第12話 不気味な静寂
次の日になり、俺達はイジメを警戒して登校するが、ダリアのロッカーにも、俺のロッカーにも嫌がらせはされていなかった。
どうやらイジメを止めたらしい。
一応、各自の机の中や持ち物を確認したが、嫌がらせを受けた物や無くなった物は見当たらなかった。
クラスメイトも普通にダリアに声をかけてきている。
「どうやら、イジメを止めたようだな。
これで、ダリアも気が楽になっただろう……」
俺は、安堵して席に座るが、近くの席の杉田は警戒を怠らないように注意して来た。
「ふん、油断しない事だ。
警戒レベル3まで到達したのなら、そう易々とイジメを止めたりしないはずだ。
むしろ、みんながダリアと仲良くしようとしている方が解せん。
警戒レベル4に静かに移行したと見る方が正しいな。
みんなでダリアと仲良くなり、油断した所を一気に叩くつもりだ。
そうは言っても、忍耐強さなど皆無だから、数日以内には行動に移すだろう。
ここ2、3日で行動しなければ、一応イジメ問題は解決したと見ても良いだろうが……。
イジメを止めていなければ、今日にも行動に移す事だろう」
「なるほど、イジメが無くなったと周りを油断させて、彼女の味方が安堵した時に、一気にヤバイ状況にさせる計画か。
犯人は複数で、しかも計画的。
怒りの矛先を分断させ、発覚さえもないようにさせるわけか。
そうなったら、まさに警告レベル5の犯罪行動に移るわけだな……」
「まあ、そう言うわけだ。
ダリアからあまり離れるな。
登下校も一緒にした方が良いだろう。
奴らは、男子のお前を遠ざけようとして、女性同士の集まりとかほざいてくるかもしれないがな……。
お前が別行動をしたら、奴らの思う壺だ」
「そうなったら、羽田に頼るしかないんだが……」
「私が一緒に行こう。
羽田は部活で忙しい。
今日は、私とお前でダリアを守るのだ。
思い過ごしかも知れぬし、私ならば交渉はできる。
ただし、私も元イジメっ子だ。
それだけは覚悟しておけよ!」
「どういう意味か分からんが、協力してくれるなら感謝する!」
「私は、美少女をイジメるよりは、男子をイジメるタイプだけどな……。
くっくっく、かつての思い出が蘇りそうだ……」
杉田は、なぜか俺を見て笑っていた。
好きな男の子をイジメるタイプらしい。
俺には、ダリアがいるから対象外だろうが……。
俺達は、何事もなく授業を終えて、ホームルームとなった。
俺とダリアが帰ろうとすると、数人の女子が近付いて来る。
顔には笑みを浮かべているが、不気味な雰囲気が漂っていた。
「ねえ、ダリアさん、今日はカラオケに行けるんだよね?
私達、一緒に楽しみにしていたんだよ?」
「え、うん、予定はないけど……」
「俺も一緒に行って良いかな?」
ダリアが誘われた事で、俺もすかさず答える。
多少空気を読めていない感はあるが、それでも彼女を守る為には仕方ない行動だ。
しかし、女子達からこう言われた。
「ごめんね、宋史君、今日は女子会の予定なの。
参加できるのは、女子だけだよ!」
「そんな……」
明らかに、俺とダリアを引き離そうという作戦だった。
俺は、食い付こうとするが、中々女子の中に入って行く事ができない。
すると、頭に違和感を覚える。
誰かが後ろに立って、髪の毛を垂らすような感覚だった。
一瞬、女の子の甘い匂いがして、後ろが気になる。
すると、クラス中の女子が笑い始めた。
「悪いな、こいつは今日は女の子だ。
黒髪ロングのアキラちゃんって事で参加させてやってくれ!
ちなみに、私も参加させてもらうけど……」
俺の後ろには杉田が立ち、俺に黒髪ロングのウイッグを被せていた。
女子の中に、明るい雰囲気が漂う。
俺にとっては不快以外の何物でもない空間だった。
「ぷっはっはは、良いよ!
じゃあ、今日はアキラちゃんも一緒に遊びましょうか?」
「なんだったら、化粧もできるけど……」
「それは、可愛過ぎちゃうからパスね。
私達で、徐々に可愛がってあげましょうよ!
お姉さん達が、いろいろ教えてあげる♡」
俺は、女子達に引っ張られるようにカラオケボックスへ連れて行かれた。
ダリアとは引き離され、杉田の隣に座らせられる。
女子達が、俺を良いように弄り始めていた。
(くう、甘い匂いで女子達は可愛いけど、嫌な空気だ。
結局、ダリアとは引き離されて座らせられるし……)
一通り俺達が歌うと、女子達が携帯電話を使い始めていた。
どうやら他にも誰か来るらしい。
杉田も、自分の携帯電話を弄り始めていた。
「アキラちゃん、私と一緒に連れションしない?」
杉田が、嫌らしいイジメっ子の顔でそう問いかけてきた。
俺は、一瞬ダリアの方を見るが、カラオケの画面に夢中で聞こえていなかった。
俺は、半ば強引に杉田に連れ去られ、トイレに行かされた。
「おい、どういうつもりだよ!
ダリアが1人になったじゃないか!」
「アキラ、煩いよ!」
杉田は、俺を後ろ手にして、手錠をかけた。
俺があっと思った時には、すでに抵抗できない状態にされていた。
手錠は鉄で出来ており、本物のようだった。
「ふふん、ネットで買った本物の手錠だよ。
これからダリアは、やって来る男達にレイプされる。
アキラ、あんたはここで私にイタズラされるんだ。
今朝、言ったでしょう?
私は、男の子をイジメる方が好きだって……。
ダリアと一緒にレイプしてやるよ!」
そう言って、杉田は脱ぎ始めていた。
このまま俺は彼女にやられてしまうのだろうか?
そして、ダリアの元に、他校の男子生徒が押し掛け始めていた。




