特訓と骸骨強化月間
非常に遅くなりました。
お待ち頂いた方には大変申し訳なく思っています。
遅くなったなりに、面白くなっていると良いのですが・・・。
あと、ステータスや矛盾点など気付いた所を修正したりしています。
勝手に変更されていて不愉快な点があるかもしれませんが、見逃してくれると有難いです。
朝です!!
とりあえず、床でうなされている骸骨を叩き起します。
昨日の内に村の周囲の壁は修理しておいたので、村の中の安全は絶対とは言い切れ無いが保障されました。さらに、昨日の村の探索で五日間分くらいの食糧も確保出来ました。ついでに、家も衣服も確保出来ました。そこで、今日は一日を使って状況の整理をしようと思います。まだ生まれて一日しか経ってないですし、せっかく情報源に成りそうなのもいることですしネ。
まずは昨日の晩飯の残りと軽い料理で腹ごしらえなんですが・・・・。
「ふむ、なかなか大した料理上手ではないか。」
・・・スーさんご飯食べてます。・・・スケルトンもご飯食べるんですね。味も分かってるみたいですね、舌無いのに。内臓とか無さそうなのに食べた物何処行ってるんでしょうか。気になったので骨の間から見てみると、骨を覆うオーラの様な物によって光の粒子に分解されて吸収されている様です。何かの不思議パワーでしょうか、この世界なかなか侮れません。
「って言うか食いすぎです。もう少し押さえて下さい。」
明らかに自分の倍は食べてます。具体的には五日分の食糧が二日分になる位に。・・・遠慮しろよコラ。
さあ、とりあえず情報です。所詮生まれて二日目なので圧倒的に情報が足りません。検索では対象が大きすぎると上手くいかないんですよね、世界情勢とかで検索しても情報がとてつもない量に成って理解が出来ません。それに検索した情報が正しいとは限らないので・・前世では検索した情報が間違っていることも時々ありましたから。
そんなわけでスーさんを尋問です。情報吐けやタダ飯食らい。
まず今いる場所は最果ての樹海というらしいです。・・響きが明らかな危険地帯です。一縷の望みを託して聞いてみてもやっぱり危険地帯でした。しかも大陸一番の。
・・・あの超神トリオ何て所に放りだしやがったんですか!!
とはいえ、あの神殿の周囲は安全だそうで、魔物に襲われたら逃げ込めば追ってこないらしいです。まあ、そこに送り込んだということは、一応は配慮らしき物もカケラほどはしている様な気もしないでも無いですね。しかし、全裸で放りだすあたり明らかに何か抜けています。・・・悪意が有ると言う感じでは有りません。純粋に配慮が足ら無いと言うか、配慮していない感じがします。
結論。あの超神トリオ、けっこう間抜けである。
まあ、考えてみると、そう以外なことでも無いですね。
人間に知能や知性が発達したのは極論を言えば生きるために必要だからです。知能や知性は有ると色々余計なことで悩んだり苦しんだりします。しかし、活用出来れば未来を予測したり道具を作ったりと、自然界で生き抜くために非常に有用な『力』です。ですが、それを遥かに超える世界を破壊出来てしまう様な凄まじい『力』を持った存在に必要な『力』でしょうか。
自分の勝手な推測ですが恐らく必要無いのでしょう。むしろ、そんな存在が悩んだり苦しんだりしたらドエライことに成るんじゃないでしょうか。恐らくは彼らが持っている物は知能や知性とは別のナニカなのでしょう。感情らしき物は感じたのですが・・・。
まあ、あの超神トリオのことを考えるのは時間の無駄ですね。恐らく永遠の時間を掛けても理解できないでしょうから。
次に最寄の村か町について、ここから一番近いのはルーベンスと言う城塞都市だそうです。他にもゴブリンやリザードマンの集落が有りますが、買い物すら出来無いらしいので行く意味が無いでしょう。元々は最果ての樹海からやって来る怪物を迎え撃つための前線基地で、国王に準ずる権限を持った大公が治めているらしですね。
この村からは直通の安全な地下通路があったらしいですが、(スーさんのひい爺さんが作ったらしいです。)ドラゴンが来た時崩してしまったらしいですね。・・・魔術があるんでドラゴンもいますよね。今、遭遇したら逃げの一手ですね。
あと、やはりというか自分チートらしいです。まあそうじゃなければ、この世界に居る人どんだけ化け物ぞろいなんだという話ですよね。具体的に何処と聞いてみた所、才能と顔と言われました。自分的にも顔は良いと思っていたので美的感覚も前世と大きく変わらないと考えて良いと言うことでしょうか。後で仮面でも作りますかね。
この世界のことは大まかには分かったので、次は自分がどの位強いのかという問題です。周りに自分より強い怪物がゴロゴロいる様では村の外に出ることもままならないですし。幸いスーさんは結構強いらしいです。何でも、騎士団の副団長にスカウトされたこともあるらしいので。
とりあえず【ステータス閲覧】のスキルで互いのステータスを比較してみることにします。
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名前 : クロエ
属性 : 妖精
種族 : コボルト・原種
年齢 : 0
