表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

聖女に呪われた国ー アスロッド王国の末路 ー

古アスロッド王国終焉録 後に堕天王国記(滅亡の記録)と表記


ガリアン歴555年 霜月

 元王国騎士カイル=レオノール、密告を携え聖王国に至る。

 その一言が、王国の命運を揺るがす引き金となった。


556年 早春

 聖王国が証言を公開。秘められてきた「聖女の搾取」が暴かれる。

 かつて沈黙していた者たちが次々と声を上げ、真実は雪崩のように広がった。


556年 春

 首都の神官や学者が逃げ出し、王都の権威は揺らぐ。

 農村では「祈りは届かない」と人々が嘆き、徴税に刃を向けた。


556年 皐月

 空は裂け、雨は途絶える。旱魃が大地を焦がし、収穫は失われた。

 民は口にする。「女神が、我らを見捨てた」と。


556年 夏

 洪水と飢饉が追い討ちをかける。人々は国外へと逃げ、村は空になる。

 山野から溢れた魔獣が街道を蹂躙し、子らの泣き声すら掻き消した。


556年 葉月

 反旗を翻した北辺の都市が陥落。火柱は三日三晩消えず、夜空を焦がした。

 騎士団を襲った病は剣を握る力を奪い、英雄たちの名を次々と葬った。


556年 長月

 王都で暴動。人々の怒声が城壁にこだまし、やがて神殿が炎に沈む。

 聖女の名を刻んだ古き記録も、灰となり風に散った。


556年 神無月

 反乱軍が合流し、王都を囲む。補給を絶たれた城下に、飢えと恐怖が広がる。

 灯火は一つずつ消え、王都は死者の街と化した。


556年 霜降月未明

 ついに王宮が炎に包まれた。

 最後まで抗った王家の血筋は途絶え、王都は瓦礫と化す。


歴史の記録

 ──ガリアン歴五百五十六年、霜降月未明。アスロッド王国、滅亡。





===============



 私は、幾つかの散逸した記録を拾い集め、この滅亡の歴史をまとめた。

 その中には、かつて聖女と呼ばれたロージィが残した薬草の手記がある。小さな庭で育てられた草花の記録に、彼女の生きた証が確かに刻まれていた。

 また、王国を去った騎士カイル=レオノールの証言も、断片ながら手元に残されている。彼の筆跡は乱れていたが、最後まで聖女の名を守ろうとした意志が読み取れた。


 私は彼らと直接会ったことはない。ただ、遺された文字の中に、人としての温もりを感じる。

 そして歴史は語る。国は滅びても、彼らが選んだ道が、決して無意味ではなかったことを。


記す者:アレシウス

ガリアン歴六百八十七年、聖王国シエルの片隅にて



最後までお付き合いくださりありがとうございました。楽しでいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