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ガスと竹とんぼの準備

 見張りを始めて、暫くたつが、とても静かだった。遠くの方ではまだ樹が燃え残っているのか、煙がまだあがっている。はっきり言うと、とても暇だ。まあ、皆寝てしまったから、やることがなくて何方にしても暇を持て余していただろう。

 遠くの方が明るくなってくると、時折魔物と思われる鳴き声が聞こえてきた。人間の進行が止んだので戻ってきているのだろう。鳴き声の方に視線を向けて目を凝らしてみると、ちらほらと魔物が見える。所々で縄張り争いも起きているが、こんな非常時でも魔物達には関係ないみたいだ。どうやら、少しずつだか、前の日常を取り戻しつつあるようだ。

 日が昇って来て段々と辺りが明るくなってくると、「ソラー、いる~?」とリンの呼ぶ声が聞こえてきた。俺は見張りを終えて、家に戻ると、リン達が未精霊達を見ながらまだ眠たそうな顔をしていた。


「未精霊達がうるさくて起きちゃったわ。どうにかしてくれる?」


 未精霊達は「パパー、いつまで待ってればいいの~?」と繰り返し呼んでいた。そういえばあとで相手をしてあげるから、待っててと命令していた気がする。頭をボリボリ掻いて、どうしようか悩んだ挙句、餌の水やりと少し遊んであげることにした。


「ラピス、悪いけど、このくらいの大きさの木のボールを作ってくれないか?」


 俺が未精霊達に水を上げている間に、手のひらサイズの大きさのボールをラピスは作ってくれた。


「はい、出来たわよ。こんなの何に使うのよ?」


 俺は未精霊達を手の上に乗せた後、木のボールも掴んで、順番に投げてお手玉をする。左右に交差させたり、一方の方向に順番に投げてやると、「わぁぁぁあああ、楽しぃぃぃ~」と喜んでくれた。


「ソラ。何それ? そんな遊び方もあるのね。私にもやらしてやらして!」


「お手玉っていう遊びだよ。昔からある遊びで、手に持てるサイズならなんでもいいんだ。丸いボールがやりやすいから、今回はボールにしてもらったけどね」


 さっそく、リンが食いついてきた。リンは未精霊達に避けられているので、自分で木のボールを作っては、見よう見まねでお手玉を始めた。体を動かすのが得意なせいか直ぐできた。三つじゃ物足りないらしく。四つ五つ六つなど徐々に数を増やしてはお手玉をしていく。リンの身体能力ならジャングラーとしてもやっていけそうだ。

 マシロには刺さらなかったらしく、朝食の仕度を始めている。レイは興味を持ったらしく、ラピスにボールを作ってもらってお手玉を始めたが、時折ボールを落としている。動きが拙い…、レイはまだ生まれたばかりだし、体の動かし方はまだ不慣れみたいだ。

 一頻り遊んであげた後、未精霊達には「他の人の迷惑にならないように大人しくしててくれ。これは命令じゃなくてお願いだから」と念を押してから、木箱に戻してあげる。「分かった~」と返事をした後は、未精霊同士でじゃれ合い始めた。これで当分は大人しくなるだろう。

 そうこうしているうちに、朝食の仕度が終わったみたいだ。テーブルに朝食が並んでいる。リンとレイもお手玉をやめて、朝食を皆で取り始めた。俺も食べれればあの輪にも入れるのにな~と、羨ましいそうにその光景を眺める。

 朝食が終わると、リンはドワーフの村へ一人で行ってしまった。どうやら、ガイアスと一緒に森の見回りをするみたいだ。ラピスとレイは未妖精をクッションの様にして寛いでいる。自我が芽生えてきたおかげで仲良くなったようだ。先ほどお手玉をしたところ、水の未精霊はスライム、土の未精霊は粘土みたいな感触だった。ひんやりして気持ちよさそうだ。あんなのに包まれたら至福の時だろう。マシロは黙々と食器の後片付けをしている。そんな様子を眺めていると、床からトントンと音がして、ピナコがひょっこりと顔を出してきた。