レベル : LV.6
HP(体力) : 1500/1500
MP(魔力) : 33000/33000(10000+23000)
STR(腕力) : 149(110+39)
DFE(防御力) : 162(120+42)
INT(知力) : 2575(500+2075)
TEC(技術力) : 370(200+170)
DEX(速力) : 255(150+105)
REC(回復力) : 270(200+70)
『技術』
【神速学習】LV.- 【ステータス閲覧】LV.5 MAX 【論理思考】LV.5 MAX 【心眼】LV.1 【不動の心】LV.5 MAX 【伝承】LV.1 【検索】LV.5MAX 【翻訳】LV.5MAX 【探索】LV.5MAX 【超高速並列情報処理】LV.5MAX 【魔術創造】Limit break 【全属性魔術】LV.1 【アイテム作成】LV.5MAX 【常在戦場】【薬品調合】LV.1 【下位属性魔術】LV.5MAX 【回復魔術】LV.5 【水氷属性魔術】Limit break 【詠唱短縮】LV.1 【MP節約】LV.1 【短剣術】LV.5MAX 【格闘】LV.1 【カウンター】LV.1 【魔弓術】LV.1 【覚悟】LV.1 【無詠唱】LV.1 【浄化】LV.1
『能力』
【直感】LV.5 MAX 【無限の可能性】LV.- 【スキル、アビリティ作成】LV.1 【大地制御】Limit break 【地属性耐性】LV.1 【爪】LV.5MAX 【状態異常耐性】LV.1 【全属性耐性】LV.1 【有害効果無効】LV.- 【暴走する進化】LV.- 【再生能力】LV.1 【剛力】LV.1 【加速】LV.1
『職業』
【学者・理系】LV.50 【魔術師】LV.99 【回復師】LV.1 【農夫】LV.1 【高位魔術師】LV.1 【軽剣士】LV.1 【格闘士】LV.1 【弓使い】LV.1 【魔弓師】LV.1 【魔術作成師】LV.1 【建築士】LV.1 【料理人】LV.1 【栄養士】LV.1
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名前 : ステラ=アースレイ
属性 : 不死・祖霊
種族 :スケルトン(祝福)
年齢 : 20+10
レベル : 30
HP(体力) : 2000/2000(1500+500)
MP(魔力) : 416/416(320+96)
STR(腕力) : 204(120+84)
DFE(防御力) : 240(150+90)
INT(知力) : 72(60+12)
TEC(技術力) : 120
DEX(速力) : 130(100+30)
REC(回復力) : 65(50+15)
『技術』
【ステータス閲覧】LV.3 【爪】LV.2 【下位属性魔術】LV.2 【剣術】LV.4【盾防御】 LV.3 【スラッシュ】LV.2 【三段突き】LV.2
『能力』
【直感】LV.3 【状態異常完全無効】LV.1 【地属性耐性】LV.3 【獣化】LV.3
『職業』
戦士LV.60 魔戦士LV.20 獣戦士LV.50
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なるほど、ステータスの上なら既に騎士団長以上と言うわけですか・・・・人としては強い部類に入る様ですね。
あれ、スーさん何落ち込んでいるんですか。色々チートだと教えたじゃないですか。え、何々・・・生まれたばかりのステータスが二度も『上位種化』してる私より上なのがショックだと。『上位種化』ですか、中々聞き捨てならない面白ワードが出て来ましたね。そこんトコ詳しく教えてもらいましょうか。
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ふむ、大体理解しました。この世界ではレベルが99を超えると、より強い種族に『上位種化』出来るらしいです。スーさんを例にしますと、最初はただのコボルトだったのがコボルトファイターに進化し、次にグレイコボルトに進化した所で死亡してスケルトン(祝福)に成ったらしいです。他に『位階上昇』と言う豪華版な物もあるらしいですが、これはもはや伝説や神話の類らしいです。
あ、ついでに属性は普通は変化しない物らしいです、スーさんみたいに死亡して甦ったりしない限り。
また、種族によっては苦手なスキルや魔術属性も存在するらしく、時々『上位種化』するとスキルや魔術の威力が下がると言うこともあるらしいです。後ついでに、種族的にコボルトやゴブリンはヒューマンに比べて魔術系のスキルと相性が悪いらしいので亜人とか呼ばれることもあるそうです。体力系のスキルとは相性良いですし、ステータスもINT以外はヒューマンよりも高めなんですけどね。
しかし、魔術属性の相性ですか・・・自分は水氷属性の魔術しか使ってないですからね。いざという時のために調べておいた方がいいですね。とりあえず下級の攻撃魔術で練習しておきますか。
まずは壁の方を向いて体育座りをすると言う、とても分かりやすい落ち込み方をしているスーさんを立ち直らせます。
斜め下から突き上げる様に蹴るべし!!
