4
その日以来、昼休みは仲間にいれてもらって充実できたが、自分のクラスではいまいちな日々が続き、なんなら他のクラスのやつと仲良くして!?みたいな陰口が叩かれていないか、豪太はモヤモヤしていた。
思春期あるある、自意識過剰な状態である(誰も他人のことなんてそこまで気にしてないのだ。しかも、とりたててイケメンでも何者でもない豪太である。)
舩山さんは小学校からの彼氏がいることを、舩山さんと同じクラスであった直樹から聞いて、『そりゃあんだけかわいきゃそうだよな』とがっかりしたけど納得はできて。
わりとあっさり豪太の恋は終わった。「なに、好きなの?」と直樹にニヤニヤされながらいわれて、図星だった豪太は返す言葉を考えておらず絶句してしまったけど。違う話題に強引に切り替えたら意外とはやしたてられることはなかった。
その後、船山さんにすれ違うたびに一人で顔が熱くなって、自己嫌悪に陥っていたが、そうこうしているうちに浮気っぽいもので、豪太はまた、直樹と同じクラスの石瀬さんも気になっているのであった。
だから直樹が、席が隣だった石瀬さんと話しているのを見ると胸が痛んで。そのくせ会話に入っていく勇気が出てこず。
そんな自分に豪太はイライラしていた。恋多き男は困るんだぜ、なんて。ひとり嘯いていて、顔を合わせては顔を赤くしたりして。忙しい男であった。
そんなこんなで早いもので5月が終わり。
6月に入って梅雨の時期、登校時には傘を持ってきていたものの、下校時は止んでいたから、すっかり傘の存在を学校の傘立てに忘れて、家路についてしまっていた。
しかし運が悪いことに、家と学校のちょうどまんなかあたりで、突然の土砂降りにあってしまい、豪太は舌打ちをした。
『クソっ』どこか、雨宿りできるそうなところはないか、とあたりを見回すと、車道のレールにビニール傘がかかっているのをみつけた。
なんも変哲もない傘に見えたが、手を出したら、どこからな怖い兄さんが来て、傘のレンタル料だせや、などと言われると怖いと思い、でもこのまま使わない、という選択肢も考えられず、キョロキョロあたりを見渡し、ドキドキしながら、豪太はその傘を拝借した。
お読みいただきありがとうございました。




