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最強の魔人に育てられた少年は英雄へと至る  作者: 愛飢男
一章……少年期、修行編
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13話、魔法実技

「きゅー……」

「ルーシェは魔力切れだね。休んでて」


 練習場に到着して魔法の訓練を初めて十数分、全力全開で魔法を使っていたルーシェの魔力があっさりと底をついた。


「僕がルーシェと代わるから、グレンは引き続き『魔法障壁』の訓練ね」

「はい!」


 今行っている訓練は防御魔法である。


 先程まではルーシェの放った魔法を俺が『魔法障壁』で防いでいた。

 ここからはルーシェではなく師匠が攻撃してくるらしい。


 ルーシェ相手なら多少の余裕はあったが、ここからは一切油断出来ない。

 師匠は防げるか防げないかギリギリを見極めて攻撃してくるからな……


「じゃあ行くよー」


 軽い調子で言いながら、師匠は火槍、水槍、土槍を生成、次々と放ってくる。


 時折目には見えない風の刃も放ってくるので、目で見えている魔法だけを防いでいたら魔法障壁が破られてしまう。


 そうならない為にも感覚を研ぎ澄ませる。

 師匠から放たれる魔力を見逃さないよう注視する。


 すると、土槍の影に隠れるようにしてこちらに向かってくる魔力の塊を感知、すぐに破られないように魔法障壁に魔力を流し込んで厚くする。


 ドンと師匠の土槍が俺の魔法障壁に当たって砕ける。

 直後、砕けた土槍の破片が風の刃に斬り裂かれた。


 その風の刃も、俺の魔法障壁に当たり霧散していく。


「お見事」


 師匠は口では俺の事を褒めながらも攻撃の手を緩めることは無い。


 段々強くなる師匠の魔法を防ぐこと10分ほど、遂に俺の魔法障壁が破られて水槍が俺の体に直撃した。


 バシャっと全身に冷たい水が浴びせられる。ダメージは皆無である。


 おそらく師匠が俺の魔法障壁を破った段階で威力が相殺されるよう調整したのだろう。

 相変わらず凄まじく精密な魔力操作技術だと思う。


「よし、ここまでにしようか。グレン、魔力はどれくらい残ってる?」


 師匠に聞かれて自分の中にどれだけ魔力が残っているかと意識を向ける。


「体感で残り3割くらいです」

「よろしい。常に自分にどれだけ魔力が残っているかは意識するように」


 もしかして師匠は俺の魔力量を逆算して3割を切るかどうかのところで魔法障壁を破ったのだろうか?


 これ以上魔力を使ってしまうと飛んで帰れないし……

 しかしいくら師匠でも、そこまでの事が出来るのだろうか?

 ……出来たとしてもなんの不思議もないな。


 おじいちゃんや里のみんな、たまに会う他の里の人も口を揃えて言っていたけど、俺たちの師匠である魔人さんはおそらく、いやほぼ間違いなく世界最強の魔法使いらしい。


 魔人族ゆえに光属性魔法は扱えないが、それ以外の属性は全て得手不得手無く扱えるし、魔力量も底がしれない。

 魔法の威力も凄まじく、おじいちゃんの予想では単身アルベイン王国に乗り込んで滅ぼすことも可能とのことだ。


 ちなみにおじいちゃんが単身攻め込んだ場合、北部領域を灰にしたあたりで魔力が尽きる計算らしい。

 なんだろうこの親子……


 まぁ、そんなおじいちゃんや師匠に「グレンの魔法は凄いよ」と褒められるのは素直に嬉しい。

 少しは自信を持ってもいいのかもしれないな。


「さて、じゃあ帰ろうか」

「はい!」

「帰りもルーシェを抱いて飛んでね」

「……はい」


 魔力切れでしんどそうにしているルーシェを抱き上げて空へと浮かび上がると、ルーシェは力なく俺の服を摘んだ。

 かわわわわわわ……


「ほらほらー、早く帰ろうよ」

「わ、分かってますよ!」


 ニヤニヤ顔の師匠に促されて空を行く。


 ルーシェは相変わらず力の入っていない手で俺の服を掴んでいる。


 魔力切れはめちゃくちゃしんどい。

 これは一時期毎日のように魔力切れになっていた俺にもよく分かる。


 そうなってしまった以上、ルーシェが俺に掴まることは不可能、ならば俺が落とさないように強く抱く必要があるな……!


 絶対に落とさないよう腕に力を込める。

 やわららららかい……


「落としちゃだーめーよー」

「だから分かってますってば!」


 家に着くまでの時間、師匠はずっと楽しそうに俺たちの周りを飛び続けていた。

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