俺の片想いは結局親友ポジという形で終わるだろうというだけの話⇔
学校からの帰り道、俺と同じ櫻井高校3年1組の永倉舞が意地悪にニヤつきながら俺の顔をぐいっと覗き込むようにして訊いてきた。
「ねえ、久米くん」
「ん?」
「久米くんは好きな人いる?」
「いるけど……」
「誰?」
その一言に、俺の心臓はドクンと跳ねた。
平然を装っていたけど、内心は冷静じゃいられなかった。だって、「好きな人いる?誰?」なんて質問、女子が脈ありの男子に向けてする定番のやつじゃないか。
つまりこれは……親友ポジから彼氏ポジに昇格する絶好のチャンス!
そうだ、俺にはそのチャンスをものにする資格が十分にあるはずだ。
永倉さんとは高3で初めて同じクラスになったのにもかかわらず、アニメの好みが完全に一致していることから意気投合し、今やクラスメイトからはよく「付き合ってるの?」なんて冷やかされるくらいに仲が良い。
そんな関係を築いていく中で俺はいつからか彼氏彼女の関係に昇格したいと思っていた。願っていた。
そりゃそうだ。だってこんな可愛い女子とここまで親しくなれたんだ。親友ポジで終わるなんて未練でしかない。
そんな矢先に舞い込んできたこのチャンス。逃せるわけがない。
でも下手に告白じみたことを言って、彼女の本命が俺じゃなかったら?……その瞬間に全部が終わる可能性だってある。
ここは慎重にならねば…
とにかく、彼女が俺に対して好意を持っていることを先に示してもらうことが大切だ。
俺はできる限り平静を装って口を開いた。
「俺が答える前に、言い出しっぺから答えるのが筋でしょ?」
「えー、わたし?」
永倉さんは微笑みながらも頬を赤らめて、急に視線を彷徨わせる。
そんな彼女を見て、俺は心の中で思いっきりガッツポーズを決めた。
これは……誰がどう見ても脈アリの反応だろ!
勝ちを確信した俺は早く答えが聞きたくて、興奮を抑えるように、意地悪に笑みを浮かべながらさらに詰め寄った。
「じゃあさ、イニシャルは?その人の」
「え?イニシャル?……あー、えーっと……T.K…かな」
「T.K?」
「そう……T.K」
「TからのK?」
「うん…TからのK」
二回訊いても、彼女の答えは変わらなかった。つまり、聞き間違いでもなければ冗談でもないということだ。
俺の淡い期待は水泡に帰した。
だって!俺の名前は久米津雲だもん!『K.T』だもん!
それに対して彼女が言ったのは、『T.K』。
文字の順番が違うだけで、こんなにも景色が変わるのかと、呆れてしまうくらい落胆した。
はい、そうです。ご覧の通り俺はたった今失恋しました。
自分の顔が恥ずかしさと悲しみで歪んでいくのがわかる。あぁ、カッコ悪い。
それをなんとか誤魔化そうと、無理に表情筋を引き締め、また平然を装う。
……てか誰だよ、T.Kって!
同じクラスのやつか?
待て…そう言えば該当する男子が二人いる。
田中健太郎と鳥羽光一。
二人ともそんなに目立たず、どちらかと言えば控えめで教室内でも隅っこでひっそりとしているタイプの男子だが、そんなあいつらのうちのどちらかが永倉さんとイイカンジになっているというのか?
確かに記憶を辿れば、両者とも彼女と親しげに話していたのを何度か見た気もするが。
あー、くそ!いつの間に俺は越されたんだ!
