表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された人間は、最強獣人に囲われ溺愛される 〜世界の歪みが見える僕は、人の街では生きられませんでした〜  作者: ちび太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/39

「牙は、闇で研がれる」

 夜の城は、

 昼とは別の顔を持つ。


 灯りの落ちた回廊。

 足音を吸い込む石床。

 そして――

 声が、よく通る静けさ。



 リオが眠りについた頃、

 城の北棟の一室に、

 数人の獣人が集まっていた。


 王の許可を必要としない、

 古い血筋。


 ――力を、

 持ちすぎた者たち。



「……完全獣化したと聞く」


 最初に口を開いたのは、

 灰色の鬣を持つ獣人だった。


「人間の番の前で、

 理性を失わずに?」


 鼻で笑う。


「信じろという方が、

 無理だ」



「問題は、

 そこではない」


 別の影が言う。


「番が、人間だ」


 その言葉に、

 空気が、

 ぴたりと止まった。



「王は、

 番に引きずられる」


「それが、

 弱点になる」


「獣は、

 守るもののためなら、

 世界を壊す」


 ――経験則。



「ならば」


 誰かが、

 低く囁く。


「試せばいい」



 その場に、

 短い沈黙。


 そして、

 全員が、

 同じ結論に至る。



「番を、

 揺さぶる」


 殺すのではない。


 ――壊す。


 心を。

 信頼を。

 選択を。



 その頃。


 王の私室。


 リオは、

 夢を見ていた。


 深い森。

 夜。

 金色の目。


 ――ガルド。



 無意識に、

 身を寄せる。


 すぐ隣で、

 ガルドは、

 目を開けた。



(……近い)


 胸の奥が、

 ざわつく。


 理性が、

 警鐘を鳴らす。


 獣の勘。



 そっと、

 リオを起こさないように、

 体を離す。


 代わりに、

 額に手を当てる。


「……守る」


 誰にも聞かれない、

 誓い。



 その瞬間。


 ガルドは、

 確信した。


 ――来る。


 番を狙う、

 意図的な牙。



 翌朝。


 ザイードが、

 無言で、

 一通の報告書を差し出した。


「……不穏な動きが、

 あります」


 短く、

 的確に。



 ガルドは、

 書面を一瞥し、

 燃えるような金の瞳を、

 細めた。


「……始まったな」



 リオは、

 その横で、

 静かに息を吸う。


 怖くないわけじゃない。


 でも――

 もう、

 一人じゃない。



「……僕も」


 小さく、

 でも確かに言う。


「逃げません」


 ガルドは、

 何も言わず、

 ただ、

 その手を取った。



 闇で研がれた牙は、

 まだ、

 姿を見せない。


 だが――

 番を得た獣は、

 もう、

 退かない。


 物語は、

 次の局面へと、

 静かに踏み込んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