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夢の中で、豪太は不思議な夢を見た。

誰かが自分を呼んでいる気がする、そちらの方を見てみると、浮遊感というか、落下していく感じだ。



目がぐるぐるまわりそうだ。テレビの砂嵐が螺旋に渦巻いているような、デジタルグリッチの灰色の世界で、ひたすらおっこちていく。底が見えず、落下も止まらない。



気持ちが悪くなりつつ、どれくらい落下を体感していたかわからないが、

豪太はいつの間にか気を失っていた。

その結果、嫌な汗をかきながら起きあがることになり、学校へ行くのが少し憂鬱になるのだった。



この日は朝から雨だった。件の傘をさしつつ、徹底的に水たまりを避けた。



『水たまりを踏み抜いたとして、こっちの世界に帰ってこれなくなる可能性はあるのか?いや、大丈夫でしょ。』授業中はずっとその自問自答を繰り返した。



根拠はないけど、大丈夫な気はしてはいた。そしてその帰り道、恐る恐る水たまりに、まずは傘を持たずに足を入れてみる。踏み込んで見る。落ちない。



次に傘を持って足を水たまりに入れる。入れただけでは落ちなくて。豪太は水たまりを踏み抜いてみた。それでも落下することはなく拍子抜けした。



最後に傘を差しながら踏んでみると、着地せずに落っこっていった。

『そーゆーことなのね』冷や汗をかきつつ原理を理解しつつ、

ジェットコースターで逆さまになる感覚。気持ち悪!と思った瞬間に着地した。なぜか3回目はダメ元でうまくいくと思ってなかったから鳥肌が立っていた。



『まじで何なんだろう、この世界。

ただこの気味の悪い傘が鍵になっているのは間違いないな』と豪太は確信した。



この世界の中では雨が降ってない。ただ水たまりはずっとゆれていて、世界自体がなんとなくゆれているかんじ。



この世界の水たまりを豪太が傘でつついて見ると、水がなくなった。まるで傘が水をストローで吸ったかのような感覚だった。



豪太は水たまりの世界を散策することにした。一見すると普段の世界と一緒だった。

しばらく歩くとちょっとだけワープする。

『きっと、水たまりに映るセカイ上でしか進めないんだ。』



まだちょっと怖くて、その日は数分程度の散策で豪太は帰宅することにした。

また翌日、昨日よりは大胆に踏み抜いて、到着した水たまりに映るセカイ。



恐怖心は幾分薄れつつまた散策をしていたが、何かいることに気づいてからは、怖いよりもまず驚きが勝った。



それはまるで、水たまりが固まって何とも言えない動物のような形をしているものだった。



よくよく目を凝らして見てみると、犬っぽい形、猫っぽい形、サルっぽい形など、ちょっと輪郭がぼやけているのではっきりしないのだが、多様な形をしていた。



怖さは感じなかったが襲ってくるかもしれないので、油断してはいけないと豪太は思った。



自分を守る盾のかわりができるかと傘を開いてみると、傘の先端から、勢いよく水が発射されることがわかって、それもびっくりした。

自分に圧がかかって後ろに押されるほどの、なかなかの水圧だ。強めの水鉄砲みたいな感覚。



どれぐらいの攻撃能力があるのか調べたくなって、反撃される前にすぐに元の世界に帰れるように、水たまりのすぐそばで、遠くの生き物っぽいなにかに発射する。

当たらない。そして多分生き物は豪太に気づいたようにみえた。



目とかはないけど首をふってこちらをみたように感じられたからだ。



急いで元の世界に戻る。

ドキドキがとまらない。焦ってはダメ。『明日また。気持ちをリセットして』と自分に言い聞かせて家路についた。

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