そんなことを考えれば考えるほど、頭の奥がじんわり熱くなるような、悔しさとやり場のない寂しさといった感情が湧き上がってきた。けど、それを表に出したら負けだと思った
俺は精一杯の強がりを込めて、何でもない風を装うが、言葉が詰まってしまう。
「なぁ、ちなみにさ…そのT.Kくんのこと……その……どれくらい好きなんだ?」
「えー、そんなの言うわけないでしょ。てか、え?なになに?気になるの??」
「いやー、別に。ただ俺と同じ穴のムジナだと思ってたから、そういうのあるんだと思って一応訊いてみただけ」
「へぇー、訊いてみただけ ねぇ」
「あぁ…そうですけど?」
「ふーん……へぇー」
ニヤつきながら俺をじっと見つめる彼女に、俺は引き攣りつつも余裕ぶった笑みを見せる。もちろん内心はぜんぜん穏やかじゃない。そんな余裕のない俺に彼女はにじり寄り、いきいきと訊いてくる。
「てか久米くん、私、言ったよ?だから次は久米くんの番!ね、早く教えてよ!久米くんが好きな人のイ ニ シャ ルっ!」
……あ…ミスった。
こんな結末になるなら、せめて先に言っておくべきだった。
後悔に打ちひしがられながらも、毅然と平然を装うとする。
しかし目が泳いでしまう。
そんな俺の様子を逃すまいとまじまじと見つめてくる彼女。
拷問のようだ。
行き場のない彼女への気持ちが俺の思考回路をショートさせる。
「あー、えーと」
苦し紛れに本来言おうと用意していたイニシャルを抵抗の意味も込めて逆さにして言った。
「M.N…」
「へぇー…なんか惜しいね」
「惜しいとは?」
「逆だったら、私の可能性もあったのになぁって」
……は?
「あー、たしかに」
俺は心の中では突っ伏したいくらい混乱していた。
“私の可能性もあった”って、それを言いたいのはこっちだわ!
あーあ……俺と彼女の、この半年間の日々は一体なんだったんだろうか。休み時間も、通学も、当たり前のように一緒に過ごして、休日も何度も遊びに行った。思い出せば思い出すほど、俺たちの関係は「親友」なんて言葉じゃ片付けられないんじゃないかと思ったりした。
なのに、そんな日々の中、彼女は俺以外別の誰か、つまりT.Kくんに想いを寄せて、それでもなお俺と今日までの高校3年生の大半の時間を過ごしてたっていうのか?と嘆いた。
しかしそう思った瞬間、自分の思考がひどく浅ましいものに感じられた。
……いかんいかん。
そもそもこんな俺が、学年一と言っても過言ではないくらい可愛い同級生と親友ポジになれた。それだけでもありがたいと思うべきなんだ。
それに、高校最後の年に可愛い彼女と、これほどまでにたくさんの濃い思い出を作れたことは、それはもう感謝すべきなんだとも思う。
そうだ。もう足掻くのはよそう。
ここらで気持ちにケリをつけるべきなんだ。
明日からは、親友として彼女の恋を応援するんだ。
そう、自分に言い聞かせた。
「じゃ、この話はこれで終わりにして」
「えー、つまんないー。てか色々気になるんですけどー」
「まぁいいじゃんか。おいおいってことで。あ、てかさ、俺が昨日勧めた回見たのかよ?そっちの感想訊く方が、俺的には最優先だったんだけど?」
「話変わりすぎ。まぁ見たけどさ。てかあの終わり方反則じゃない!」
「わかってんじゃん。さすが親友だ」
「あたぼーよ!…っていうかさ、久米くんがお気にのあのセリフ!録画して何回も見ちゃったんだけど!」
そんないつも通りの会話を交わしながら、俺たちはいつも通りに横並びで帰路についた。
失恋したはずなのに、不思議と彼女とのその時間は心地よくて、切なくて、そしてどこか愛おしかった。
そして――半年後。
3月1日、卒業式の日。
卒業証書が入った賞状筒を片手に、俺と永倉さんは並んで校門を出た。
結局あの日以降、彼女の口からT.Kくんのことについて語られることはなかった。当然T.Kくんが誰なのかもわからないままだ。
むしろT.Kくんって本当にいるのか?なんて思うこともある。
今だってそうだ。卒業式も終わったってのに、T.KくんのTの字すら永倉さんの口からは出てこないのだから。
あー、もういいよな、訊いても。
だって俺たちはもう卒業したんだし、これからは彼女も、そのT.Kくんと、仲良くやっていくんだろうし。だったらならせめて“どうなったのか”くらい、親友として訊く権利はあるはずだし。
それよか、なにも知らずにこのままバイバイなんて、放送時期未定の2期のアニメくらいモヤモヤする!
