レーシングドライバー、リサとナギサ
リサがレースを終える。
(リサ)
ふぅ、今日も勝ったわね。
はぁ……最近つまらない走りをする奴ばっかりでつまらないわ(ため息)
どこかに私を楽しませてくれるレーサーは居ないのかしら。
リサは現在連勝中。
無難な走りが嫌いで、いつもギリギリのアグレッシブな走りをする。
チャレンジ精神が旺盛で、いつも刺激を求めている。
レースの賞金は、愛車のメンテナンスとファッションに注ぎ込んでいた。
(ナギサ)
やるねぇ。
次戦からボクも参戦するから勝負だな。
良いレースをしようぜ。
ナギサはリサのライバルだ。
次戦からリサの居るカテゴリーへ参戦する事が決まっていた。
周りはナギサをボクっ娘と思っているが、実は秘密があった。
(リサ)
あら、挑発?私、そういうの、大好きよ。
ナギサとの戦いは楽しみね。
どんな手を使ってくるのかしら。
目を輝かせて微笑んだリサ。
(ナギサ)
どんな手って(笑)
正々堂々と真っ向勝負してるやん。
誰かさんはよく自爆してたけど(笑)
(リサ)
えっ?今の私の事?!
何よ、先週末のナイトエアロビでも見に来てたの?
(ナギサ)
エアロビなんかやってたんだ。
(リサ)
当たり前じゃない!
レーサーは、心身ともに鍛える事が求められるわ。
筋肉質になるのも嫌いじゃないけど、スタイルを保ちたいからね。
男の人が好きそうなエアロビもあるのよ。
胸を張るリサ。
(ナギサ)
で、自爆って、足でも攣ったん?
男が好きそうなって、男ウケ狙ってんの?
あっ、モデルもやってるからか。
リサは少し恥ずかしそうにしながら……
(リサ)
あ、あれはちょっとドリンクを飲み過ぎたせいよ。
モデルとしての仕事柄、水分補給を怠ると大変なの。
男ウケする服装やポーズだって、仕事上必要だから仕方ないでしょ!
(ナギサ)
あっ、水分取り過ぎて、ポーズとったら、漏らしながらキラキラしたのね(半笑)
まぁ、モデルなら仕方ないか(笑)
リサは顔を赤くして怒りだす。
(リサ)
馬鹿!そんな失礼な事、言わないでよ!
たしかに私はレースの時のように制御不能になってしまうタイプだけど、流石にあれほどの失態は晒さないわ!
(ナギサ)
ホントに漏らしてゲロ吐いたんだ(驚)
(リサ)
あっ……うっ……その、失敗しました。
あなたには内緒にしておきたかったのに……
リサは慌てて弁解をし始めたが、途中で口をつぐみ、黙ってしまう。
(ナギサ)
ありゃりゃ、お漏らしゲロクイーン、爆誕ね(笑)
悔し涙を浮かべ、拳を握りしめるリサ。
(リサ)
もうっ、これ以上、私の失態を話題にしないで!!
良い事?今度のレースで邪魔するような真似をしたら、許さないから!
(ナギサ)
邪魔って……そりゃ簡単に勝たすわけないでしょ。
こっちだって勝ちにいくんだから。
(リサ)
ふんだ!それなら思いっきり勝負をしにきなさいよね!
まぁ、頑張れているところを見たら、放っておかないかもしれないけど。
(ナギサ)
よく言うよ。
いつもプレッシャーかけたら暴れ出して自爆するくせに(笑)
(リサ)
うるさいな!私が勝負強い事を知っているのに、どうしてそんな事言うの!
リサはそっぽを向く。
(ナギサ)
ボクには勝負弱いよね?
(リサ)
えっ……えっと……そ、それは、あの……
リサは反論できずに口ごもる。
(ナギサ)
まぁ、頑張れ(優しい目)
リサは不意打ちの優しい言葉に動揺する。
(リサ)
う、うぬぅ……私に対して余裕の表情でいるなんて許せない!
次のレースで全て報復してやるから、覚悟しなさい!
(ナギサ)
はいはい、今のところ、リサの全敗だもんね。
(リサ)
もう!いい加減にしなさいよね!
リサはマシンを叩く。
(ナギサ)
そういうとこ、直そうか。
マシンは悪くない。
大事な相棒だろ(ため息)
リサははっとして、肩を落とす。
(リサ)
あ、ありがとう……
でもレースに限って言うと、勝つ為には手段を選ばない方が良いと思うのよね。
私は常に挑戦的で、リスクを冒してでも前に進む方針なの。
あなたはどうなの?
(ナギサ)
ケースバイケースだよ。
まぁ、リサはそのスタイルでファンの心を鷲掴みにしてるんだから、良いんじゃない?
リサは目を丸くする。
(リサ)
ファン?まさかね。
レーサー同士の対立で挑まれただけだと思うよ。
(ナギサ)
アンタねぇ……(ため息)
観客を忘れてない?
アンタのサイン色紙もグッズもかなり売れてるでしょ?
