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謙虚な人間

作者: 砂虎

わたくしは謙虚な人間です。

自分で言うなと言われても、本当のことですから仕方ございません。

本当に、自分が嫌になるほどに、わたくしは謙虚な人間なのです。



わたくしは教室で口を開きません。謙虚ですから。

わたくしは誰とも遊びません。謙虚ですから。

わたくしは親に逆らいません。謙虚ですから。



いつだって、わたくしは下を向いて生きています。

いつだって、わたくしは下を向いて息しています。


いつもいつも我慢しています。

いつもいつもいつも我慢しています。


そんなわたくしですから、そんな謙虚なわたくしですから。

たった一つの願い事くらい、聞いてもらう権利があると思うのです。





ここにわたくしが投稿した小説がございます。


友達のいないわたくしが、毎日必死に書いた小説です。

友達のいないわたくしが、毎日必死に書いたのに誰も読まない小説です。

親に逆らわないわたくしが、毎日遊ばず書いた小説です。

親に逆らわないわたくしが、毎日遊ばずに書いたのにいいねのつかない小説です。




ーーー泣いて下さい。



この小説を毎日読んで、毎日毎日いいねして泣いて下さい。

感動して、感動して、感動してっ!!………体中の水分を全部涙にして泣いて下さい。



わたくしは毎日泣きながら書いたのです。

だったらあなただって毎日泣きながら読まなきゃおかしいでしょう!?

おかしい!!おかしい!!絶対におかしいっ!!こんな世界は間違っているっ!!



ふーっ!!ふーっっ!!……ふぅー……ふぅ。



わたくしは謙虚な人間です。

自分が嫌になるほどに、嫌に嫌になるほどに謙虚な謙虚な人間です。


これからも友達はいりません。バケツの水も我慢します。

これからも親には逆らいません。馬鹿と言われても笑います。



だから、だから。だからどうかお願いします。

泣いて下さい。わたくしの小説で泣いてください。



毎日泣きながら書いているのです。誰も読まない小説なのにっ!!

毎日泣きながら書き続けているのです。いいねのつかない小説なのにっ!!



どうか感動して下さい。

この小説はわたくしの分身です。この小説はわたくしの全てです。



そんな小説が読まれずに、いいねの一つもつかないなんて。

そんなのまるで。


謙虚で謙虚なわたくしが。いい子でいい子なわたくしが。

まるでいらない子みたいじゃないですか。


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