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最強の魔人に育てられた少年は英雄へと至る  作者: 愛飢男
一章……少年期、修行編
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16話、ドワーフ族の里

「どうしたの? 何かあった?」

「いや、何も無いよ」

「そう? 元気無いよ?」

「大丈夫」


 休憩を終えて再び空へと舞い上がり、ドワーフ族の里を目指して飛んで行く。


 俺がずっと無言だったからか、ルーシェが心配そうに声を掛けてきた。


 余計な心配をかける訳にはいかない、いつも通りいつも通り……


「それより、なんの用事でドワーフ族の里まで行くんだろうね?」


 いつも通り……とは思うがルーシェと会話をしていると楽しい。

 装う必要も無く、話が始まれば普段通りに接することが出来た。


「見えたよー」


 ルーシェと楽しくおしゃべりしながら飛んでいたので気付かなかったがどうやらドワーフ族の里が見えてきたらしい。


「山だ」

「大きいね」


 俺たちはドワーフ族の里の中心にある広場に降り立つ。

 3歳くらいの時に来たことがあるらしいのだが、全く覚えがない。


「おや? アザトゥースさんこんにちわ」

「こんにちは。族長さんは工房かな?」

「はい、今の時間ならそのはずです」


 ドワーフ族の族長というのは、里で一番の鍛冶師がなるらしい。

 現在のドワーフ族の族長、ゴルドさんも当然現役の鍛冶師であり、俺とルーシェの守刀を打ってくれた人でもある。


 教えてくれたドワーフさんにお礼を言って族長の居る工房へと足を運んだ。


「こんにちは」

「「こんにちはー」」


 工房の表は店のようになっており、カウンターには1人のドワーフ女性が座っていた。


「いらっしゃい。あら、アザトゥース様」

「様は辞めてくださいよ。族長さんと会いたいのですが」

「すぐに呼んできますね」


 そう言うと女性は立ち上がり、扉の奥へと消えていった。


「師匠、なんで俺たちも?」

「今日はね、キミたち2人の装備を取りに来たんだ」


 装備を?


