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ー9-

そこにいたのはジャン一人じゃなくて。

ジャンは私の表情を見て振り返り、兄さん有り得ない、と怒ってヨハンを軽く押して戸を閉めた。

ヨハンはジャンの後ろについてきたようだった。

「ごめんね、一番最初に見るのは俺だけが良かったのに、後ろにいたことに気が付かなかった」

「ふふ。ヨハンらしいね」

「そんな簡単に許されるのも複雑だなぁ……」

「心にもないこと言って」


「本当だよ?貴方が思っているより俺は貴方を大切に思っている。

突然婿になれと言われて戸惑っていた俺を、優しく導いてくれて。

恋愛結婚が許されないから、妻を愛せると思っていなかったんだ。

でも、貴方はとても愛らしかった。

俺にだけ見せてくれる顔が好きになった。

だから、忘れないでほしい。

俺は家を守ることは勿論、貴方を守って幸せにしたいと思っているよ。」

長台詞みたいな、甘い言葉を紡いだジャン。


『戸惑っていた』、『愛せると思っていなかった』……。

気付いてしまっていても、気にならない。

すらすらと、優しい声で紡がれる言葉に、私は幸せで涙が出そうだった。

化粧が崩れてしまうから、必死に止めた。

「ジャン……。

私も貴方が大切。

私だって貴方の事を愛しています。

家をどうか……よろしくお願いします」


あ。

涙、出ちゃった。

困ったなあ……。

ジャンは私の涙をぬぐって抱きしめた。

泣かせちゃった、初夜まで言わない方が良かったかな、ってからかう彼の背を

軽くたたく。

溺れてしまうくらい、幸せだ。


結婚式にはダニエル改めシャンタルも新婦の家族兼()()()()()として参列した。

婚約者と共に。

体は女性でも、人格は男なわけで。

でも、聖女として子を成すことは必須なわけで。

シャンタルも女性名を受け、自分の運命を受け止めていたから、

女として婚姻することを承諾した。

前代未聞の元男性の聖女の誕生は、もうおかしいことだと言われなくなってきていた。


誓いのキスをするために、目を閉じて、ジャンの体温を感じた時。

ほんとうに、これでよかったのか。

そう聞こえたのは、きっと気のせい。

ブクマありがとうございます(´;ω;`)♡

あと一話、よろしければお付き合いくださいませ!

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