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追放された人間は、最強獣人に囲われ溺愛される 〜世界の歪みが見える僕は、人の街では生きられませんでした〜  作者: ちび太


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獣と半獣

読んでいただけると幸いです

 夜は、静かだった。


 戦後の城は、

 昼間の喧騒が嘘のように落ち着き、

 灯りの数も少ない。


 その一室で、

 ガルドは窓辺に立ち、

 夜の空を見ていた。


 王としてではなく、

 一人の男として。


「……まだ起きてたんですね」


 僕が声をかけると、

 ガルドは振り返り、

 少し困ったように笑った。


「お前の気配がしてな」

「眠る気になれなかった」


 近づくと、

 彼は自然に僕を抱き寄せた。


 戦場での強さとは違う、

 確かめるような抱擁。


 力は抑えられているのに、

 逃げ場はない。


「……リオ」


 低い声で、

 名前を呼ばれる。


 それだけで、

 胸の奥が温かくなる。


「僕は、ここにいますよ」


 そう言うと、

 ガルドの腕に、

 わずかに力がこもった。


「失わせてしまったものばかりが、

 頭から離れない」


「お前の姿を見るたび、

 俺が奪ったのだと……」


 僕は、

 そっと彼の胸に額を預けた。


「奪われたんじゃないです」


「分け合っただけです」


 ガルドは、

 一瞬息を止めてから、

 ゆっくりと僕を見下ろした。


 その目には、

 まだ後悔がある。


 でも、

 そこに縛られ続けているわけじゃない。


「……お前は、

 本当に優しいな」


「優しくなっただけです」

「あなたの隣に立ったから」


 その言葉に、

 ガルドは耐えきれなくなったように、

 僕の唇に額を重ねた。


 触れるだけの距離。

 呼吸が混じる。


 それ以上は、

 言葉はいらなかった。


 寝台に灯りが落とされ、

 静かな夜に包まれる。


 触れ合う体温。

 確かめ合う鼓動。


 獣の力も、

 人の弱さも、

 すべて抱いたまま。


 激しく求め合うのではない。


 壊れないように。

 失わないように。


 何度も、

 名前を呼び合う。


 ガルドの腕の中で、

 僕は確信した。


 半獣になっても、

 人間でなくなっても、

 僕は独りじゃない。


「……離さない」


 ガルドの声は、

 誓いだった。


「王としてじゃない」

「番としてだ」


「はい」


 それで十分だった。


 夜は、

 ゆっくりと更けていく。


 戦争は終わり、

 歪みは消え、

 世界はようやく息を取り戻した。


 そして、

 獣王と半獣の番は、

 静かな夜の中で、

 未来を分かち合う。


 それが、

 この物語の終わり。


 ――そして、

 始まりだった。


一旦これでガルドとリオの話は終了です

続きがあるかもしれませんが、ないかもしれません

最後まで読んでいただきありがとうございました

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