そんな自暴自棄にも似た心境で、俺は彼女に向き直る。
「んでさ、今期の春アニメの……」
相変わらず楽しげに語る彼女の声がどこか遠くに感じながら口を開いた。
「あのさ」
「ん?」
「半年前に言ってたT.Kくんとは、あれからどうなったの?」
「T.Kくん?」
「そう、T.K.くん」
「T.K……」
一瞬だけ、彼女の瞳が揺れたように見えた。
その後、まるで誤魔化すように“誰それ?”と言わんばかりにとぼけたような顔で首を傾げる永倉さん。
その仕草が、俺の目にはあまりにも“わざとらしく”映る。
(惚けんのかよ。でも今日という今日は明らかにしてやる。そのT.Kくんが誰なのか、この陽光の元に晒してやる)
と俺は内心で薄く笑いながら、何気ない風を装って、あえて明確に言葉にした。
「ほら、半年前。永倉さんが言ってた好きな人。イニシャル、T.Kくん」
「あー……」
永倉さんはふふっと小さく微笑んだ。
「T.Kくんね…進展ないよ?」
「へ?」
思わず声が裏返った。
進展がないって……それはつまり、何も起きてないってことか?
「じゃあ、もう諦めた的な感じ?」
俺の声には、ほんの僅かな願望が滲んでいた。
でも彼女は、即座に首を振った。
「諦めてはないよ」
思わず舌打ちが出そうになった。
諦めてないのかよ……
てかそれなら、なんで俺といるんだ?卒業式だぞ?告ってないなら、今しかチャンスないだろ?
まさか……俺、逆に気遣われてる?
そう仮説を立てた瞬間、俺はようやく本当の意味で“諦め”がついた気がした。
そもそもT.Kくんという俺以外の名前が提示されたあの日の時点で俺の彼女に対する恋は終わってんだった。
なのに俺はバカなことばかり考えて…
だったら、せめて最後くらい親友ポジでいさせてくれた彼女が後悔しないように、背中を押してやろうと心に決めた。半年前の俺みたくならないように。
生唾を飲み込み、俺は言葉を口にする。
「なら、そのT.Kくんに、今すぐ気持ちを伝えに行かなきゃじゃないのか?じゃないと俺とこうやって卒業式の日にいたことを…きっと後悔するぞ」
その言葉に、彼女は顔をしかめる。
「何言ってんの」
不満げな表情で、視線を外す永倉さんに小心な俺は怯んでしまう。
……まぁ、そうだよな。俺なんかが、口を出すべき話じゃないよな。
ごめん、余計なお世話だった。
「あ、いや、なんて言うか…その…差し出がましかったな…ごめん」
辿々しく言葉を残し、俺は情け無く、そしてカッコ悪いくらいに俯き、口を閉ざし、彼女の隣をトボトボと歩き始める。
そんな俺の横で彼女は突然、足を止める。
「……?」
俺が振り返ると、彼女は少し拗ねたように目線を落とし、頬をぷくっと膨らませていた。
「ばーか」
「あ、いや、だからごめんって」
「久米くん、わかってないよね。ほんとばか」
「わかってるよ!だからこそ、俺は永倉さんに後悔してほしくないから言ってるだけでさ。てかバカって言うなよ」
「じゃあ鈍感」
「じゃあって……てかさ、言っちゃいけないことだったとしても、言わなきゃ気づいてもらえないことってあるだろ?」
俺がそう言うと、ムスッとした顔をしたまま彼女は俯き、小さく呟いた。
「そう…わかった。じゃあ言うよ。そのT.Kくんに。今から気持ち伝えるから」
「……あぁ。絶対その方がいい」
そう言って、俺はもう彼女の顔を見ないようにして前を向き、歩き出した。
バイバイ、俺の青春。俺の恋。
心の中でそう呟いて、足を一歩踏み出した。
その時だった。
後ろから、彼女の声が届いた。
「大好き……この先も一緒に居たい…」
え?
……え?!
