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「そろそろ梅雨が明けます」


朝のニュースの天気予報で、

アナウンサーが何気なしに言った言葉。


その時は何も感じなかったけど。

豪太はふと通学途中で反芻したら、脳の中で目の前のことと繋がった。



『やばい!水たまりが少なくなっちゃう!』


そうはいっても授業はあり、いつでも水たまりに映る世界に行き放題という訳では無い。


授業中、豪太は考えを整理することにした。


『この水たまりの世界はなんのためにあるんだろう?』


『一番端までいったら何があるのだろう』


『俺のほかに人はいるのかな。』


しかし当然ながらいくら考えても、

答えは出ない。


最近は何をしていても思考の沼にハマり、勉強だって手つかずになり、

授業は上の空となり、

小テストの結果は悪くなり、

親からは怒られるという悪循環になってしまった。



豪太は自宅のパソコンで、

それこそダメ元で、

水たまりに映る世界、とぐぐってみたが、

アニソン歌手のアルバムタイトルしかない。


念の為と思って歌詞も調べたけど、特にリンクしそうなものではなかった。

(当たり前だが、豪太は藁にもすがるようなテンションにまで、追い込まれていたのだ)



誰かに話したいけど、頭おかしいやつだとぜったい思われそう、というのと。



自分だけの秘密にしたい、という思いもあり、誰にも話せなかった。



「最近どうよ?」という、直樹のからのちょっとした会話への受け答えも、「あぁまぁまぁかな」なんて。


なんだか当たり障りなく、白々しい返答になってしまっていた。


もともとなにかを隠しながら話せるほど器用に立ち回れる人間ではない。



『この秘密を誰かに話したい話したい話したい』



『いや、話せない話せない話せない。』




今日のこの、どんよりとした雲とリンクして、豪太の心模様はグレーだった。




一方で、水たまりの世界の攻略は順調だった。水たまりの生き物は特に襲ってくることはなかったので倒し放題だった。



しかし翌週、まもなく本当に梅雨が明ける週に、

豪太が生き物を倒しすぎたことを、

まるでとがめるかのように、

大きいやつが寄って来た。


豪太は傘の銃で迎えうったが、

そいつは一発じゃ死ななかった。


動き自体はゆっくりだったから、

もちろん逃げ場用の水たまりは確保したうえで、他の近くの水たまりを吸いつつ、なんども攻撃。

5発目で倒れた。



そいつが倒れた後には大きな、大きな水たまりができた。



豪太は、興味本位で、考え無しで

その大きな水たまりに入ってみた。




すると、今まで水たまりに落ちると元の世界に戻っていたのに。


今回は、更に下に落ちていった。



景色は土砂降りの中を落ちていくような感覚。



『やべ!これやばくない?』と焦りながら、豪太はなんとか倒れることなく着地した。

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