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第17話 新婚生活のような1日

 今日は、日曜日の休日だ。

 久々に、ダリア・雛子と2人きりで過ごす。

 朝になると、彼女がパジャマ姿で現れた。


 目をしぱしぱさせて、眠そうにしている。

 ちょっと油断している雰囲気が、新婚生活のようで笑う。

 まだ寝ぼけているようだ。


 洗顔フォームを歯ブラシに付けて、ゆっくりと口元に運んでいく。

 ゴシゴシと歯磨きした後で、間違いに気付いたのか、物凄い顔をして口をゆすぐ。

 かなり念入りにゆすぎ、1分ほどしてなんとか口の中の味が無くなったらしい。


 歯磨き粉を手に取り、自分の歯ブラシに塗り付けていた。

 歯磨きを開始し始めたところで、俺の存在に気付いたようだ。

 ゴシゴシと念入りに磨きながら、俺に洗面台を譲る。


 彼女の方は、下に気を付けながら歯磨きをしていた。

 俺は、お言葉に甘えて、先に洗顔をする。

 洗顔フォームを使い、念入りに顔を洗う。


 3分ほど洗っていると、彼女の唸り声が聞こえ始めた。

 どうやら口をゆすぎたいらしい。

 歯ブラシをくわえたままの状態で立っていた。


「あ、その歯ブラシ、俺のなんだけど……」


 俺がそう言うと、彼女の顔が赤くなった。

 むせて、数滴ヨダレが落ちる。

 彼女のパジャマにも付いて、白くなっていた。


「ほうでふか?(そうですか?)

 わちがえてほへんはさい!(間違えてごめんなさい!)」


 彼女は、俺に洗面台を使いたいアピールをして来た。

 自分の口から歯ブラシを出し、俺の歯ブラシと交換し始める。

 もうすでに、変えても意味ない気がするが、俺に歯ブラシを返して来た。


「うん?

 間接キスをご所望ですか?

 なら、俺も君の歯ブラシを使おうかな?」


「はめです!(ダメです!)」


 彼女は懸命に首を横に振る。

 しばらくすると、息が続かなくなったのか、青い顔をし始めていた。

 さすがに不味いと思い、彼女に洗面台を譲る。


「ゴボ、ゴッホ……」


 相当無理をしていたのか、しばらく咳が止まらなかった。

 コップで口をゆすぎ、なんとか気持ちを落ち着けていた。

 そして、俺の方を見て、こう言った。


「意地悪。

 態とやってたでしょう?

 それと、歯ブラシは私の物だったよ。


 態と嘘の情報を教えてくれたね……。

 心の声が聞こえて来たよ……」


 彼女は、鼻から垂れる水をタオルで拭いてそう言った。

 好きな子をイジメたいという欲望が、彼女を困らしてしまった。

 俺は、なんとか彼女の怒りを鎮めるようにする。


「ごめん、ごめん。

 今日は、1日2人きりだから仲良くしようよ。

 なんかしたい事ある?」


「うう、今日は叔父さんも叔母さんもお出かけですか……。

 特にしたい事はありませんが、予定はあります。

 実は、杉田さんと羽田ちゃんが遊びに来る予定なんです。


 昼食の準備を一緒にしてください。

 昼と夕方の食事を4人分ほど準備しないといけません。

 昼食はパスタとサラダ、夕食は鍋の予定です!」


「げ、アイツらが来るのか?

 知らなかった!」


「杉田さんが言うには、アキラに謝りたい事があるので、当日まで黙っているとの事でした。

 一応、予定だけは開けておいてもらったのはその為です!」


「うっ、杉田が?

 俺、あの子の事苦手なんだよね?

 ほら、Sっぽいらしいし……」


「杉田さんは、ちょっと度が過ぎるけど、良い人です!

 そして、羽田ちゃんも良い子です。


 私の大切な友人を、アキラにちゃんと紹介したいんです。

 なので、今日は私の為にも一緒に遊んでください!」


「まあ、嫌いじゃないんだよ!

