一番古い記憶
僕が思い出せる一番古い記憶は、髭を生やしたおじいさんとお話しているときだ。
「わしは神じゃ」
「はあ」
その時僕は今よりもっと大きくて、黒いスーツ?を着ていた、と思う。なんとなく自分が死んだことはわかっていた、気がする。
「お前は自殺した。その認識はあるか?」
「……いいえ、ただ、俺は」
「まあ、それはどうでもいいのだ。問題はお前が輪廻転生の輪からはずれたことなのだからなこちらの不手際だ、申し訳ない」
おじいさんが頭を下げる。
「は……あ」
そんな非現実的な、と思った、のかな。記憶は遠くて、薄くて、僕が僕じゃないみたい。
「だから詫びとして、前世の知識を詰めたこのペンダントを渡そう。そして日本語が通じる世界に向かわせる。それでいいな?」
青いきれいなペンダント。首にいつの間にかかけられてて、ちょっとした重さになれなくて、首を触る。
「はあ」
どうなってもいいや、そう思ったんだと思う。だって、気がついたら死んでたんだもん。死にたかったって、そう思ってたんだもん、この記憶の僕は。
「じゃあ、達者でな」
おじいさんが僕を突き飛ばして、光が強くなって、視界が真っ白になって、記憶は終わる。
それが、僕の一番古い記憶。




