131-135
131バラ
庭の拡がりすぎた
バラの枝を切る
バラは花びらが落ち
ただの草木となっている
トゲだけが
バラだったことを
主張している
切り落としたバラの枝を
拾う
痛い思いをして
思い知ったか
といわんばかりの
痛さで
花もないバラは
威張っている
トゲの痛みは心にしまって
枝をゴミ袋へいれる
明日はゴミ収集日だ
さようなら
バラだったもの
132ジャケット
夏の暑さが徐々に忍び寄っている
それまでの爽やかさが消えつつある
みな半袖に着替えている
そんな中長袖のジャケットを着て
歩き回っている
ジャケットにポケットがあって
必要だからしょうがない
今年の夏はジャケットで行くと決めている
下半身を半ズボンしたら
名探偵になれる
気がしないでもない
133風鈴
坊さんの
坊主頭を
風鈴に見立てて
どんな音がなるのか
気になるところ
134ティファニー
図書館の小説のコーナー
誰も著者を知らないせいで
何が良いのかがわからない
有栖川有栖
名前からしてダメな奴だ
赤川次郎
青川三郎
黄川四郎
鈴木一郎
野球は小説ではない
いろんな名前に目移りして
結局そこの図書館では何も借りずに
本を返却するだけにした
名画を借りた
ティファニーで朝食を
夕食は吉野家で
135時空
モーニングの朝は早い
アフタヌーンは読んでいない
イブニングはグッド
とりあえず時計の数字と針は空間の拡がりで
時空は歪んで縮んで平べったく伸ばして
蕎麦のように規則正しく千切りにして
うどんのようにすすって
そうやって時空の話は食べ物の話になるのであった
食べる時
いただきますした?
してなくても
食べられるの知ってた?