あ、壁壊れた。
技術【ケンカキック】LV.1を創造しました。
【格闘】LV.1⇒LV.5MAX
「ほら、スーさん。壊れた壁に頭突っ込んで無いで、さっさと起きてください。」
「・・・・私の扱い酷くないか!!!」
なんか怒ってますが、再起動したので良し。
なおも文句を言うスーさんをテキトーにあしらいつつ、魔術の練習をするむねを伝え。一緒に開けた場所に移動。さっそく試し撃ちを開始する。とりあえず、全属性の最下級攻撃魔術を一通り地面に向かって撃ってみることにする。
まず炎熱属性から。ほいと!《BOOOOOOON》
技術【炎熱属性魔術】LV.1を獲得しました。
次は風衝属性。よっと!《ZUBAAAAAAA》
技術【風衝属性魔術】LV.1を獲得しました。
これは大丈夫な気がしますが地緑属性。てい!《DOGAAAAAAAAAN》
技術【地緑属性魔術】LV.1を獲得しました。
派手だと予想される電磁属性。や!《BISYAAAAAAAN》
技術【電磁属性魔術】LV.1を獲得しました。
男の夢、ビームが出るぞ閃光属性。いっけー。《PIKAAAAAAAA》
技術【閃光属性魔術】LV.1を獲得しました。
重力系もモチロン含まれる暗闇属性。ラスト。《ZUUUUUUUUUUN》
技術【暗闇属性魔術】LV.1を獲得しました。
ふむ、使ってみた感じでは苦手属性は無さそうですが・・。見てた感じどうですかスーさん。って、あれ??・・・・何、口開けてフリーズしてるんですか。
肘を直角に固定し相手の右脇腹を斜め上に突き上げる!!
技術【肝臓打ち】LV.1を創造しました。
何をのた打ち回ってるんですか、あなた肝臓なんて無いでしょう。え、凄い苦しい?・・・ちょっと調べてみるとスケルトンが常時体に纏わせているオーラにダメージが行ったらしいです。さっきの蹴りと合わせてHPが500も削られています。・・・手加減したつもりなんですが。
しょうがないので回復魔術『治癒』を掛ける。あ、不死でも祝福が付いているので回復魔術でダメージってことはありません。普通の不死だとダメージ受けるらしいですケド。何でも、命として歪んでいるか如何かと云う問題らしいです。
はい、HP全開です。一瞬ですよ、拍手、拍手~~~。
「うGAAAAAAあああああああAAAAA!!」
なんですか、急に奇声上げて。さっきまで黙ってたのに。え、自分はさんざん苦労して魔術を覚えた?それをアッサリ使って理不尽だ?ついでに回復魔術まで使えるのは反則だ?知りませんよ、そんな事。まだギャーギャー言ってるので脳天に踵を落として大人しくさせました。
技術【踵落とし】LV.1を創造しました。
技術【異界の格闘術】LV.1を創造しました。
はて、かなり手加減したんですが・・・・・それでも一撃でHP700も削っちゃいましたね。さっきから気になって居たんですが、上手く手加減が出来てないですね。と言うより【神速学習】のお陰で凄い勢いで成長する物だから、感覚がそれに追い付けない様です。例えば、10の内1の力を使ったつもりが、10がいつの間にか100に成ったため10の力になってしまう。そんな感じです。
・・・・・・これは思ったよりマズイですね。これからのことを考えた場合、これは弱点に成り得ることです。力の微妙な加減が必要な技も多くありますし、自分の威力が自分の首を絞めることも多々有り得ます。早めに気付いて助かりました。
これは・・・特訓ですね。
この問題が解決するまで、しばらく遠出とかはせずに訓練あるのみです。ついでに、せっかく職業【農夫】を持っているので畑とかを整備して置きましょう。前世では農作物は、速くても数か月はしないと収穫出来ませんでしたが、この世界では不思議パワーとかで一週間ぐらいで収穫出来るかもしれません。
これからの方針として、第一に自分の力を制御出来る様にする。第二に生活の基盤をしっかり確立する。第三に
