表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/61

60 番外編 何かに



 心が読めるようになった青年は、いっそう人の願いを叶え、好かれることになった。彼の周りにはいつも人がいて、みんなが笑顔だ。


 何の力も持たない少年は、独りぼっちだった。

 そう、いまさら能力なんて関係なかったのだ。すべてがいまさらだった。




 人気のない森に入って、木々の隙間から空を見上げる少年。

 自由に空を飛ぶ鳥を見て、青年のことを思った。


 天と地の差。空を飛ぶ鳥と、地面から離れられない自分。


「なんで、あいつばかりが。」


 すべては、願いを叶えるという力のおかげ。少年にもその力があったのなら、その人生は変わったのだろうと少年は思った。



 もう嫌だ。自分ではない何かになりたい。そうすれば、やり直せるのに。


 こんな何もできない体はいらない。役に立たない記憶もいらない。そう、生まれ変わりたい。あの青年のような、何でもできる力が欲しい。


「それが、君の願い?」


 突然かけられた声に驚き、少年は振り返った。


 目の前には、微笑みを浮かべる青年がいる。


「ど、どうして、ここに?」

「君に会いたかったから。・・・君には感謝しているし、その願い、叶えてあげるよ。」


 そう青年に言われたところで、少年の意識は深い闇の中へと落ちた。




 満月が綺麗な夜。

 そこから何かの生が始まった。


 何かは、何もわからなかった。

 自分は何者なのか?名前は?何の生き物?性別は?どんなことができる?


 何もわからないまま、ただずっと空を眺めていた。


 自分と同じ独りぼっちの月は、いつしか姿を消し、強い光を放つ太陽が現れ、辺りが徐々に騒がしくなる。


 ちゅんちゅん。


 鳴き声が聞こえ、見れば木の枝に鳥がとまっていた。

 今から餌を取りに行くのか、鳥は羽ばたき空へと舞いあがった。


 それを見て、初めて感情というものが動き、体が熱くなった。


 それを止めたい。


 地面へと落としたい。


 でないと、この憎悪は収まらない。


 気づけば、鳥は地面に横たわり息絶えていた。


 そうか、こうすればよかったのか。

 なんとなくそう思い、首をかしげる。首はないが。なぜこんなことを思ったのか理解できなかった。


 何かは鳥を見つめる。空を飛んでいた鳥。これを吸収すれば、いつか飛べるようになるかもしれない。


 鳥は、何かに吸収された。



 その行為は何度も行われ、何かは理解する。

 自分は、飛ぶものを落とす力がある。そして、それを食べることによって、自分は強くなる。


 夕暮れ時。


 カァー


 鳴いたカラスが、地面の上で息絶えた。


 あれから、どれほどの時が経ったのか。大きな獲物も難なく落とすことができる。



 獲物はどんどん大きくなっていき、その異常な光景は人間たちの目にも届くようになった。


 気味の悪い場所。人間たちはそう思った。


「叶様、あの森の現象をどうにかしてください。怖いのです。」


 数名の村人に囲まれ、そう願われた青年。彼は笑って頷いた。



 何かの前に、それは唐突に現れた。

 鳥たちとは違う姿。大きさも何倍も大きい。


「ひさしぶり。といっても、君にはわからないか。」


 夜と昼の空を混ぜたような色を持つ者。

 なぜか、憎しみがわく存在。


「ごめんね。悪いけど、別の場所に移動させてもらうよ。」


 そう言って、大きな何かに持ち上げられ、何もできないまま別の場所へと連れていかれた。


 といっても、同じような森で、生活が変わるようなことはなかった。

 ただ一つ、いつかあの大きな何かを、どうにかしてやりたいと思う気持ちが芽生えた。




 長い間、その場所にとどまり、飛ぶものを食べ続ける。

 その間に周りの景色は変化し、木々が減り、いつしか周りに木が一本もなくなった。そのせいで、鳥が来なくなって、鳥を落とすことができなくなってしまった。


 徐々に失われていく力。


 でも、何もできない。



 何もできないまま日々を過ごすうちに、人間たちの言葉を聞き、ここが学校で、彼らが人間だということを知る。

 ただ、それだけだが。


 何かは、よくわからないまま、長い時を過ごした。

 それは、トウコという名の少女と出会うまで続き・・・終わった。




 場所も姿も変わり、小さな小屋の中で、アヤカシの姿をしたクロは、トウコを見つめていた。眠っているトウコは、何の反応も返してくれないが、見ているだけで幸せだ。


「クロ。」

 トウコの近くに座っていたアヤカシが、クロを見つめていた。


「そういえば、お前はなぜ学校にいたんだ?」

「・・・さぁ?」

 よくわからないと返したクロは、一つ思いついて、笑った。


「そうだね、トウコと出会うためにいたのかも。」




今のところ、次で更新を終わらせようかと思っています。

もし、こんな話が読みたいという方がいましたら、明後日の12時(お昼)まで受け付けています。

必ず書くという保証はできませんが、可能な限り書きたいと思いますので、お気軽にご連絡ください。

感想、ブログ、ツイッターのどれを使っても結構ですので、教えてください。

※募集締め切りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=262231667&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