スライムとストーカーと三匹のゴブリン
いつも未熟な文章を読んで頂いてありがとうございます。
新キャラを登場させようと思ったんですが、予想以上に苦戦しました。予定では5月中に投稿出来る予定だったんですが、気が付けば6月・・・・・誠に申し訳ございません。
キャラが増えて上手く書けるか心配です。頑張りますので見捨てずにお付き合い頂けると幸いです。
朝一で昨日整備した所をチェックしていきます。他の二人?まだ寝てますよ。
特に問題は無さそうです。結界もきちんと作動していますし、穴も無い様です。作物もこの世界にすっかり馴染んで、状態も問題無さそうですね。
さて、外から見て見ると城壁が豪華になった分外側の堀の貧相さが目立ってしまっていますね。バランスって大事です。堀も改修したいんですけど。
「いますねえ・・・・・。」
堀の中とか岸に二十匹ほど・・・・。まあ一目見れば何だか分かりますが、一応検索で調べてみます。
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スライム LV.3
属性:特殊動物
HP:300 MP:1
腕力:2 守備力:2
速力:1 運:50
《攻撃方法》体当たり(基礎攻撃力:10 基礎命中率:30%)触手(基礎攻撃力:5 基礎命中率:40%)
《能力》 溶解吸収LV.4 再生LV.2 硬化LV.1
◆水辺の植物や水中の有機物を分解して水質を浄化する分解者。戦闘力は低く、こちらから攻撃しない限り害は無い。乾燥に弱い。
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おお、検索もバージョンアップして使いやすくなりましたね。解説まで付いていますよ。
それはともかく、属性はモンスターでは無い様ですね。それなら、襲いかかってくるわけでもなし無用な殺生はしたくないですね。
・・・・・田んぼの水を温めるのに溜め池が作ってあるので、そちらに移ってもらいますか。ここの水は地下水なんもんで水温が低いんですよね、溜め池で一旦水温上げてから使っているんです。
さて、こっちの言うこと分かりますかね・・・・・・・・?
「おーい。」
あ、反応した。これなら言うこと聞いてくれますかね。
特殊固有技能【心通わせる者】LV.5MAXを創造しました。
職業【動物を統べる者】LV.60を創造しました。
あ、面白い技能才が手に入りました。まあ、これでスライム達が言うことを聞いてくれるといいんですけど。まあ、やってみましょう。
「おーい。集まって~~~。」
おお、反応しました。・・・・・・でも遅い。
あ、そうだ素早さを上げる魔術って有りましたよね。使ってみましょう。おお、速くなりました。
特殊希少技能【神級魔術】LV.5MAXを獲得しました。
特殊希少能力【神速】LV.5MAXを獲得しました。
全員集合してくれました。
「すいません・・・この場所、工事するんで住む所を移ってもらいたんですが。」
(プヨプヨ)
「良いですか?」
(ポヨポヨポヨポヨポヨポヨ)
「ああ、新しい場所はこの城壁の内側なんでココよりは安全ですよ。はい、ホーンラビットとかにかじられる様なことは無くなりますよ。」
(ムニョムニョ)
「あ、O.K.ですか。」
やあ、動物って素直で良いですね。癒されますね。どこぞの二人に見習わせたいですね。
とりあえず、魔力や念動を使って彼らを水ごと持ち上げて、大きな水球にして運びます。やあ、アトラクションみたいなノリで皆さん結構喜んで頂けているようです。
希少能力【水流制御】LV.5MAXを獲得しました。
特殊希少能力【四象の支配者】LV.5MAXを獲得しました。
【大地制御】【火炎制御】【大気制御】【水流制御】が【四象の支配者】に統合強化されます。
・・・・・はて?どうも今日起きてから技能才の成長の仕方が変化している様ですね。【四象の支配者】ですか変わった所といえば・・・・・何と言うか処理が軽くなったという感じです。スマホが4Gとかになった感じというか、パソコンのCPUとかメモリを換えた感じですね。