「はっ!!頭が割れる様に痛い!!」今目を覚ましたコレを何とかする。・・・現状タダ飯ぐらいの役立たずですし、ステータスも下手したら自分の方が良いですし、さっきから私の攻撃全くかわせないですし、ヤバイ・・・・・良い所が見当たらない。
えと、まあ、ステータスだけで勝負に勝てるわけでは無いですし、色々動揺とかしてましたからスーさんの実力が出せなかったのだと思うことにします。・・・・・ひょっとしてアレお荷物??
ともかく、自分のことです。【アイテム作成】で木の枝から自分の身長の三分の二位の棒を作りだします。いや棒術というのは色々応用が利くそうなので。確か・・・・・・振れば刀、払えば薙刀、突けば槍だったかな??
高校時代に授業で剣道やったことがあるので、まずは剣をイメージして振ってみましょうか。
side out
お荷物?ことスーさんside
何か悪口を言われている様な気がする!!!
いかん、精神が参っている。・・・・それも仕方が無いか。何しろ今そこで訓練をしている見た目が十歳の少年に明らかに色々負けているのだ。しかも、この少年、性質が悪いことに見た目は少年だが、本来は昨日生まれたばかりの赤ん坊と来た。大人として悪夢でも見ている様だ。村一番の戦士と言われていたあの頃が懐かしい・・・思わず彼方を見てしまったとしても誰が責められよう。
さらに、少年の攻撃を動揺していたとしても3発、反応も出来ずに喰らってしまったことも私の自尊心をガリガリ削っている。3発目なんて、一発で失神させられてしまった。ううっ・・・まだ頭が痛い。
どういうわけか少年の攻撃は察知し難い。技も見たことが無いし・・・・1発目は吹き飛ばし、2発目は悶絶、3発目は前述の通り、ご丁寧に全て効果付きで対人戦闘では威力を発揮するだろう。
いや、ホーンラビットとの戦いを見たが、多彩なスキルやアビリティさらには魔術、不測の事態にも動じない精神力、臨機応変な判断力、はっきり言って少年は強い。この村の周辺の下位モンスターでは一人で十分勝てるだろうし、もっと樹海の奥に生息する中位モンスターでも下級なら勝負になるだろう。中位モンスターは騎士団の小隊でやっと討伐出来るレベルだから、個人で一個小隊レベルの戦力を保有していることになる。
・・・改めて考えてみると凄いことだな。
正直な話、訓練なんて必要ないと思うのだが、少年に聞いてみたところ技の精度が甘いのだそうだ。力一杯振れば良いと思うがと言った所、呆れと憐れみの籠った視線を向けられた上に、疲れた顔で溜息まで付かれた。ナゼダ。
そんな訳で少年の訓練を眺めている。いや、家事とかやろうとしたのだが基本したことが無いので・・・結果は惨敗。その後、少年がスキルとアビリティを使って私の後始末も含めて数呼(日本の時間で数分)で片づけてしまった。呆れた顔で「二度と家事しないで下さい。」と言われた。ひょっとして私は役立たずなのだろうか・・・・。
少年が棒を振るたびに爆発音や破裂音が響き渡る・・・えらく物騒な訓練だな。
あの一撃は下位モンスターの中級程度なら一撃で倒せるのでは無かろうか。そのまま見続けていると、次第に一撃から次の一撃に移る際の隙が少なくなり、それにつれて、爆発音や破裂音が少なくなっていく。威力が下がっているのではなく、威力が収束されて無駄が無くなっているのだ。それとともに動きが緩やかにまるで舞踏のようになってゆく。少年の見た目と相まって、まさに天上の舞の様で、気が付けば時間を忘れて見入ってしまっていた。
少年が私になぜ呆れて溜息まで付いたのか分かってしまった。技の奥深さと言う物を私は今まで全く分かっていなかったのだ。あの少年の技を見た後では、私の技と思っていた物は、ただ剣を振っていただけだ。
