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最強の魔人に育てられた少年は英雄へと至る  作者: 愛飢男
序章……幼年期、魔人さん編
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6話、子供たちの心の強さ

 ~魔人さん視点~



 さて、亜人領への移住となると、問題となってくるのはその移動方法だ。


 ここから亜人領まで普通に歩いて行けば数ヶ月はかかる。


 その道中はほぼ山か森、歩きなれていない村人の足だとどれほどかかるか……


 僕が全力で飛んでいけば丸一日あれば到着出来るが、丸一日僕に抱えられての高速移動は人間には相当キツイだろうし……

 そもそも一度に全員は運べないので却下である。


「ならデカい箱みたいなのを作って僕が担いで飛んでいくか?」


 さすがに6人を乗せた箱はめちゃくちゃ重たいだろうけど、重力魔法で軽くすれば問題はない。


 風圧はモロに受けるので速度は出せないが、1週間から10日もあればたどり着くだろう。


「よし、これで行こう」


 思いついた案を4人に話すと、少し不安そうにしていたが了承してくれた。


 さすがに何ヶ月も森や山を歩くのは無理だと思ったそうだ。


 ちなみに船で海を行く案も考えたが、海には危険な魔物が多い。

 僕が起きている間は安全だろうがそうなると僕が寝れないので却下した。


 というわけで、箱の……ゆりかごの制作を開始する。

 材料は基本的には土と木材だ。


 まずは土魔法で土を限界まで圧縮、空中移動中に壊れたりしない硬度で作成する。


 外装が完成したら木材を使って内装を整えていく。


 6人でゆったり座れるベンチシートを作って設置、少し広めにしたのでこれなら疲れたら横になる事も出来るだろう。


 毛布を置いておこう……それと樽に水を入れておけばいいかな?


 予定では2時間ごとくらいに休憩するつもりだからトイレはいいか。

 誰かが行きたくなればその都度休憩でもいいしね。


 ということで完成、制作時間はおよそ30分だ。


 完成したからには一刻も早くここを離れるべきだろう。


 おそらく兵士は全員殺したので再侵攻してくるにしても時間はある。

 しかし辛い記憶の残るここからは早めに離れることが6人のためだと思う。


「ということで完成したよ。何時でも出れる」


 敬語はやめてくれとお願いされたので、少しドキドキしながらみんなに声をかける。

 タメ口とか何十年振りだろ……


「早いですね……」

「まぁ魔法でチャチャッと……まだ日が昇ってそんな時間も経ってないし、もう出発する?」

「そうですね……特に準備もありませんし、魔人さんが大丈夫であれば」

「僕は問題ないよ」


 特に疲れていないし、魔力消費もほとんど無い。


「それなら……」

「でも魔人さん、お引越しの準備は?」


 ふむ、この家をどうするかだけど……


「まぁ何十年、何百年後くらいに使うかもしれないし、ここはこのままで構わないよ」


 予定ではあと200年くらいは引きこもるつもりだったしね。


 今となっては、200年で変わるのか? という気持ちと、僕が介入して無理やり変えた方が早いんじゃないかという気持ちで揺れていたりする。


「それなら……」


 4人の了承も取れたので出発、グレンくんとルーシェちゃんにも伝えてもらった。


「まじんさん!」

「おそらとぶって、ほんとう?」

「ああ、ほんとだよ」


 ゆりかごにはちゃんと窓も付けてある。

 ガラスは無かったから落下防止に格子も取り付けてあるから安心だ。


「「おおー!!」」


 子供たちはキラキラした目で箱を見ている。

 数日前にあんな怖い思いをしたばかりなのに無邪気なものだ、

 子供なのに強いな……いや、子供だからか?


 それともハンクさんとマルクスさんの子供だからだろうか?

 あの2人も心が強かった。

 絶対に曲げない信念を持っていた。


 なんにせよ、嬉しそうなのはいいことだ。

 この子たちには、たくさんの「嬉しい」や「楽しい」を経験させてやりたい。


 そしてそれを僕が死んだ時にハンクさんやマルクスさん、奥さんたちに伝えるのだ。


 まぁ、僕が死ぬのって何時になるかわからないけど、その分土産話を持っていくから待っていてくれると嬉しいな。


「じゃあ行こうか」

「「うん!」」


 子供たちがゆりかごに駆け込み、その後に女性たちが続いて乗り込んでいく。


 僕は飛翔魔法を使って浮き上がりゆりかごの上部の取っ手を掴んで重力魔法を使いゆりかごの重さを極限まで軽くした。


「じゃあ、出発だ!」

「「おおー!」」


 子供たちの掛け声に合わせてふわりと浮き上がり空へと昇る。

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