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追放された人間は、最強獣人に囲われ溺愛される 〜世界の歪みが見える僕は、人の街では生きられませんでした〜  作者: ちび太


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「境界を超えてくるもの」

読んでいただけると幸いです

 城門が閉じる音は、

 低く、腹に響いた。


 重厚な鉄と石が噛み合うその音は、

 外界との境界が断たれた合図だ。


 城の中の空気が、

 わずかに張り詰める。


「……来たな」


 ガルドの声が低く落ちる。


 僕は、

 中庭を見下ろす回廊に立っていた。


 朝霧の向こう。

 獣人たちに囲まれながら、

 数人の人影が城内へと導かれてくる。


 ――人間だ。


 布の外套。

 硬い表情。

 城の威圧に、無意識に肩を強張らせている。


 胸の奥が、

 ひやりと冷えた。


「人間の国からの使者だ」


 ガルドは、視線を逸らさない。


「目的は一つ」


 その言葉の先を、

 聞かなくても分かってしまう。


 ――僕だ。



 謁見の間は、

 昨日よりも重い空気に満ちていた。


 玉座の左右には獣人の兵。

 その一歩前、

 静かに立つ影が一つ。


 黒豹族の側近、ザイード。


 耳は伏せられ、

 尾は微動だにしない。


 それだけで、

 異常な緊張が伝わってくる。


「獣人王ガルド殿」


 人間の使者が、

 形式通りに頭を下げる。


「我々は、人の国を代表し――」


「要件を述べろ」


 ガルドは遮った。


 余計な言葉を許さない声。


「……最近、

 夜の歪みが各地で沈静化しています」


 使者は慎重に言葉を選ぶ。


「その中心が、

 この獣人の城であると判明しました」


 視線が、

 一瞬だけ――僕に向く。


 ザイードの耳が、わずかに動いた。


「人間の中に、

 歪みに影響を与える者がいる」


 使者は続ける。


「それが、

 王城に保護されていると聞き及んでおります」


 沈黙。


「その人間を、

 人の国へ返還していただきたい」


 空気が、

 凍りついた。



「――拒否する」


 答えは、一瞬だった。


 ガルドの声に、迷いはない。


「……王」


 使者が言葉を詰まらせる。


「その人間は、

 我々の国にとっても重要な存在で――」


 その時。


 ザイードが、一歩前へ出た。


 足音は、ほとんどしない。


「その人間は、

 すでに王の管理下にあります」


 低く、冷静な声。


「境界を越えて、

 こちらの所有物に手を伸ばす行為」


 金緑の瞳が、使者を射抜く。


「それは、

 宣戦と受け取ってよろしいか」


 使者の顔から、血の気が引いた。


「……っ、

 そのような意図は――」


「ならば、引け」


 ザイードは淡々と言う。


「黒豹族は、

 失うと決めたものは、必ず取り戻す」


 その言葉に、

 獣人たちの気配が、一斉に重くなる。



 僕は、

 ただ立ち尽くしていた。


 話題の中心にいながら、

 意見を求められることはない。


 それが、

 守られている証だと分かっていても――


 怖かった。


「……僕は」


 声を出そうとした瞬間、

 ガルドの手が、肩に触れた。


 大きく、温かい。


「喋る必要はない」


 低い声が、すぐ傍で落ちる。


「お前は、

 ここにいればいい」


 その一言で、

 胸の奥の震えが、

 少しだけ静まった。



 使者たちは、

 何も得られないまま城を去った。


 その背中を見送った後、

 ザイードが小さく息を吐く。


「……厄介になります」


「分かっている」


 ガルドは短く答える。


「だが、

 手放す気はない」


 その言葉に、

 ザイードはわずかに口角を上げた。


「ええ。

 でしょうね」


 そして、

 彼は僕を見る。


「これで、

 あなたは戻れなくなりました」


 脅しではない。

 事実の確認だ。


 胸が、どくりと鳴る。


 ――僕は、

 獣人王の庇護下にある。


 それは、

 優しさであり、

 檻でもある。


 その両方を抱えたまま、

 物語は、

 次の段階へ進んでいく。


リオめっちゃ守られてますね

ガルド頑張れ

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