 いきなりなんでと思っていると、奥の扉が開いて俺の胸くらいの身長の髭面の男性が姿を現した。


「やぁアザトゥースさん、準備は出来ているよ。その2人が?」

「はい。グレンとルーシェです」


 あの人がドワーフ族の族長さんなんだろう、師匠は俺たちの肩をそっと押して挨拶を促した。


「こんにちは、グレンです。守刀ありがとうございました」

「ルーシェです。あの、あたしもありがとうございました!」


 2人で揃って頭を下げると、族長さんは優しく微笑んでいた。


「どういたしまして。2人が元気に育ってくれているようで何よりだ。申し遅れたが、儂はこのドワーフ族の族長をしているゴルドだ、よろしくな」


 ゴルドさんの差し出した手を握り「よろしくお願いします」と返す。


「ふむ、いい手だな。よく鍛えられている」

「わかるんですか?」

「当然だ」


 ゴルドさんはニヤリと笑みを浮かべた。

 この人、髭面で分かりにくいはずなんだけどなんだかよく分かるな。


「おい! 持ってこい」

「へい!」


 ガチャりとゴルドさんが出てきた扉が開いて4人のドワーフ族の男性が入ってきた。


 2人は大きな木箱、残り2人は剣を持っている。


「まずは鎧だな」


 木箱を持ったドワーフがこちらに歩み寄り、俺とルーシェの前に持っていた木箱を降ろした。


「開けてみろ」


 蓋を開けて中を見てみると、長袖のシャツとズボン、その下には黒い皮の鎧が入っていた。


「その服には特殊な製法で糸に加工した金属が編み込まれている。鎧の下に着るといい。奥の部屋で着替えてくれ」


 ゴルドさんたちが出てきた扉とは違う扉へと案内されて俺とルーシェは服を持たされてその部屋に押し込められてしまった。


 ここで着替えろということなんだろうけど、なんで一緒に押し込むの「」」…


「グ、グレン? 後ろ……向いててくれる?」

「いや、いやちょっと待って! 俺が先に着替えて先に出るから!」


 モジモジと上目遣いでこちらを見ているルーシェにクラっと来そうになりながらなんとか背を向けて着替え始める。


 なんだか見られているような気もするが、俺は男だし、別に全裸になるわけでもないから気にしないでおこう。


「ちょっと大きいな……」


 袖や裾が少し余っている。

 少し気になりはするが、まぁ問題は無いだろう。


「お待たせ、先出てるね」

「はーい」


 万が一着替え始めていたら不味いので振り返らずにルーシェに告げて先に部屋を出る。


「ふむ、やはり少し大きかったか……アイア」

「はいよ」


 工房に入って最初に会ったドワーフ族女性が余った袖と裾を折り返して針で仮止めをする。


「後で直しておいてやる。じゃあ次はこいつを着てみてくれ」


 ゴルドさんは鎧の入った木箱をポンポンと叩く。


「分かりました」


 木箱から皮鎧を取り出してみるが、着方が分からない。


「手伝ってあげるよ」


 近寄ってきた師匠に鎧の着方を教えて貰いながら装着する。

 これ1人で着れるかな……


「うん、似合うね」


 俺が着ているのは黒い革製の全身鎧。

 軽く肩を回してみたり屈伸運動をしてみるが、動きを阻害する感じは無い。

 それでいて防御力は高そうだ。


「うむ、ピッタリだな。鎧の方はベルトである程度は調整出来るから、体が成長したら調整するといい」

「分かりました、ありがとうございます」

「礼ならお前さんの師匠に言え。儂は注文を受けて作っただけだからな……っと、向こうも終わったみたいだな」


 ゴルドさんの見ている方へと視線を向けると、いつの間に出てきていたのかルーシェも鎧の装着を終えたところだった。


 俺のとは違い、胸当てとレガース、アームガードのみの軽装だ。

 おそらくルーシェの戦闘スタイルに合わせた鎧なのだろう。


「あ、グレン! 見て見て! 似合う?」


 駆け寄って来て俺の前でくるりと一回転してみせる。


 ルーシェの長くて綺麗な金髪がふわりと舞って、まるで天使様のように見えた。


「とてもよく似合ってるよ」


 決してお世辞なんかでは無い。


 黒いシャツと鎧は、ルーシェの白い肌と金色の髪の美しさを引きたてていた。


 さっきは天使様に見えたけど、よく観察すると昔おじいちゃんに読んでもらった物語に出てくる戦乙女のほうがしっくりくるかもしれない。


「ありがと! グレンもかっこいいよ!」

「……あ、ありがとう」


 満面の笑みを浮かべて褒めてくれたルーシェに、俺は言葉が上手く出てこなかった。


「喜んでもらえて何よりだが、まだあるぞ」


 ゴルドさんの声に向き直ると、剣を持ったドワーフさんが俺たちの前に進み出た。


「抜いてみろ」


 受け取って鞘から抜いてみると、幅広で少し肉厚な片刃の剣。俗に言うファルシオンだ。


「グレンは攻撃が苦手だと聞いてな、防御にも十分に耐えるよう頑丈に作ってある」

「ありがとうございます!」


 お礼を言ってから剣を鞘に戻してルーシェの方を見てみると、ルーシェは剣を2本持っていた。


 1本は斬ることに特化しているサーベル、もう1本は斬ることではなく突くことを目的とした刺突剣だ。


 はて、ルーシェは二刀流なんて練習して無かったとおもうのだけど……


 あぁ、もしかして相手によって使い分けるのかな?


「これがお前たちの装備だ。どうだ? 気に入ったか?」


 ゴルドさんからの質問に対して、俺とルーシェは同時に頷いた。


「かっこいいです! ありがとうございます!」

「嬉しいです! ありがとうございます!」

「ははは、礼ならお前さんたちの師匠に言うといい。その鎧の素材もお前さんたちの師匠が用意したんだぞ?」


 師匠を見ると、なんだか恥ずかしそうに頬をかいていた。


「師匠、ありがとうございます!」

「魔人さんありがとう!」


 お礼を言うと、師匠は苦笑しながら答えた。


「キミたち2人を養育する責任はキミたちの両親の友である僕の義務だよ。人間には5歳と10歳の誕生日にプレゼントを贈る風習があるだろ? 完全に忘れてたからこれはそのお詫びだよ。受け取ってくれるかな?」


 一度ルーシェと目を見合せて頷き合う。


「「ありがとうございます!」」


 こうして俺とルーシェはかっこいい装備を手に入れた。

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