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最強の魔人に育てられた少年は英雄へと至る  作者: 愛飢男
一章……少年期、修行編
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15話、お出かけ

 修行に勉強にと励んでいたある日、師匠が今日は3人で出掛けると言い出した。


「どこへ行くんですか?」

「ドワーフ族の里だよ」


 ドワーフ族の里に行くらしい。

 数日前に守刀の話を聞いたので改めてお礼を言いたかったのでちょうどいいのだが、なんの用事でドワーフ族の里に行くのかまでは教えてもらえなかった。


「じゃあ出発しようか。ルーシェはグレンに抱っこしてもらってね」

「はーい!」


 ルーシェは元気よく返事をする。

 ここしばらくは飛翔で移動する際は俺が抱っこして飛ぶのが当たり前になりつつあるので、俺も慣れてきた。


 ルーシェを抱き上げてしっかりと服を掴んでいることを確認してから、俺は空へと舞い上がった。


「じゃあ行こうか。魔法の訓練場と比べたらかなり遠いから、疲れたら早めに言ってね」

「分かりました」


 師匠は俺たちに背を向けてドワーフ族の里に向かって飛んで行く。


 抱っこ飛翔をやり始めた時はニヤニヤしながら俺たちの周りを飛んでいたのだが、最近はそれも無い。

 飽きたのだろう。


「ねぇグレン、あたし重くない?」

「重くないよ。急にどうしたの?」


 今まで何度も抱いて飛んでいるのに今更何を言っているのだろうか?


「昨日アーシャさんと話してて、最近太ったーって言ってたから……」

「そうなんだ、太ったようには見えなかったけどな」


 アーシャさんとは、俺たちと一緒に師匠に助けられた村の生き残りだ。

 最近魔人族の里に住んでいる人間の男性と結婚したばかり。

 前に師匠の言っていた幸せ太りというやつだろうか?


「グレンに抱っこしてもらって飛んでるって話したら、ルーシェちゃんも気を付けなさいよって言われたの」

「だから不安になったの?」

「うん。あたしグレンの負担になってないかなって……」


 ルーシェは顔を俯かせる。


 ルーシェが俺の負担……何を言っているのだろうか。


「負担になんかなってないよ。むしろルーシェが居るから頑張れるんだよ」

「でもあたし飛べないし」

「俺より強いじゃん」


 認めたくないけど! 認めたくはないんだけど!

 それに、こうやってルーシェを抱いて飛ぶのは楽しい。

 柔らかいし、いい匂いするし……なんだかドキドキする。


 そもそも、俺が強くなろうと思ったのはルーシェを守りたかったからなのだ。

 ルーシェが俺の負担だなんて有り得ない。


「うん……そうだね!」


 納得しちゃうのかよ。

 いや、自分で言っておいてアレだけど納得されちゃうと少し切ない。


 とはいえルーシェは俺とは違い剣においては天才だと師匠が言っていた。


 優れた身体能力に恵まれた剣の才能。さらに魔力持ちでその魔力を用いて無意識に身体能力を強化しているらしい。


 素の身体能力でいえばそこまで差はないのだが、いざ戦闘となるとその差が一気に広がってしまう。

 突進の勢い込とはいえ、女の子に力負けするというのは中々にキツい。


 当然、俺も魔力による身体能力強化は使えるのだが、師匠が言うには俺とルーシェでは強化の方向性が違うらしい。


 ルーシェの場合は、主に筋力と瞬発力が強化されている。

 対して俺は、体力と耐久力が強化されている。


 これは魔法の個性や特性といった部分なので、俺が魔力で筋力を強化するには他の方法で行うしかないそうだ。

 それについては、もう少し体が成長したら教えてくれるそうだ。


「そろそろ半分だし、1回休憩しようか」


 そんな話をしながら飛んでいると、前方を進んでいた魔人さんからそんな言葉を掛けられた。


 体内の残り魔力に意識を向けるがまだ余裕はある。


「魔力は大丈夫ですよ?」

「うん。でもこんな長距離を飛んだことはないだろ? いいから休憩だよ」

「分かりました」


 師匠に促され地面に降りる。


「んーーー!!」


 ルーシェを降ろすと、すぐにストレッチを開始、全身の骨がパキパキ鳴っているのが聞こえた。


 そうか、この休憩は俺のためというよりルーシェのための休憩だったのか……


 考えてみれば当たり前だ。

 ルーシェは俺に抱かれて身動きが取れない。

 その状態で数時間、相当疲れただろう。

 それに思い到れないとは……


 それに引替え師匠はやはり気が利くな。

 性格は軽い感じでとても接しやすいのだが、やはり所々に大人の余裕もあるし……

 何より強いし、俺たちの命の恩人でもある。


 やっぱりルーシェも師匠みたいな強くて優しくて気が利く大人の男が好きなのかな……


 2人が楽しそうに話しているのを見ていると、なんだか胸がモヤモヤする。胃がムカムカする。


 吐きそうになるのを堪えながらボーッと休憩時間が早く終わることを祈りながら過ごした。

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