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3/4. 少女は、傭兵に拾われた
親、というものがあるらしい。
それを持っていることが、普通らしい。
私は、普通ではないらしい。
でも、そんなことは、すぐに忘れた。
そんなことは、どうでもよかった。
まずは飢えと渇きを、どうにかしなければいけない。
彼とともに。
「強くならなきゃ」
彼の口ぐせだった。
その彼が、いなくなった。
私は泣いた。
わけもわからず、とにかく泣いた。
それは忘れられなかった。
でも、それどころではなかった。
まずは飢えと渇きを、どうにかしなければいけない。
私ひとりで。
突然のことだった。
その人に出会ったのは。
名はラブト。
傭兵、という職業に就いているらしい。
それは、戦うことで金銭を得るらしい。
強くなければ、できないらしい。
ラブトは言った。
「俺に付いて来るか?」
――なぜ?
なぜ、そんなことを言ったのか。
でも、そんな疑問はすぐに消えた。
そんなことより、思った。
行けばきっと、強くなれる。
私は頷いた。