不審者からの依頼
よろしくお願いします♪
二十歳で友人と会社を立ち上げ、5年で一流企業へと成長させた私、立花 零。
今年25歳になる私は、そろそろ人生を共にする人を見付けたいと思うが、出会う男はみな自分の財産目当てなのが丸わかりのクズばかり。
どうしたものかと悩んでいたある日、私は不慮の事故により命を落としてしまった。
そこで私の人生は終わる・・・はずだった。
ふと気が付くと、辺り一面真っ白な空間にぽつんと佇んでいた。
「私、死んだのよ、ね?」
死の間際に見た光景と、想像を絶する痛みを鮮明に覚えているから、間違いなく死んだはず。
「そうだよ。君は確かに死んだ。」
その時、私の疑問に答える存在が現れた。
だが、その格好が真っ白の服に何故か背中に羽を生やしているという明らかな不審者だった。
「おかしいわね、私の知り合いに不審者なんていなかったはずだけど・・・」
それとも重度のコスプレ好きか?と冷めた視線を送る。
「違う!私は神だ!」
自称神と名乗る不審者は、自分が管理する別の世界、すなわち異世界と呼ばれるところの、とある地域の頂点に君臨出来る存在を探していたんだそうな。
そこはいわゆるアンダーグラウンド的なところらしく、本当になんでもありな場所だから、人をまとめあげるカリスマ性を持った人が望ましいと思っていたら運よく私が死んでくれたので、輪廻の輪に入る前に魂をここへ連れてきたそうだ。
「話は分かった。確かに私は死んだ記憶があるし、怪しいけどあんたが神だと信じるとして、私に見返りはあるわけ?」
そんな危険なところにただカリスマ性があるだけのなんの力もない女が行ったら、即死亡確定よ。
「もちろん、君にはそれ相応の能力を与えるよ。なんの能力かは向こうに行ってからのお楽しみだけどね。」
お楽しみと言った時の自称神の表情がニヤニヤしていてイラッとしたから、もう1つ条件を付け加えることにした。
「じゃあその依頼受ける代わりに、私だけを愛してくれる人と巡り合わせて。会った後は自分でなんとかするから。」
前の世界では人としての幸せは感じても、女としての幸せは皆無だったもの。
これぐらい良いわよね?
自称神は苦笑すると、頷いて私を異世界へ送り出した。