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追放された人間は、最強獣人に囲われ溺愛される 〜世界の歪みが見える僕は、人の街では生きられませんでした〜  作者: ちび太


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19/39

「番であることの、代価」

読んでいただけると幸いです

 城が、

 ざわついていた。


 声を潜め、

 足音を抑え、

 それでも――

 完全には隠しきれない動揺。



 リオは、

 長い廊下を歩きながら、

 その空気を肌で感じていた。


 視線が、

 向けられる。


 好奇。

 畏怖。

 警戒。


 そして、

 ほんの少しの――

 敵意。



「……大丈夫だ」


 隣から、

 低い声。


 ガルドの存在は、

 それだけで、

 周囲を黙らせる力を持っている。


 だが、

 完全には、

 消えない。



 玉座の間。


 いつもより、

 重い沈黙。


 集まっているのは、

 獣人族の長老たち。

 そして、

 力を持つ諸侯。


 ザイードが、

 一歩前に出る。


「……本日の議題は、

 王の番に関する件です」


 ざわり、

 と空気が揺れた。



「人間を、

 番にするなど――」


 最初に口を開いたのは、

 年老いた獣人だった。


「前例がない」


「しかも昨夜、

 王は――」


 言葉が、

 途中で止まる。


 誰かが、

 **“獣化”**という言葉を、

 飲み込んだ。



 ガルドが、

 ゆっくりと立ち上がる。


 その瞬間、

 玉座の間の空気が、

 一段、重くなる。


「……俺が、

 選んだ」


 短い言葉。


 だが、

 逃げ道はない。



「獣化した王が、

 人間を抱いた」


 別の声。


「それが、

 問題だと言っている」


 静かな、

 しかし鋭い指摘。



 リオの胸が、

 きゅっと締まる。


 ――自分のせいだ。


 そう思いかけた瞬間。



「違う」


 ガルドの声が、

 遮った。


「獣化したから、

 抱いたのではない」


 一歩、

 前に出る。


「番だからだ」



 ざわめきが、

 一気に膨れ上がる。


「人間に、

 耐えられるのか」


「理性を失った王が、

 城を危険に晒すのでは」


 不安と、

 恐れ。


 それが、

 敵意に変わる瞬間。



 ――そのとき。


 リオは、

 自分でも驚くほど、

 落ち着いていた。


 一歩、

 前に出る。


 ガルドの、

 半歩後ろ。


 守られる位置ではなく、

 並ぶ位置。



「……耐えています」


 静かな声。


 だが、

 よく通る。


「昨夜も、

 今も」


 視線を、

 逸らさない。


「理性を失った王は、

 いませんでした」



 場が、

 凍りつく。


 ガルドの瞳が、

 一瞬だけ、

 揺れた。


 ――誇りと、

 心配。



「むしろ」


 続ける。


「誰よりも、

 慎重で」


 一拍、

 置く。


「……優しかったです」



 沈黙。


 長い、

 長い沈黙。



 ザイードが、

 口を開いた。


「王の獣化は、

 制御されています」


 淡々と。


「番が、

 制御点になっている」


 影の結論。



 長老の一人が、

 深く息を吐いた。


「……前例は、

 作られたか」



 完全な承認ではない。


 だが、

 否定も、

 できない。



 会議が、

 終わる。


 廊下に出た瞬間、

 ガルドが、

 リオの手首を掴んだ。


「……無茶をするな」


 低い声。


 だが、

 怒っていない。



「……並びたかっただけです」


 正直に言う。


 ガルドは、

 一瞬、

 言葉を失い。


 そして、

 静かに、

 額を寄せた。



「……代価は、

 重い」


 囁き。


「だが」


 金色の瞳が、

 まっすぐこちらを見る。


「お前がいるなら、

 払う」



 それが、

 番であることの、

 代価。


 そして――

 選んだ未来だった。


やっぱり反発はありますよねー

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