俺はその場に立ち止まった。
耳がおかしくなったのかと思った。聞き間違いかと思った。
「え?」
俺は反射的に声を返していた。
永倉さんはぎゅっと拳を握りしめ、真っ赤な頬で俺を上目遣いに見つめている。
……なんだこれ。俺が……告白されてる?いや、まさか。
もしかして、揶揄われているのか? でもそんなふうには思えない。なのに、俺の思考はまだついていけてなくて、“その好き”はT.Kくんに向けてのものだと決めつけていた。
「それ、俺じゃなくてT.Kくんに言いなさいよ。俺に言っても仕方なく…」
「言ってる。私、今T.Kくんに言ってる」
「今?」
永倉さんの言葉の意味が未だに理解できなくて、思わず周囲を見回す。卒業式の日にしては静かな通学路。俺たち以外に人はいない。春の風が、まるでドラマの演出みたいに優しく吹いていた。
「女の子に告白させといて、まだわからないとか…」
永倉さんは少し不満げに頬を膨らませる。そんな彼女に俺は戸惑いながら、恐る恐る自分を指差した。
「ひょっとしてだけどさ……T.Kくんって、俺?」
「そうですけど」
彼女はそのまま頬を膨らませたまま、でも確かにそう言った。
俺はついにフリーズした。
脳がクラッシュして、何も考えられなくなった。そんな間抜け面の俺を見て、永倉さんはクスクスと笑い出した。
「あーあ、やっぱり気づいてなかったんだねぇ。ほんと久米くんは鈍感でバカだなぁ」
「だ、だからバカって言うなよ!まぁ百歩譲って鈍感は認めるけど…てかだいたい俺はT.Kじゃなくて、K.Tだし!」
「えーだって、英語圏だと“ツグモ・クメ”でT.Kじゃん。イニシャルってだけしか訊かれてないから、そう答えただけじゃん?」
「え…えぇぇ…」
「そもそも私、男子でこんなにも仲良いの久米くんだけだし」
「そりゃそうかもだけど」
ついにショートした俺の思考回路から火花が散り、煙が立ち始めた。
やばい。顔がめちゃくちゃ熱い。言葉を返す余裕すらない。
そんな俺を彼女は畳み掛けるようにニヤっと笑って顔を覗き込んできた。
「あのさ、久米くん」
「な…なんだよ」
「私もさ、久米くんが言ってた“M.N”って、誰なのか知りたいんだけど」
……こ、こいつ……!絶対気づいてやがる。
やばい。恥ずい。超恥ずい。
このニヤけ方から察するに、あの時わざとイニシャルを逆さにしたのもバレてるし、嫉妬してたのもバレてる。
あーダメだ。返す言葉が見つからない。
俺の思考回路は既にダウンして、機能しておらず、言い訳すら思い浮かばなかった。もう逃げられないと観念した俺は、白旗を挙げて、正直に白状することにした。
でも、悔しかったから、気持ちばかりに最後の抵抗として小さく、ボソッと呟いてやった。
「……まい。ながくら」
「え?聞こえなーい」
嘘つけ!!絶対聞こえてるくせに!めちゃくちゃニヤついてんじゃん!
……くそっ、悔しい!