ボクらはエンターテイナーでもあるんだから、観客のファンも魅了しながらレースで勝たないと。
呆然と口を開けるリサ。
(リサ)
なるほど!私は自分が人気者だとは思ってもいなかったわ。
観客の多くが女性という事に気づかなかったし。
(ナギサ)
リサに女性ファンは多いよ?
まぁ、女性の7割はボクのファンだけど(笑)
(リサ)
えっ?そうなの?!
ど、どのように魅力的なの?
リサは目を輝かせる。
(ナギサ)
男連中をねじ伏せる、女王様的なところ。
女は勝てないという常識をボクら二人で覆してるでしょ?
まぁ、優勝回数が多いボクの方がファンは多いけど、チャレンジングでアグレッシブなところがファンに魅力的みたいだよ。
陰では"女帝リサ"とか"リサお姉様"って根強いファンが居るよ。
(リサ)
そうなんだ!私にああいうファン層が存在してるなんて……
レースクイーンの世界には行かないけど、ファンミーティングなどでは会う機会がありそうだわ。
興奮気味に食いつくリサ。
(ナギサ)
キャラのイメージを崩さない程度にファンサービスはした方が良いと思うよ。
(リサ)
そうね!レースで活躍するだけでなく、応援してくれるファンとの信頼関係を築く事も大事よね!
ファンへの感謝の気持ちも忘れないようにしなくちゃ。
リサは頷く。
(ナギサ)
本当の事なんだけど、こういうプレッシャーにリサは弱いよね(ボソっ)
(リサ)
なっ、なによそれ?!
リサは一瞬固まった後、目をつり上げて睨んだ。
(ナギサ)
嘘ではないよ?
でも、周りの目が気になるとね(笑)
(リサ)
最低よ!女帝としての地位とファンの期待を背負ってレースで負けてしまったり、失態を演じたら、周りから見放されそうで怖くなるじゃない……
(ナギサ)
メンタル攻撃(笑)
でも、それは皆んな同じだよ?
(リサ)
だとしたら、他のレーサーはどうやって克服しているの?
心理的なアドバイスや薬品による症状緩和とかあるの?
(ナギサ)
アンタ、薬物に逃げる気?ファンが失望するよ?
うーん、例えば趣味とか、性的快楽とか。
まぁ、その気になったら、抱かせあげても良いよ?ボク、バリネコだから(照)
(リサ)
だからバカな事、言わないでよ!
第一、どうしてSEXに話が飛ぶの!
顔を赤くして否定するリサ。
(ナギサ)
レースの後ってアドレナリン、バンバン出たのが治らないでしょ?
アレを鎮めるにはSEXが一番良いって話があるのよ、お姉様(笑)
(リサ)
頭おかしいんじゃない?
もう、本当にバカなんだから!
両手で顔を覆い隠すリサ。
(ナギサ)
サーキットの近くに娼館が多いでしょ?
それが証拠よ。
まぁ、誰でも良いわけじゃないから、ボクはリサなら良いよ。
お互いライバルだけど、戦友でもあるし。
(リサ)
うー……でも、レースで失敗しても、平気な顔していられる自信がないわ。
リサは俯き、唇を尖らせる。
(ナギサ)
だから、そういう時なんか、余計に慰め合うんじゃない。
(リサ)
そうね……そんな事があるなんて、思いもしなかったわ。
でも、セックスはまだ早いし……
(ナギサ)
そうでもないよ?
それにリサなら、そうした方が今より良いパフォーマンスができると思う。
(リサ)
う、うぬぅ……
口ごもり、視線を逸らすリサ。
(ナギサ)
まぁ、考えといてよ。
ボクはリサならいつでもウェルカムだから(照)
(リサ)
えっ?……私はそういう事は別に考えてないの……
頬を赤く染めて、小さくなった声で答えるリサ。
(ナギサ)
"モノは試し"って言葉があるよ。
騙されたと思って試してみない?
(リサ)
もう、困った人ね!
小さな声になって、ため息をついてみせるリサ。
(ナギサ)
じゃ、行こうか(照)
ナギサに手を引かれ、無理矢理ホテルに連れて行かれるリサ。
自分でも驚くぐらい激しくナギサを蹂躙する。
朝になって目覚めると、横ではナギサが眠っている。
昨晩の出来事を思い出し、頬を染めるリサ。
(リサ)
ううっ……
(ナギサ)
次のレース、頑張ってね、お姉様。
ボクのマシンは間に合わなくて、次々戦からに伸びたから。
リサは次戦で、今までにないパフォーマンスで優勝した。
今まで燻っていた何かが抜けたような感じがしたからだ。
(リサ)
ありがとう。
この調子なら、次のレースでも優勝できるかもしれないね、うふふっ♡
リサはまたナギサを激しく蹂躙した。
リサは次のレースでも勝利を収める。
(ナギサ)
もう、お姉様ったら、激しいんだからぁ(笑)
しかし、その次のレースはナギサが勝利した。
(ナギサ)
今までになく好調だわ。
このまま二人で盛り上げましょうね。
リサは頬杖をついて、レース後のインタビューを待つナギサに語りかけた。
(リサ)
でもね、これで二人が恋仲になった事は周りには言わない方が良いよ。
(ナギサ)
当たり前だよ。
二人はライバルで戦友。
ファンの為にもこれを崩すわけにはいかないわ。
これはリサとの間だけの秘密ね(微笑み)
リサはナギサにウィンクする。
それからまた次のレースに挑む。
今度は抜きつ抜かれつの接戦になるが、なんとかリサが勝利を収める。
(リサ)
やったわ、これで連勝よ!
