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戦闘開始

 俺達は空地となった場所で、林の手前にドワーフ達に先頭に立ってもらう。リンを守る役目と同時に岩を投擲して敵の足止めをしてもらうためだ。林には指示を出す俺と樹々を移動させるトレントを配置する。投擲が苦手だった5体が林の中で擬態して待機してもらう。そして攻撃の要となる投擲部隊のトレント達は林の奥で待機だ。足止めが成功したら、敵に目掛けてガンガン岩を投げてもらう。

 リンとガイアスは既に人間達を誘き寄せる為、おとり役として既に行動してもらっている。最初に会敵したときに二人で行っていたので、今回も二人に行ってもらった。正面の森からは少しずつだが、森を破壊する音や土煙が近づいてきている。もう目と鼻の先だ。どうやら、リンとガイアスは上手く敵を誘導出来ているみたいだ。


「戦闘準備! リンとガイアスがもうすぐ戻ってくるぞ。気を引き締めて行こう!」


「うぉおおおおおお」


 ドワーフ達が気合を入れる為か、一斉に雄たけびをあげた。すると、リンとガイアスが森の中から戻ってきた。後ろからはわらわらと蠍型の兵器が追ってきている。

 どうやら、こちらが待ち構えているのが見えたのか、蠍の動きが止まった。その隙にリンとガイアスは先頭にいるドワーフ達と合流する。蠍達の一番後ろに一回り大きな蠍がいる。そして角がピカピカと光って点滅しているのが見える。魔力感知で魔力を使った光だと分かった。恐らく、あの蠍の中に指揮官がいて、モールス信号や光通信みたいなので指示を出しているみたいだ。

 しばらくすると、蠍達は前衛に10機、中衛に10機、後衛に5機と陣形を取り始めた。全部で25機いて、大きな蠍は後衛の真ん中に陣取っている。時折ピカピカと光っているので指示を出しているのが分かりやすい。様子見のためか、前衛の10機だけが前進してきた。

 俺はドワーフ達に林の前で、リンを中心に半月状になって待ち構えてもらう。すると、蠍達もそれを囲む様に半月状に陣形を取り出した。これで左翼と右翼に分けられる。蠍達は尻尾から時折火を吐きながら、じりじりとドワーフ達に詰め寄ってくる。火の範囲はぱっと見20~30mと言ったところか。蠍とドワーフ達の距離はまだ100mほどある。行動を起こすならもう少し距離が縮まってからだなと思っていると、ガイアスが鎚を振りかざしながら歌いだした。


「俺たち、英雄ゴウルの子。戦いに赴く、我らに勇気を。鎚を振るい、鍛えた体で。敵を屠り、未来を切り開け」


鎚を盾にぶつけたり、足踏みしてリズム良く歌っている。リンとドワーフ達もガイアスに続いて武器を盾にぶつけたり、足踏みしてリズム良く歌っていく。どうやら戦闘前に鼓舞するための歌のようだ。リンも知っているところを見ると、以前に教わっていたらしい。リンは生まれてくる種族を間違えたのかも知れない…。


「我に続いて、前進せよ。仲間と共に、勝利を掴め。我らの作る道が、後世の道しるべ。未来のために戦え、英雄ゴウルの名のもとに」


「英雄ゴウルの名のもとに」と一斉に揃うと、ガイアスを中心に魔力の波動が広がっていった。魔力の波動に触れた人達の纏っている魔力が上がっていくのが見える。どうやらあの歌にはバフの効果もあるみたいだ。俺のところまで届いていないのは残念だが、ドワーフ達全員には届いているみたいだ。

 歌が終わる頃には蠍との距離が40mを切るところだった。相手の攻撃が届かない位置ならこのくらいか。俺は「投擲準備!左翼から!」と大きな声で叫ぶと、ドワーフ達は一斉に持っている武器と盾を置いて、茂みからロープのついた岩を取り出した。そしてハンマー投げの要領で左翼にいる蠍に向かって岩を投げていく。左翼にいる4機中、2機は反応が遅かったため、コクピットに直撃し、ガラスを貫通した。直後、グシャっという音と共に、コクピットのガラスやコクピット内が真っ赤に染まっていく。そしてズシンツと2機は倒れ、沈黙した。

 残りの2機は鋏でのガードが間に合ったため、コクピットを壊すことは出来なかったが、移動するための足にヒットすると、ボキンッというと音がして体制を崩した。やはり、移動するための足は耐久率が低かったみたいだ。俺は林のトレントに合図を出して林の樹々を避けさせる。樹が左右に避けていく。