 ただ苦手というだけで……」


 俺と雛子は、朝ご飯を食べた後に、昼食の準備をし始めていた。

 ゆっくりと準備をしていると、杉田と羽田が家にやって来た。


 なぜか2人は結構良い服を着ている。

 杉田は、スーツを着て、OLのような格好で、羽田は、可愛いメイド服を着て来た。


「実は、私達、ダリアとアキラにプレゼントがあるんだ!

 昼飯を食べたら、教えてあげるね!」


「え、何々?

 凄く楽しみ!」


 ダリアが1人でパスタを茹でていると、杉田がこっそりと俺に近付いて来た。

 声を小声にして、こう言う。


「アキラ、ごめんね。

 あのカラオケ店での出来事は、私もやり過ぎていたと思うわ……。


 女装させたり、セクハラしたり……。

 もうしないから安心してね。

 アキラは、ダリアを幸せにしてあげてね!」


「ああ、分かったよ。

 でも、俺も偶にダリアをセクハラしちゃったよ。

 可愛くて、つい……」


「あーら、意外とラブラブ状態じゃない。

 中学生で1つ屋根に下とかヤバイね!」


「それよりは、友達の家にメイド服を着て来る羽田の方がヤバイだろ!

 なんか作業しろよ!」


「羽田にとっては、メイド服が正装なんだよ。

 まあ、大目に見てくれよ!」


「分からんが、分かった……」


 ダリアがパスタ作りを完成させて、俺達のいるテーブルに持ってきた。

 パスタは3種類あり、それとサラダがある。


 パスタは、ミートスパゲティー、タラコスパゲティー、キノコの和風スパゲティーの3種類だった。

 大皿に盛り付け、みんなが小皿で分けられるようにトングを用意してある。


 俺は、スープを用意していた。

 市販のコーン缶に、コンソメスープと卵を混ぜるというシンプルな物。

 しかし、味はかなり美味しくて、俺はそれが得意だった。


「おお、結構本格的じゃないか!

 ダリア、良い奥さんになれるよ!

 私のワイフになる?」


 杉田がそう言って、彼女を褒める。

 ダリアは、エプロン姿も似合っていた。

 杉田が男子だったら、力付くで強奪して行く勢いだった。


「あ、いえ、そんなに褒められたら困ります。

 私が自力で作ったのは、ミートソースくらいで、後は市販のソースをかけてあるだけです。


 サラダも簡単な物ですし、そこまで褒められるほどではありません。

 褒めるなら、アキラ君を褒めてください。

 掃除とかしてくれましたし、スープも作ってくれました」


「不味いわ、押し倒してしまいたい!

 ダリア、可愛過ぎる!」


 ダリアが警戒する動きを見せたが、本気で逃げないところを見ると、冗談だったようだ。

 杉田は外見が真面目に見えるだけに、冗談か区別が付き辛い。


 俺達は、昼食を食べ始めた。

 だいたい食べ終わった頃に、杉田と羽田がこう言い出した。

 どうやらダリアが俺と付き合っている事を言ったらしい。


「お前ら、結婚前提で付き合っているんだろ?

 なら、ここで結婚式の予行練習でもしないか?


 実は、ウェディングドレスを中古で見つけたんだよ。

 羽田の奴、ついにウェディングドレスのコスプレまでしたいらしくてさ……」


「いや、写真に撮るだけでも良いんだよ!

 とりあえず、ウェディングドレスが壊れていないかどうかの確認も兼ねて……」


「ついでに、ケーキも買って来た。

 ケーキ入刀もできるぞ。

 なんの意味があるのか知らないけど……」


「まあ、私のコスプレの延長ですけどね。

 私よりは、ダリアの方が似合うかと思って……」


 杉田は、更にタキシードを出して来た。

 このまま暴走すれば、俺とダリアはオモチャのように扱われてしまうだろう。


 特に、俺がどうなるかも分からない。

 俺は、なんとか彼女らの暴走を止める。


「結婚前にウェディングドレスを着ると、行き遅れるってジンクスが……」


「もう相手も決まっているし、問題ないだろう。

 むしろ、可能な限り遅れて欲しいね。

 私のダリアが、こんな奴の物に……」


 杉田は、殺意を込めた眼差しで俺を見つめて来た。

 このまま抵抗すれば、危険な感じがする。


 多少恥ずかしいが、なんとか耐え切るしかない。

 杉田が俺に触りながら、こう言う。


「じゃあ、私がアキラちゃんを着替えさせるね。

 今回は、格好良い男の子にしてあげるから安心しなよ!」


「あ、でも、女装も似合ってましたよ!」


「ダリア、そんな事言って、アキラが女装に目覚めたらどうするの?