試しに水を制御しながら風も操ってみます。フム、やはり複数の属性を同時に操るときも処理がスムーズになっていますね。風を光に切り替えてみます・・・・やはり処理が少し重くなりましたね。まあ、普通の方々は発現スピードとか消費魔力とか上がるんでしょうけど、自分は【魂魄量子コンピューター】やら【無限時空演算処理】なんていう反則能力持っているんで表面上は変化無いですね。
まあ、処理が軽くなる感じは精神的にいいですね。もったいないの国の人ですから。
そんなこんなで、【四象の支配者】を色々試しながら村の中の溜め池に着きました。スライムさん達を水球ごと池に放流します。
「あー水温とか大丈夫ですか?あ、大丈夫ですか。」
とりあえず新しい住処は気に入って頂けた様です。とりあえず、昨日の夕飯で出た野菜クズをあげました。含んでいる魔力が多いので喜んでくれている様ですね。しばらく眺めて癒されたいところですが、色々やることも有りますので名残惜しいですがもう行きましょうかね。
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ハイ!!工事終了。幅3メートルほどしか無かった堀は、幅十メートルが二重になりました。しかも特殊な石で底や岸を全て舗装されているため一度落ちたら非常に登りにくく、水流が渦を巻く様にしているため落ちたらまず普通の人は助かりません。さらに安全と探知のため周囲を触ると音が出る柵で覆っています。
橋は馬車が4つ並んで通れる幅があり、特殊な石で出来ていまして仕掛けを発動させると大爆発します。まあ爆発する必要無いんですけど、自爆スイッチは男のロマンということで。
とりあえず今日の工事は終了です。まあ、拠点の整備はこの程度ですね。後は人が増えてからおいおい考えていくことにしまして・・・・・・・・。
振り向いて遠くの一点を見つめます。その先100メルトルには羽根付き猫がじっとこちらを観察しています。
「何か用ですか?」
昨日の結界を張る前から見ていましたね、あの羽根付き猫。
生命の感じが伝わって来ません。モンスターに近いですが周囲に対する害意みたいなものがありませんね。多分アレ、式神とか使い魔みたいなもんなんでしょうね。
特に害意も無かったので放っておきましたが、流石にストーキングも二日になればそろそろ声も掛けて良いでしょう。距離が離れているため、気付いていないとでも思っていたようでえらく焦っていますね。まったくプライバシーとか無いんですかねこの世界。
特殊希少能力【神眼・妖精皇】LV.5MAXを獲得しました。
あ、新しい技能才が手に入ったら猫の向こうに何か見えてきました。え~とオレンジ色のクセッ毛の美人なヤンキーの姉ちゃん?あ、あちらさんもコチラが見ていることに気付いたようですね。
「ハロー。」
ちょっとフランクに手なんか振ってみます。ニッコリ笑顔も忘れずに。あ、逃げた。猫、飛んでっちゃいましたね・・・・・・・。何でしょう、フランク過ぎましたかね。まあ、何か用が有るならまた来るでしょう。
良く考えたらストーカーですから居なくなってくれた方が良かったかもしれないですね。
◆※◆※◆
ヤバイヤバイヤバイ・・・何だいありゃ。俺の『闘い』の女神としての全てがヤバさに警鐘を鳴らしている。アレは絶対に敵に回してはいけないモノだ。
俺の神獣越しに俺のことを見てやがった。恐らくこの世界の神の中でも数人しかいない【神眼】の一種だろうが、問題なのはアレがまだ神ではないことだ。
神と名の付く技能才は神にならないと手に入らねえ。これは俺達、神々を生み出した創造の女神すら破ることの出来ない。だが、アレはソレをガン無視してやがる。
あれは放っておくにはヤバすぎるが、下手に触れても大火傷じゃ済まねえだろう。
・・・・・・いや、ここは思い切って踏み込むべきか。さっきの反応からして問答無用に襲いかかられるってことは無さそうだ。手とか振ってたし、こちらが友好的に接すれば無茶はしなさそうな感じがする。
よし、思い切ってソッチに全額掛けてみることにするか!!そうと決まれば他の奴らにアレが見付からない様にしないと。他の神に知られると、特に『光』の糞野郎に知られると面白く無いコトに成りそうだしな。
幸いアレが張った結界は最果ての森全域に影響を与えている。張った本人は全然気付いて無いようだが、あの結界は無意識を操り異常に気付かせないというトンデモナイ代物だ。
