
我ながら最悪な返答だ。普通なら気持ち悪がって離れていくだろう。でもその美少年はそんなことを言わずに職員室に案内してくれた。
「あの…ありがとうございました!」
「別にいいよ。後輩を導くのが先輩の勤めって僕の友達が言ってたから。」
「あの!お名前を聞いてもいいですか?」
「ん?僕は田村創夜、2年生だよ。君は1年生だよね?」
「はい!1年の倉本奏です!あの、また困ったときは頼ってもいいですか?」
「いいよ!たくさん頼ってもいいからね!」
その私に向けられた笑顔、これまで一目惚れなんてない。恋は相手を知ってから始まる。そう思っていた私の心はいとも容易く撃ち抜かれた。そしてこれが先輩との出会いだった。