 2人がウェディングドレスで結婚式とかも困るでしょう?

 レズ同士だと思われちゃうよ!」


「うわ、それはさすがに嫌です!」


 俺とダリアは、別れて衣装を着替えることにした。

 杉田が俺を着替えさせ、羽田がダリアを着替えさせる。

 ダリアの花嫁衣装が早めに見えて良かっただろう。


「ひひひ、ダリアの花嫁衣装がこんなに早めに見れるなんて良かったね。

 アキラにもちゃんとしたタキシードを準備しているから、本格的な結婚式みたいになるよ!


 私がアキラをイジメた償いだと思って受け取りなよ。

 実は、結構やり過ぎたと思っているんだよね!

 ダリアの事、頼んだからね……」


「杉田、イジメていた奴がいなくなったんだってな……。

 どんな奴だったんだ?」


「ふん、アキラちゃんにそっくりな奴だったよ。

 本人だと思うくらいにね……」


「そっか……。

 でも、多分俺じゃないな。

 小学校に上がる前の記憶が全くないんだ。


 そいつには、両親がいたんだろう?

 俺にはいないから、別人だよ。

 物心着いた時には1人だったし、両親の記憶も無い」


「そっか、別人か……。

 確かに、あの子には両親がいたね。

 お母さんは、可愛いタイプ人だったよ……」


「ふーん、親のいない俺には、羨ましい奴だよ」


「ほら、完成したよ。

 ダリアを幸せにしてあげなよ!」


 俺は、杉田に背中を叩かれて、家のリビングに出て行く。

 部屋は、簡単に飾り付けられ、本当に結婚式場のようになっていた。

 俺達だけだが、厳粛な式のように感じていた。


「準備できたよ!」


 羽田の声が聞こえた後に、ウェディングドレスを着たダリアが現れた。

 化粧もされており、遊びとは思えないほどの完成度だった。

 俺は、あまりの美しさに息を飲んでいた。


「どうかな?」


「うん、とても可愛いよ。

 イギリスのお姫様が現れたのかと思った。

 思わず見とれちゃったよ……」


「ありがとう。

 そう言ってもらえると嬉しいよ」


 少し準備をして現れた杉田と羽田が席に着く。

 主役のはずの俺らは立ったままだった。

 羽田がせっせと働いて、杉田が仲人をし始めた。


「え〜、本日お集まりの皆様、いよいよ結婚式を開始いたします。

 まあ、2人とも結婚年齢に達していないので、形ばかりの式ですが、6年後には本格的な式に読んでくれるものと期待します。


 では、まずは新郎の紹介から……。

 新郎は、アキラさんです。


 成績は微妙、体育の成績も悪く、部活もしていないダメ野郎ですが、こんな可愛い彼女をゲットしました。


 この場に男性がいらしゃったなら、ボコボコにしているようなラッキースケベ野郎です!

 皆さん、生暖かい目で見守ってあげてください!」


「おい、なんだ?

 この紹介は……」


「ふっ、私が考えドSな紹介だよ。

 気にするな!」


 俺は不本意だったが、ダリアが喜んでいるので良しとしよう。

 次は、ダリアの紹介に移る。


「はーい、私達の学校で一番可愛いと噂される女子高生、ダリアちゃんです!

 6年後には、こんなダメ人間の奥さんになるかと思うと心が痛みます。

 成績は優秀、体育は普通。


 部活は、手芸部と料理部を両立していました。

 皆さん、拍手で迎えてください!」


 杉田の紹介を聞き、羽田が拍手を送る。

 音楽をかけて、ムードまで作っていた。

 果たして、どんな結婚式になるのだろうか?

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