(ナギサ)
夜とレースで連勝されちゃった(笑)
こんなレース、今まで出来なかったよね。
(リサ)
もちろんよ!
元々レディは挑戦的で積極的な姿勢が好きなの。
あなたと知り合えて良かったわ。
(ナギサ)
夜もかなり積極的だもんね。
今夜も激しいよね?
でも、次のレースはボクが勝つよ(ニヤリ)
(リサ)
どうかしら?
夜、存分に可愛がってあげるわ、ふふふっ♡
レースになると激しくも華麗なレース運びで着実に優勝とポイントを積み上げていき、年間チャンピオン争いもナギサとリサの対決になる事が多かった。
周りはもはや"ライバル"ではなく"シスターズ"と呼ぶようになり、人気を二分した。
しかし、レースはハプニングが付きもの。
接戦をしていたナギサとリサにとんでもない事が起こった。
リサがミスしてナギサのマシンに接触した。
ナギサは弾かれ壁に激突、マシンは炎に包まれる。
なかなか出てこないナギサ……
(リサ)
ああぁぁぁっ!!
マシンを止め、その場に項垂れて号泣するリサ。
やっとナギサが助け出され、運ばれる。
骨折と火傷で瀕死の状態のナギサ。
すぐにドクターヘリで病院に運ばれる。
(チームマネージャー:女)
リサさん、大丈夫ですか?
周りから声をかけられるが返事もしないリサ。
呆然とした表情をしていた。
そこへ速報が入る。
"一命は取り留めたが今夜が山場、復帰は絶望的"と。
号泣するリサの元にレースの代表が事情を聞きに来た。
リサは自分の不注意だったと泣き崩れる。
しかし、それを見て、リサがナギサを"故意に"潰そうとしたのでは?と疑い始めた。
この事がマスコミに知れたら……
翌日、奇跡的に意識を取り戻したナギサがマスコミにコメントを発表した。
"私をこんなにしたんだから、今年、チャンピオンを獲らないと許さない。必ず復帰するから、またレースをしよう"と。
(チームマネージャー:女)
やったね、リサ!
これで疑惑も晴れたわ!
喜ぶチームマネージャー。
リサは安堵したが、一方でナギサの復帰に対するプレッシャーを感じていた。
ナギサは何度も皮膚移植をし、3年のリハビリを経て復帰した。
復帰1戦目にして優勝し、完全復活をアピールした。
ナギサは"不死鳥"の二つ名を与えられた。
(ナギサ)
オラオラ、不死鳥様の復活だ!シケたレースすんじゃねぇ〜よ、リサ。
またチャンピオン争いしようぜ(微笑み)
(リサ)
分かったわ、来年こそは私も復活させてもらうわね、ふふふっ♡
レース終了後、二人してエールを送り合うナギサとリサ。
それから今までの不調が嘘のようにリサが復活し、以前よりも激しいレースをする二人。
それに比例するように夜も激しくなった。
(リサ)
ねぇ、今年こそ私もチャンピオンを目指したいな。
ナギサと激突すれば最高だよね?
(ナギサ)
受けて立とう、私はディフェンディングチャンピオンだからな(ニヤッ)
(リサ)
今年は絶対に私がチャンピオンだ!負けないでね(ニヤリ)
(ナギサ)
夜は負けっぱなしだけどね、私(照)
(リサ)
もう、夜の事はともかく、明日はしっかり準備しないとね。
(ナギサ)
はい、お姉様♡
(リサ)
じゃあ、今夜は早めに寝ようか。
明日に備えて体力を温存しなさい。
(ナギサ)
あはは。
それからナギサとリサはレース史に残る名勝負をいくつもし、引退した。
二人は同じレースで引退表明をし、最後のレースは、リサがオイルを吹いてエンジンブローでリタイア、ナギサはその7周後にエンジンのミスファイアでリタイアした。
その年のチャンピオンはナギサ、2位はリサだった。
夜はナギサの完敗、リサの圧勝だった。
その後、二人は電撃結婚をした。
同性婚は認められているが、女帝と女王の結婚に、ファンの中には鼻血が大噴火したのも居たとか。
そして二人は耐久レースの世界に行き、二人で多くのタイトルを手に入れた。
晩年は稼いだ賞金で、悠々自適のスローライフを送り、幸せに暮らすのだった。