「ふぇ~、ソラ~。まだ途中だけど、これで試してみて~」


 ピナコが持ってきたのは小樽に入ったお酒だ。まだ醗酵の途中のようだが、度数の高いお酒が出来たみたいだ。俺はその小樽を手に取り、お酒を覗いてみる。ワインの様に赤い色をしている。匂いを嗅いだりしてみるが嗅覚がないので全く分からない。そういえば、お酒からガスを取る方法が分からない。気化させればいいから放置すればいいのか? いや、それだと時間がかかり過ぎるな。そういえば料理をする時にアルコールを火で飛ばしているのを見たことがあるな。沸騰させればガスが取れるかな? 色々と試行錯誤するしかないか。


「有難う、ピナコ。これで色々試してみるよ。マシロ、革袋とかあったりしないか? 紐で口を縛れるやつがあるといいんだけど」


 「ちょっと待ってね」とマシロが、ゴソゴソと荷物を漁りだした。そして水筒として使っている革袋を持ってきてくれた。


「有難う、ちょっと借りるね。火を使うから畑に行ってくる。何かあったら呼んでくれ」


 マシロとピナコに礼を述べた後、家を出て畑に向かった。外のキッチンにある鍋を手に取り、竈に火をつける。次に鍋を吊るしてそこにお酒を流し込み、ぐつぐつと沸騰させていく。そして沸騰する前に革袋を逆さにして、気化したガスが回収出来ないか試してみる。

 …少し浮いている感覚がするが、良くわからない。鍋の口が大きいせいか、あまり上手く回収できていないみたいだ。…う~ん、理科の実験で使ったロートみたいな器具が必要かな。ラピスに頼んでみるか…。俺は一旦、竈の火を消した後、家に戻ることにした。

 家に戻ると、マシロが未精霊達を使ってお手玉をしていた…。どうやら興味はあったようだが、リンがやっていた手前、参加するのを控えていたみたいだ。俺が帰ってきても構わず続けている。俺はそれを微笑ましく見た後、ラピスに口では説明しづらいので思考を読んでもらい、ロートの様な器具を木で作ってもらった。マシロとレイがお手玉にはまっている様なので邪魔をしない様に、畑に戻ることにした。


 畑に戻り、竈で先ほどの要領でガスが回収出来ないか試してみる。そして鍋の上にロートを蓋の様に設置し、先っぽに革袋の口に差し込む。これで上手くガスが回収出来たらいいな。

ドンドンとお酒を沸騰させていくと、革袋がパンパンに膨れ上がってきた。そして、風船のように浮き始めた。それを確認した後、革袋の口を紐で縛っていく。すると革袋は風船のように浮き上がり、紐を持っているので見た目は完全に風船となっていた。上手くガスの回収出来た! これならガイアス達にも説明しやすいだろう。あとは竹トンボか、これはラピスに思考を読んでもらえばすぐに出来そうだな。戻ったら早速頼んでみよう。

 俺は後片付けをして、家に戻ると、マシロが八つのボールでお手玉をしていた…。どうやら、かなりはまったらしい。ラピスとレイは「おぉー」と感心しながら、パチパチと手を叩いて拍手をしている。マシロが俺に気づくと、お手玉をやめて少し照れくさいのか頬が紅色に染まっていく。


「ソラ。帰って来てたんだ。もう少しで昼食だから、私、畑に行って食材取ってくるね」


 パタパタと足早に家を出て畑に向かっていく。俺は途中で一回帰ってきたはずなのだが、そのときは気づいていなかったみたいだ。余程熱中していたらしい。そんなことはさておき、ラピスに頼んで、竹とんぼを木で作ってもらう。試しに、竹とんぼを回してみると、綺麗に飛んだ後、ゆっくりと降下していくところをキャッチする。これで明日の説明に必要なものは揃った。


「明日必要なものは揃ったみたいね。でも竹とんぼは多く作っておいた方がいいかもよ。リンとマシロに見せてないでしょ? あの二人もやってみたいと思うわよ?」


 ラピスは多めに竹とんぼを追加で作ってくれた。すると、リンとマシロが一緒に家に帰ってきた。どうやらリンが見張りを終えて帰ってきた際に外で合流したみたいだ。そして竹とんぼを披露してあげると、皆で昼食前に竹とんぼ祭りが始まった。

試行錯誤の末、ガスの回収と竹とんぼが出来ました。そして皆お手玉に夢中。

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