トンネル工事と復興支援
いつもお読み頂き有り難うございます。
何とか月に二回の投稿に成功しました。この調子で投稿のペースを上げていければ良いんですが・・・・・。
今回もお楽しみ頂けたら幸いです。
10/1 ご指摘頂いた箇所を修正いたしました。ありがとうございました。
色々と思考錯誤や権謀術数の結果、何故か四人を残して冒険者の皆さんは壁に向って体育座りをしながらブツブツと何かを呟いています。交渉を有利にするため少しトラウマを抉っただけなんですけどねえ。
社会情勢やら国家機密、冒険者ギルドの内部情報、プライベート全搬から初恋の相手に至るまで全て吐かせましたよ。まあ、当初の目的は大体達成出来ましたね。これ以上コイツ達を絞ってもこれ以上情報は出てこないだろうし・・・・。
(恐ろしい・・・・・・。)
(悪魔より達が悪くないか・・・・。)
(神様コワイ神様コワイ神様コワイ神様コワイ神様コワイ神様コワイ神様コワイ・・・・・。)
(相手の傷に塩を塗るどころか固めて窯焼きにするのに迷いも躊躇も一切しねえって・・・・色々終わってる・・・・。)
はて?皆さん何故こちらを何か恐ろしいモノを見る様な目で見ているんでしょう???
「何か問題でも?」
「「「「いえ!!全く問題ございません!!!!(こっちの方に矛先が向くとヤバい!!!)」」」」
さて、彼らから得た情報の中で早急に解決しなければならない問題が一つ。十年前に、ここから避難したコボルト達に関することです。此処に来た二人のコボルトに彼らの近況について聞いてみた所・・・・・。
「・・・・そんなに?」
「はい・・・・・死者こそまだ出ておりませんが時間の問題でしょう。」
彼達はこの場所を追いだされた後、結構苦しい生活をしているらしいんです。まあ、前世と違ってセーフティネットや災害保険なんてありませんからね・・・・前世の日本でさえ十分に働いているとは言えなかったですけど、災害後の自殺や孤独死、二重ローンなんていう言葉もありましたし。ちょっと気分がクサクサしますね。
彼らは最寄の城塞都市ルーベンスに無事辿りついたらしいのですが、城塞都市とは巨大な箱モノであり、箱には入る容量が決まっている物です。侯爵様いわく、先代と併せて出来る限りの援助はしたらしいですが、いきなり百名近く増えた人の働き口や住居など用意することは十年経った今でも出来ていないらしいです。
かの城塞都市の存在意義は魔獣の阻止である以上はそれを最優先にせざるを得ず、さらには先代の急死による混乱、それに乗じた余所からの介入への対応も有り、彼らに対する対応は後回しにせざるを得なかったんだそうです。また、彼らと同様に魔獣の被害から周囲から安全なこの場所に流れて来る流民も結構な数いるらしく侯爵様としては頭を抱えているらしい。
根本的な解決には都市を大きくするしかないのですが、都市の周囲を覆う三重の城壁と堀は非常に堅固で安全ではあるが残念ながら製造時に増改築のことは一切考慮されませんでした。そのため、無理に増改築するより作りなおした方が安くつき、そんな大工事は現在の侯爵領の財政では絶対無理らしい。
結果、住む所が無い彼らは本来居住スペースでは無い城壁と城壁の隙間に住む羽目になり、そこに他の流民達や孤児達も住み着きスラム化、彼らの生活レベルは・・・・・言うまでもないですね。
まあ、一応同郷同族の方達ですし、放っておくのも寝覚めが悪いですね。場所なら腐るほどありますし、働き手がいれば現在人手不足のため実行出来ないプロジェクトが・・・・おっと、人助けの方が先ですね。
「じゃあ手早く迎えにいきますか。さすがに死人を生き返らすのは・・・・・結構、面倒ですしね。」
(((無理じゃあ無いのか・・・・・。)))
はて??皆さん何故か微妙な顔をしていますね。まあ良いですけど。とりあえず、今動けるメンバーはスーさんとハムさん、侯爵とそのお供、コボルト二人を含む冒険者四人ですね。駄女神?最初から数に入れて無いですか何か?
