じゃのめ
キッチンに立つ
パッキンに黴
研ぐ米に泪
あぶら、かだぶら、あぶらげ、ひだるま
からあげ、火宅は、火の車
黙示録、火輪、ヨハネ、けずね
ピンハネ、とっぴんしゃん
処女林、蛇の目、ジャンヌダルク
連想ゲームやがて果て
脳はしずかな沙となりて
アスファルトに照る太陽光を、
いつか雨の降った道
傷を記憶した石片や
女の肉のようである灰色の凹凸を隆起を、
わたくしの目はうつし
水晶体に反射さして
いる。
ひかり在れ
と
ハイヤーパワー言い
ひかり去れ
と
わたくし、なみだ好む。
あの石のつらなりを
なにか策状の感情が
執着してならないので
三次元全体に
雲隠れの煙玉なげて、ららら
さよなら、あぶら、かだぶら
あぶらあせ、たらたら
きらきら、ほしぼし、ななしの
わたくしは、こころの旅に出
蛇の目の円環をなぞるのでござあした。
中心円に辿りつけぬ、絶縁の外円
スパイラルせぬ、そまみち
こころ降る不完全螺旋のなかばで、自失
蹌踉に候
という気持ちで
黴めくパッキン閉めて米を炊くなり秋深し。
了。