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青と赤な俺とお前  作者: ナタデココ入りゼリー
青くて赤い番外編
14/15

番外編*過去 〜小1のおれ達〜 聖流side



小学1年生の聖流と柚月のお話。



聖流は、小学生になって自分の事を“おれ”と言うようになった。



出会ってから、まだ1年足らずの2人。






今日は金曜日。

おれは、お母さんに宿題しなさいって言われて、宿題してる。


宿題は算数のプリントなんだけど、(あと)1問で終わりだ。


と、その時、玄関のチャイムが鳴った。

それから、


「聖流ー!遊ぼー!!」


って、柚月君の大きな声がした。

きっと、玄関のドア越しに叫んでるんだ。


おれは、今すぐにでも遊びに行きたいけど、まだ1問残ってる。


おれの代わりに、お母さんが出て


「せいちゃんは、今宿題中だから後でね。」


と、言うのが聞こえた。


柚月君とその他年下のチビ達5人、計6人の“えー。”って声が聞こえた。

でもすぐに、“じゃあ、いっか。”と言って、おれ無しで遊びに行ってしまった。


おれの存在があいつらにとって大したものじゃないような気がして、涙が(あふ)れてきそうになったけど、おれはもう小学生だからこんな事じゃ泣かない。

服でゴシゴシ拭った。


そして、最後の1問と向き合う。

解いている途中、何度も柚月君達の事が気になったけど、おれは最後の問題を無事、解き終えた。



遊びに行こうと思って靴下を履いてると、


「聖流ー!出て来ーい!鬼ごっこするぞー!!」


と、言う声がした。


(りゅう)君だ、とすぐに分かる。

1歳年上で、活発で何でも出来る龍君は、おれの憧れなんだ。


おれは、


「はーい!」


と、叫びながら急いで靴下を履いた。


居間を通った時に、お母さんに


「せいちゃん、宿題は終わったの?」


と、聞かれ


「うん。」


って答えて、靴を足に引っ掛けるとドアを開けた。


…そこには、二カッて笑っている龍君率いる、いつものメンバーがいた。


おれは、


「お待たせ。」


って、言った。



「遅いよ。」


おれは頑張って解いたのに、そう言う柚月君に少しムッとして、おれは


「柚月君は宿題やったのっ?」


と、言った。


柚月は舌をベッと出して


「そんなの月曜の朝、学校行く前にやればいいんだよ。」


なんて言う。



おれと柚月君が喧嘩しそうになっていると、龍君が


「オレは宿題なんてしないけどな。」


と、言った。


真面目な顔して、“お前ら偉いな。”って言う龍君がおかしくて、皆して笑った。




その後、ジャンケンで鬼を決めて、皆一斉に逃げた。

塀の影に隠れて様子を見てたおれに、柚月君は近づいて来て、小さい声で


本当(ほんと)()んの遅いんだよ。」


って、言って来た。


さっきはムカついたのに、なんだか今度は可愛く思えた。

でも、男を可愛いって思うなんておかしい気がして、おれは


「しつこい。」


って言って、柚月君にデコピンした。


柚月君は、おでこを押さえて


「いったぁ〜い。」


なんて、大袈裟に喚いた。

そんなに痛い訳無いのに。


デコピンした時に、ギュッて目を瞑って、下唇を軽く噛んで、おれのデコピンに備えた柚月君の顔がなんかグッときて。

頭から離れなくて。

…おれは何故か熱くなっでしまった顔を隠す為に下を向いた。



突如、沈黙が訪れた。


おれと柚月君は、なんかちょっと気まずくなちゃって、無言で塀の影に隠れた。

柚月君は、どうしていいか分からないようで、おれの隣でちょっとモジモジしてた。



おれは


“柚月君の事、可愛いなんて思っちゃった事、柚月君にバレませんように”

“後、出来ればもうちょっと鬼に見つからないで、2人で居られますように”


って祈りながら、ずっと柚月君の顔も見れずに俯いてドキドキしてた……。




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