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選択授業を国語にする

作者: WAIai
掲載日:2026/06/21

選択授業というものがあり、国語や音楽など自分の好きなものを選べるのだった。


「何する?」


彼が聞きに来たので、私は紙を見せる。

そこには「国語」と書かれていた。


「何で国語なんだ?」

「先生が好きだから」

「好きって、おい」


彼が慌て始めたので、私は首を傾げる。

何か変なことを言っただろうか。


彼は私の机に両手を置き、首を振ると、私をじっと見てくる。


「あなたも嫌いなタイプじゃないでしょう?」


そう聞くと、「まあな。明るい先生だし」とうなずいてくる。

声の大きな先生で、学校であった話を面白おかしく話してくれる先生だった。


まるで少年のように、キラキラしたものをもっているのだった。


「じゃあ、俺も国語にするかな」

「うん、そうしよう」


彼が私からシャーペンを借り、大きく「国語」と書く。

書道のように潔く、気持ちの良いものだった。


2人は立ち上がると、担任に紙を提出しに行く。

担任は英語の先生で、大人しくて真面目なタイプだった。


嫌ではないが、授業が少々、退屈だった。


「2人とも国語ね。分かりました」

「よろしくお願いします」


2人で頭を下げると、教室に戻る前に、国語の先生の部屋へ向かう。


「おう、どうした、お前ら」


先生は一人だった。

放課後だがら、他の先生は部活を見に行ったのかもしれない。


先生に気楽に声をかけられて、私は肩から力を抜く。

彼は面白い玩具を見つけたように、わくわくしているのが伝わってくる。


「あの、選択授業、国語にしたんだ」

敬語ではなく、タメ口で話しても、先生はびくともしなかった。

むしろ楽しそうに椅子をこちらに向け、手招きしてくる。


「何? …飴?」

「しーっ」


先生が声をひそめる。

私と彼は顔を見合わせると、せっかくもらったんだからと、飴を口にする。


甘くて優しいイチゴ味。

とろける美味さに頬を押さえると、先生が笑いながら言ってくる。


「美味いか?」

「うん!! イチゴ味、皆、好きなんだよ」

「俺も嫌いじゃない」


2人はもごもごと口を動かしながら、先生と向き合う。

するとプリントを出してきた。


何だろうと覗き込むと、自分で持てと仕草をしてくる。

私がプリントを持つと、彼が覗き込こんでくる。


「…平家物語? これがどうしたの?」

「授業で扱う内容だ。絵を描いたり、学園祭で朗読しようかと思ってな」

「え!! 絵を描くの!!」


私は大きな声を出してしまい、慌てて口を押さえる。

彼はプリントを見つめたまま、げんなりして言う。


「絵を描くのかよ…。しかも学園祭で朗読するって」

「え、そう? 私は絵を描くのは好きだけどな」


どんな絵を描こうかと、今からわくわくする。

先生はプリントを彼の分までくれ、笑う。


「楽しみにしとけ。学園祭で親御さんが見に来るかもしれないし」

「あー、それは嫌だな」


さすがに親に見られるのは嫌だった。

理由は恥ずかしいのと、色んな事情があった。


「俺の授業は楽しいぞ」

「今から気が重い」


半分冗談で言うと、先生が声を立てて笑う。

それから椅子を机の前に戻し、手を振ってくる。


「早く行け。遅くまで学校にいるな」

「分かった。ありがとうございました」

「ありがとうな、先生」


2人は挨拶すると、部屋を後にする。

放課後なので、廊下はしんと静まり返っていた。


「平家物語か。楽しみだな」

「お前はいいよな。絵を描くのが得意で。俺なんか、どうしようか頭が痛いもん」


私が声を立てて笑うと、廊下に響く。

最後の飴を飲み込むと、私は彼の手を引っ張る。


「早く教室に行こう?」

「おう。そろそろ帰るか」


2人は仲良く並ぶと、教室に向かったのだった。



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