よし、こうなったら自爆してやる。道連れだ。せめて同じ気持ちを味わらせてやる。そう企んだ俺は彼女の前で大きくすうぅぅぅぅっと息を吸い込んだ。
「ちょ…どうした?」
戸惑う彼女を他所に俺は天に向かって顔を上げる。空は雲ひとつない快晴だった。そして勢いよく言葉を、本音を吐き出した。
「ながくら! まい!!おまえがぁ!! 大好きだあぁぁぁぁ!!! 付き合ってくださあぁぁぁぁぁい!!!」
叫んだあと、俺は自分でも引くぐらいニヤけていた。
もう怖いものなんてなかった。恥ずかしいとか、情けないとか、そういうのは全部吹き飛んでいってしまった。
そんな解放感からか、少し気持ちに余裕ができた。
そしてニヤつきながら、息を切らせながらも永倉さんを見る。彼女は目を大きく見開き、みるみるうちに顔を真っ赤に染め、両手で顔を覆い隠す。
どうやら最後の悪足掻きは成功したようだ。
指の隙間から彼女の瞳がうるうると震わせているのが見えた。
「ば、ばか!やっぱりばか」
「へへへ。半年も勘違いさせるからだ、バカ」
「く…久米くんの癖にぃ……」
「永倉さんよ、誤算だったな。俺は鈍感でバカだからな。こういうことだって平気でやってのけるんだよ」
心臓をバクバクと言わせながらも強がりドヤる俺を見るやいなや、彼女は顔から手を離し、悔しそうに唇を噛み締めながら、拳を力強く握りしめる。
「そう…そういうことなのね」
「……あぁ、そういうことだ」
彼女はふっと口元を緩めて言った。
「じゃあ、鈍感でバカな久米くんに、1つ気づかせてあげる」
「なにを?」
「私たちって、めちゃくちゃ似てるんだよ」
「知ってるよ、そんなこと」
彼女は意地悪にニヤっと笑みを浮かべると俺と同じように、すうぅぅぅぅっと息を吸い込む。
え、え?
「お、おい後ろから人来てるって」
俺たちと同じ学年の数人の男女のグループが彼女の後ろからこちらに向かって歩いてきているのが見えた。
一人焦る俺を無視して彼女もこの晴れ渡る空に向かって思いの丈をぶつけた。
「私だってぇぇ!! くめ!! つぐも!! 君のことが!! だいだいだい……大好きでぇぇぇぇぇす!! こちらこそ、よろしくお願いしまあぁぁぁぁす!!!」
永倉さんの叫びが、澄み渡った空に響いた。
鳥が驚いたように飛び立ち、風がふたりの間を心地よく通り抜けていった。
後ろから来た数名の男女のグループがこちらを見て、やはりクスクスと笑っているのが見えた。
俺は咄嗟に彼女の手を取り走り出す。
でも、なんだかこの状況が楽しくてたまらなくて、笑いが込み上げてきた。
走りながら笑う俺に、彼女もまた笑う。
「もー!なんで笑ってんのさ!ひどーい」
「いやいや、永倉さんの全力の告白がだいぶヤバかったから!」
「久米くんが変な告白するから合わせただけでしょ!」
「想定外すぎるんだよ!」
「そっちこそ!」
そんなことを言い合いながら、二人とも、馬鹿みたいに声をあげて、ただ笑いながら、春の光の中を駆けてゆく。
「なあ、これからどうする?」
「とりあえず、スタバで今度行こうねって言ってた聖地巡礼ツアーの打ち合わせ?あ、それとも今からアニメイト行って癒される?ね、久米くんはどちらがご所望?」
「なぁ……変わんねぇな、俺たち」
「まぁね。てか、それがいいんじゃない。私たちらしくて」
「……まぁ、そうだな」
「それとも…さ……大人の階段…のぼっちゃう?」
「それは……おいおい。心の準備ができていない…」
「心の準備ねぇ…ま、久米くんが獣じゃなくてよかった」
「ま…まぁ…とりあえずだっ!俺たちの新たなる門出を祝して、アニメイトに繰り出そうじゃないか!」
「お、さすが私の彼氏くん!わかってんじゃん」
そんな会話をしながら、俺たちはゆっくりとお互いの手を絡め合い、笑い合いながら歩く。
その足取りは、確かに“恋人”としての第一歩だった。
きっと“親友ポジ”で終わるんだろうなと思っていた俺の片想いは、結局は、“彼氏ポジ”という新たな物語の始まりだったのだ。
……なんだ、案外悪くないオチじゃん。
そんなふうに思い、ふとまた笑みが溢れる春の午後であった。
まだまだ未熟者で勉強中ですので、おかしい点や不明な点、また誤植、誤字、脱字があればぜひ教えてください!
あ、友達のように気軽に教えてくださいね!
もし仮に、上記に当てはまらず、純粋に良かったと思っていただいた場合はお星様★★★★★をお願いします。
めっちゃ喜びます(๑˃̵ᴗ˂̵)