少年の訓練はスキルやアビリティを混ぜながら、実戦さながらの凄まじい物に変わっている。少年の訓練を全神経を集中し、一挙手一投足を見逃さない様に観察する。見たことの無い技を目に焼き付け、見えているのに動きが分からないことに驚き、夢中で見続ける。
技術【伝承】LV.1を獲得した。
技術【連続攻撃】LV.1を獲得した。
技術【威力収束】LV.1を獲得した。
技術【格闘】LV.1を獲得した。
能力【大地操作】LV.1を獲得した。
能力【地属性耐性】LV.1を獲得した。
職業【剣士】LV.1を獲得した。
時間はあっという間に過ぎ去り、少年は一旦訓練を止め昼食を作り始めた。気付くと既に太陽が頂点から少し降りて来ていた。
私も香ってきた食欲をそそる匂いに釣られて台所に入る。暇なので手伝おうかとも思った瞬間。
「手を出さないでくださいね。仕事がふえますので。」
そのままテーブルに着席する。
「これが先の先と言うのですよ。」
先の先とは異界の技の一つで、相手の攻撃の兆しを捉えて、相手が攻撃しようと意識した時を狙い攻撃を加える技であるらしい。いかなる者も同時に複数のことを行なうのは難しい。相手は攻撃に意識が行っているので、防御に意識が行かずに結果、無防備な状態で攻撃を受けることになるらしい。
・・・・凄まじい技を盛大に無駄遣いしているな!!だが、自分が手伝っても残念な結果が待つことは想像出来るので、大人しく食卓に座って待ちながら少年に話しかける。
「少年、あの技を何処で習ったのだ。」
「前世から色々知ってはいましたが、基本は森羅万象辞典からダウンロードしましたね。魂とか精神にキましたけど。」
あんまり多用すると自我とか壊れるけどねーとか、でも死んだら意味無いしねーとか、あの超神トリオはリセット機能とか付けて無いだろーなとか、エライ物騒なことを言いながらテキパキと昼食を作っていく。アカシックレコードとかダウンロードとか言っている意味がホトンド分からなかったが、何かトンデモナイことをしているのは理解できた。・・・・深く追求するのは辞めよう。
話題を変えよう・・・・。
「少年、訓練を見ていたら技能才を七つも手に入れたんだが。」
「技能才??」
少年は技能才を知らなかった。・・・・少し安心した自分がいる。これでも年上のプライドとかがある。ちょっと得意顔で説明する。
「技能才は技術、能力、職業の3つのことで、才能と同じ意味でもつかわれる言葉だ。」
「なるほど、一々三種類いうのは面倒くさいですからね。それで、技能才が増えたことがどうかしたんですか」
「いや、技能才は普通一つ増やすのに少なくとも数年掛かるぞ、下手すれば十年掛かるのも珍しくないし。」
「・・・・本気??」
「いや、少年そこに驚くか。私としては話の流れ的には技能才を手に入れたことに驚いて欲しかったんだが。はっきり言って七つも手に入れるのは凄いことだぞ。」
凄いどころか異常なことだ。だから、時折生まれた赤ん坊が技能才を複数持っていたりすると、親は狂喜して周囲は期待する。おかげで、技能才のせいで人生を狂わせるとか良くあることだ。
少年はホーンラビットの肉を焼いたものテーブルを置いて、上にソースとか言う物を掛けていく。えらく食欲をそそる匂いが周囲に立ち込める。
「とりあえず、食べましょう。」
少年は私の顔を見て、呆れた様子でそう言った。そこまで食いたそうな顔をしていただろうか。ああ、でも旨そうだジュルジュル。
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・
肉汁が溢れだすステーキを頬張りながら、少年と話をする。
「技能才のことですが、技術の【伝承】がありません?」
「ふむ、確かに真っ先に手に入れたのが、それだった気がする。」
「いや、それがどういう技術だか分かってますか?」
「分からん。」
少年がまた呆れた表情で見ている。いや、普通は技能才の詳細は【鑑定】とか無いとわからんぞ。そのことを少年に言うと、また驚かれた。少年は【ステータス閲覧】で普通に分かるらしい。