要は結界の中で異常が有っても外部の者はそれを異常と認識出来ねえ。どんなトンデモナイ出来事が起きても、それが普通だと思っちまう・・・有る意味最上級の結界だ。
俺はたまたま結界の張られる所を見ていたから異常があるとわかる。しかし、そうじゃなかったらあの城壁を見ても、中で栽培されている異世界の作物を見てもそれに疑問を持つことも出来なかったろう。ホントにスゲエ結界だ。・・・上手くあの結界に入っちまえば天界の奴らは俺が居なくなったと気付くことも出来ねえだろうな。
良し!!そうと決まればこんな湿気た場所オサラバだ。まあ、オレのこと気にしている奴なんていねえだろうが、監視が付いている可能性もあるから脱走する時はアシが付かない様気を付けねえとな。ま、俺らしくないが慎重にいこうかね・・・・・・・。
◆※◆※◆
最果ての樹海の外縁には幾つかの集落がある。多くはゴブリンやリザードマンなど、この世界では亜人と呼ばれる人種の集落だ。そのひとつ、名もなき集落で夜に関わらず喧騒が響いていた。
その喧騒に背を向けて三人?の人影が樹海の方へ走っていく。その内の一人が一度だけ振り返る。
「オロカナ・・・・・。」
三人の身長は小学生の高学年ほど、肌の色は緑、所謂ゴブリンであった。昨日までは集落の長の子供達だったが、反乱が起き現在夜逃げの最中である。
発端は集落の周囲のモンスターの変化だった。集落の周辺のモンスターの数やランクが上がり、凶暴性も増した。これによって周囲から食糧の調達が難しくなったのだ。
この事態への対応を巡って集落は割れた。一部の過激な若いゴブリンが近くの人間の村を襲うことを主張したのだ。集落の長を中心とした賢いゴブリン達は勿論反対した。亜人の集落がここにあるのは、人間達にとって最果ての樹海のモンスターを減らしてくれる壁として有益だからなのだ。不利益が利益を上回れば、冒険者や騎士団などによって容易く集落は滅ぼされてしまうだろう。
だが、頭に血が上った若いゴブリン達にはそれが分からず、食糧への危機感から頭の足らない者達もそれに同調した。そして、それは今夜、集落の長達への反逆という最悪の事態へと進行した。
長達やそれに近い者達は不意を撃たれて殺されてしまい、彼らの子供だった三匹は命からがら集落を脱出した。もう集落には戻ることは出来ない。例え反逆者達が彼らの命を助けても、人間の村を襲えば人間達によって集落は皆殺しにされてしまうだろう。かといって人間達や他の集落の亜人達は彼らを受け入れてはくれないだろう。彼らにしてもこの土地に住むことは限界ギリギリだし、モンスターの変化は他の集落にも当然影響がある。はっきり言って、余計な物を抱え込む余裕は何処にも無いのだ。
彼らに残された道は危険な最果ての樹海の奥しかなく。そこで安全な場所を見付けて、新たな生活の基盤を築くという微かな希望にすがるしか無い。
最も体格の小さい、男の娘のゴブリンが不安そうな表情をする。これからのことを考えれば、そんな表情をするのも無理からぬことである。彼に対し先ほど振り向いていた一番落ち着いたゴブリンが声をかける。
「ダイジョウブダ。オレガ、ナントカシテミセル。」
さらに一番大きなゴブリンが落ち着かせるように彼の頭を撫でる。それで男の娘のゴブリンは少し落ち着いた様だ。三匹は連れだって最果ての樹海の奥へと向かって行った。
これから三日後・・・・この集落はこの世界から姿を消す。
長達を殺して勢いに乗った彼らは、翌日勢いそのままに人間の村を襲った。だが、人間の村も同様にモンスターの異変に悩まされており、用心のためなけなしのお金を出して数人の冒険者を雇っていたのである。彼らは逆に返り討ち遭い、集落もその後冒険者達に壊滅させられた。そして、集落の生き残りは樹海の奥に向かった三匹だけになってしまった。
残された幸運な三匹のゴブリンは、この後さらに冗談みたいな万馬券を引き当てることになる。
樹海の奥で変なコボルトに出会い。さらに城壁に囲まれた、異世界の植物の繁茂する変な都市で生活することになるのは三日後のことであった・・・・・・・。
この作品の完結の目途すら立っていないのに新作を構想中です。もう少し執筆の速度が上がったら試しにやって見ようと思います。