「じゃあさっさと行くとしますか。」
「いや、老人や子供、病人もいるので、彼らを守りながら樹海を突破するにはこの人数では・・・・・。」
いきなりスーさんの弟に出鼻をくじかれました。いや、いくら自分でも樹海でのボーイスカウトの真似ごとの危険性は分かっていますよ。護衛クエストって何気に難易度高いのはしっていますし。そんなに常識無い様に見えますかねえ。
「ちゃんと考えてあります。元々その都市とは直通のトンネルがあったんでしょう。そこを掘り直せば良いんですよ。」
まあ、転移魔術とかで一気に連れてきても良いんですが、今後その都市との交易とかを考えた場合はトンネルは使うことになるでしょうし、どうせなら今作っちゃいましょう。
「えっと・・・・・・・。」
冒険者の内の誰かが何かを言いかけましたが、次の瞬間軽い地響きが起こったために驚いて黙ってしまいました。まあ、慣れていないと驚きますよね。
「ハイ、おしまい。行きましょうか」
状況が分からない彼らを連れて外に出ます。外に出た途端、さっき私が作った物を見た冒険者達から驚愕の声があがりました。
「・・・・・・・・・(ポカーン。)」
「さて行きますよ。」
「おーおーあれが新しいトンネルか。しかしデタラメだなあ・・・・・慣れたけど。」
さて、今さっき会話の最中に片手間に作ったトンネルの入り口です。とあるゲームのラスダンの入り口をイメージして作ったのでちょっと威圧感がハンパ無いです。人間が近づくと自動で開く10メートルほどの高さのアダマンタイト製の扉を入ると、広さや内装は前世の海ほたるを参考にした巨大トンネルがあり。その内部は魔術で再現した前世で言う動く歩道の様になっています。歩道に乗ると結界に包まれまして最大時速500kmで一気に加速、大体徒歩で二日掛かるほどの距離をほぼ二時間で走破するという無茶苦茶ぶり。
一瞬でこれを作るんですから神様の能力って凄いですね、自画自賛しちゃいますよ。あ、今回は急ぐので歩道の安全のための術式とかは取っ払って軽く音速超える速度で運用します。全員そこそこ頑丈なのであちらに付くのに三分掛かりませんよ、Gとか凄いことになりますが・・・・・・具体的に言うと一般人だと色々潰れる。ま、全員そこそこ頑丈ですし、この世界には回復魔術があるから良いですよね。
結局、スーさんとハムさん以外の人には回復魔術を使うことになったことを記しておきます。流石に瞬間30Gはきつかったですか・・・・・ま、死んでないから良いですね。
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とりあえず着いたんですけど・・・・・予想以上に酷いですね。皆さん毛並みが前世のヤンキー髪の毛(脱色済み)並みに悪いですし、所々毛が抜けて禿げている人もいます。皆さん拒食症の人みたいにアバラが出ていて、栄養が明らかに足りていませんね。
彼らを纏めている長老との話し合いは、この世界の常識に疎い自分が居ても余り意味は無いのでスーさんとハムさんに任せました。とりあえず病人については到着早々に冒険者の二人に手伝ってもらって治しました。後は何は無くともとりあえず炊き出しですね。
栄養価の高い物・・・・カレーは弱った体に刺激が強すぎますか、タンパク質とカルシウムが最優先ですからクリームシチューといきますか。ニンニク*1をみじん切りにしましてジャガイモ*2とニンジン*3と玉ねぎ*4、さらには肉*5も入れて炒めます。バター*6と小麦粉*7と牛乳*8でホワイトソースを作り、だまが出来ない様に混ぜてから軽く煮込んで最後に塩*9、コショウ*10で味を調えて・・・・・完成です。
「はいよー出来たよ~~~~。」
出来たシチューを子供や老人を優先に配って行きます。ついでに同じ場所にいた他の種族の浮浪児や流民の方達にも配ります。考えている幾つかの計画には人手が多いに越したことは無いので、彼らもついでに連れていくことにしました。侯爵には許可を取ってあるので、後は本人達の意志次第ですね。
全員の腹が一杯になるまで大鍋に10回ほどシチューを作りましたが、これで総勢300人ほどの働き手を確保することに成功しました。
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今回の調理に使われていた食材一覧。
*1:ニンニク
分類:異界の香味野菜
等級:特一等級
食効:STR(腕力)20UP・REC(回復力)20UP
効果:能力【状態異常耐性】獲得
*2:ジャガイモ
分類:異界の芋
等級:特一等級
食効:DFE(防御力)40UP
効果:能力【飢餓耐性】獲得
*3:ニンジン
分類:異界の野菜
等級:特一等級
食効:INT(知力)40UP
効果:能力【INT増加ボーナス】獲得
*4:玉ねぎ
分類:異界の野菜
等級:特一等級
食効:TEC(技術力)20UP・ REC(回復力)20UP
効果:能力【精神集中】獲得
*5:フレイムドラゴンの胸肉
分類:ドラゴン肉
等級:伝説級
食効:全ステータス 150UP
効果:竜の因子獲得(竜系の技能、能力が獲得可能になる。)
上位種化(初回のみ)
能力【火炎操作】獲得
能力【火属性耐性】獲得
*6:異界の牛のバター
分類:加工食品
等級:神級
食効:DFE(防御力)20UP・STR(腕力)20UP
効果:能力【治癒促進】獲得
希少能力【再生能力】獲得
*7:小麦粉(異界の小麦使用)
分類:加工食品
等級:神級
食効:TEC(技術力)20UP・DEX(速力)20UP
効果:能力【倍速】獲得
希少能力【鑑定眼】獲得
*8:異界の牛の牛乳
分類:飲料
等級:特一等級
食効:DFE(防御力)10UP・INT(知力)10UP・STR(腕力)10UP
効果:能力【剛力】獲得
*9:神域の塩
分類:調味料
等級:一等級
食効:状態異常回復
効果:アイテムとして使用すると浄化の効果がある。
*10:胡椒
分類:異界の香辛料
等級:特一等級
食効:全ステータス 5UP
効果:能力【金運】獲得
補足説明、等級について。
標準的な国家の王が食べている食材の等級が大体三等級程で、ステータス増加の食効があるのは二等級から上。
一等級から上は全てステータス増加の食効を有するが、非常に希少かつ高価で超大国のトップが人生で数度食べられるかどうか。
特一等級には稀に食べただけで能力を得られる物があるが、殆んど発見した本人が食べてしまうので市場には一切出回らない。
伝説級は食べたこと自体が伝説になるレベル、さらに製造や加工の過程で神の力が加わった物は全て神級となる。
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次の日、城壁と城壁の隙間に住んでいた流民達が全員何処かに行ってしまったが、侯爵の帰還に伴う色々な混乱のため他の住民達がそのことに気付くのは数日が経ってからになる。
10/1修正箇所
*2:ジャガイモ 分類:異界の穀物⇒*2:ジャガイモ 分類:異界の芋