・・・人生は不公平だ。
犯罪に走る奴らの気持ちが少し分かった。
「で、どんな技術なんだ。」
少しヘソを曲げてしまって男に乱暴な言葉使いになってしまったのは、しょうがないと思う。
「ああ、私の持っている技能才をスーさんに習得させられるんですよ。多分いろいろ、条件有るでしょうけど。」
・・・・・ヱ。
「ついでに、スーさんの技能才も他の人に習得させられますよ。」
「ちょっと待て、それって凄いことだぞ。そんなに簡単に技能才が増やせたら・・・世界が変わるぞ。」
大げさでは無い。技能才が一つ増えただけで級が一つ上のモンスターに勝てる様になることもある。技能才がそんな簡単に増やせるならレベルも上がりやすくなるだろうし、モンスターと戦っての生還率も上がる。ひょっとしたら、竜にすら手が届くかもしれない。
「ふむ、やはりそうですか。あの超神トリオが私にやらせたいことはそれですね。要はこの世界の難易度を下げたいのですか、目的は分かりませんけど。」
「超神トリオ?難易度?」
「【伝承】と一緒に貰ったのが【スキル、アビリティ作成】ですからね、【神速学習】とあわせれば面白いことに成りますね。」
「ちょっと待ってくれ少年。情報を整理させてくれ。・・・まず超神トリオって何??」
少年は凄く嫌そうな顔をした。
「よりにもよって、最初に聞くのがソレですか。はっきり言って厄ネタですよ・・・・。三柱いますけどアソコにその内の一柱だけ祀られていますよ。」
そう言って少年は村の奥の神殿を指差す。・・・・あの神殿は何を祀っているのか誰も知らなかったのだが。そもそも発する神力が強すぎて、誰も入るどころか近づけなかった場所だぞ。まあ、お陰でモンスターが村に近づかなかったわけだから、我々は昔から恩恵を受けていたわけだな。
「どのような神が祀られているのだ。」
「・・・まだその話題ひっぱりますか。名前なんて知らない方が良いですよ、と言うか我々みたいな矮小な存在には名前すら知覚出来ませんよ。・・・万一知覚できたとしても碌なことに成りません。まあ、司るものは『運命』と『可能性』ですから《運命と可能性の神》で良いんじゃないですか。」
え、そんなに危険な神様なんですか。すると、あとの二柱は・・・・。ブルブル、なんだか、寒気がしてきた。
「もうこれ以上アレの話はいいでしょう。というかこれ以上するなら、もう話を辞めますよ。オッカナイですから。」
少年がここまで嫌がるとは・・・・この話は止した方が良いな。それより本当に技能才を増やせるかどうかの方が問題だな。
そんなことを考えていたら、少年に見抜かれたようだ。
「技能才が増やせるか気になっている様ですね。午後からの訓練を一緒にやってみますか。」
少年が微笑む。一瞬、見とれてしまった。
まあ、試しにやってみるか。
・・・・・・・・・・と思ったのが命取りだった。
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彼女、ステラ=アースレイは彼のその微笑みを後の生涯で何度も見ることになる。
別名「邪神の微笑み」。
その微笑みを向けられた者は、例外なく死ぬより酷い目に会うという。
それを見てしまった際の彼女の対応は二つ。自分が巻き込まれない様に可能な限り距離をとるか、わき目も振らずに逃げ出すかであったという。
これから、彼女に精神外傷を刻みこむことになる悪夢の時間が始まるのだが、そんな事を今の彼女は知るよしも無かったのであった。
その日の午後。村に破壊音と悲鳴が絶えることなく響いていた。・・・・・合掌。
後に『閃光の不死騎士』と呼ばれるステラ=アースレイ始まりの日であった。
ようやく世界観の説明が一区切りしました。次からは人物の性格とか描けると良いなと思っています。
ついでに毎回言いますが、もっと執筆のペースを上げていきたいです。