 ここから先は投擲部隊の出番だ。動けなくなった2機に向かってトレント達が円盤投げの要領で岩を投げていく。動けなくなった蠍に岩がぶつかると、ドガァアアアンと大きな音を立てながら蠍が岩に押し潰されていた。


「こちらの攻撃が効いているぞ! 他の敵も驚いて動きが鈍くなっている。畳みかけろ~!」


 思わぬ反撃を受けた蠍達は動きが鈍くなり、トレント達の円盤投げの餌食となった。前衛にいた10機は瞬く間に全滅した。コクピットが無事だった蠍からは人間達が這い出てくるのが見える。トレントの一部は怒りが収まらないようで、這い出てきた人間達を執拗に追い掛け回して踏みつぶしたり、掴んでは地面に向かって投げつけていた。俺はその光景に吐き気に似た気持ちが込み上げてきたが、この体では吐けないので、必死に込み上げてきた気持ちを我慢することにした。

 残った蠍の中衛10機が尻尾から火を吐きながらこちらに向かってくる。そして後衛にいた5機は反転し、この場から逃げようとしていた。俺はどう対処しようか悩んでいたところ、投擲部隊のトレント達が投げた岩を拾いながら円盤投げを繰り返して進んでいく。余程頭に来ているらしい。中衛の敵はトレントに任せても大丈夫そうだ。だが俺はあの指揮官が乗っているであろう蠍を逃がしたくはなかった。

 俺の体は以前より、体が大きくなっているため、魔法の威力が跳ね上がっていた。俺はガイアスに50cmくらいの岩を用意してもらい、以前作った魔法、エアバレットの弾として岩を装填し、空気をドンドン圧縮していく。そしてもう圧縮出来ないところまで圧縮したところで、エアバレットを大きな蠍に向かって放った。バァアアアアアアンと大きな音を立てながら岩の弾は大きな蠍に向かって飛んでいく。丁度尻尾のところに当たり、大きな蠍は崩れ落ちていく。

 しかし、遠くから目を凝らしてみると、中の人間は無事みたいだった。大きな蠍を乗り捨て、他の蠍に乗り込み逃げてしまった。あの指揮官こそ倒しておきたかったが、深追いすると、こちらの攻撃オプションがなくなる。俺はガッカリしたい気持ちを堪えながら、辺りを見回して、戦況を確かめる。中衛の10機もトレント達の円盤投げで全滅していた。外しても、拾っては投げ、拾っては投げの繰り返しで逃げようがなかったみたいだ。


「うぉおおおおおおお、勝鬨を上げろ~。英雄ゴウルの名のもとに~」

 「英雄ゴウルの名のもとに~」とドワーフ達が勝鬨を上げていた。リンとガイアスが勝ち誇った顔でこちらに近付いて来る。


「ガッハッハッハ、ワシの目に狂いはなかったな。お主の作戦が決まって、こちらは無傷だ。よくやった。そしてすまなかった。お主が人間だったと聞いたときは疑ってしまって…」


「人間が攻めて来てるんだから、疑うのは仕方ないよ。そこは理解している。それよりも蠍の残骸を調べたい。ドワーフ達に任せてもいいかな?」


「はいは~い、私も見た~い。ねぇ、良いでしょ~?」


 リンは目をキラキラさせながら、俺の様子を伺ってきた。俺は苦笑いしながらガイアスに視線を向けると、「ガッハッハッハ、もちろんいいとも、ただし見るだけだ。触ったりはするなよ」と了承してくれた。


「やった~。ガイアス。好き~愛してる~♪」


 リンはガイアスのほっぺにキスをした後、蠍を調べるドワーフ達と一緒に蠍を調べに行った。ガイアスは少し照れてるみたいで顔が少し赤くなっている。


「トレント達もお疲れ様。あなた達がいなければ、死傷者が出ていたでしょう。人間達がまた攻めてきても対処出来るように、岩を色々なところに準備した方が良さそうですね」


「あぁ。ワシらがここまで戦えるとは思わなんだ。有難う。いずれ、其方にお礼がしたい。だが今は皆疲弊している。少し休ませてもらおうか」


「ならば、ワシの村まで一緒にくるといい。今夜は宴だ! 旨いものや酒を用意しよう。トレントもお酒はいける口だろう?」


「少しだけならばな…。酒より水を多めに頼む」


 戦闘が終わって、気が抜けたのか、精神的に疲れた気がする。でも今は疲れている場合じゃない。俺はドワーフとトレント達と一緒に勝利した喜びを分かち合うことにした。

皆の協力を経て人間達を撃退しました。ソラの魔法が大砲並みの威力になりました。祝勝ムードでなければドン引きされていると思います。

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