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戦闘準備

 俺はガイアス達とドワーフの村へ戻った後、作戦会議を開いてもらった。そしてガイアスに提案したことをお願いする。

 まず、防衛ラインを作ることを提案した。そして防衛ラインを作る付近一帯を空地にしてほしいと戦闘に参加しないトレントやピクシー達にお願いする。空地にすることで敵を迎え撃ちやすくするのもあるが、一番の理由は岩を投げる際に森の樹々が邪魔になって当てにくいからだ。トレントやピクシー達は快く受け入れてくれる。

 次に空地の真ん中に横一列に林を作って欲しいとお願いする。こうすることでこっちは空地で岩の準備やら投擲を行おうとしていることが相手に分かりにくくすることが出来る。茂みがあればそこに岩のハンマー投げも隠しておけるしね。

 問題はその空地に敵を誘い込めるかどうかだ。俺はその役目をドワーフ達にお願いする。敵から見える様に逃げてもらい、空地に誘い出せないか試してみたいのだ。相手の目的が何か分からない為、色々と試してみる必要がある。


「はいは~い、私もそれやりた~い!」


 リンがやる気みたいだが、ドワーフの中にエルフが混ざっているのは何か不自然に受け止められないだろうか…。でもこのリンの様子だと、絶対やるな…。しかたなく、誘い込む人員にリンも入れておく。

 俺が次々に提案をしているとガイアスは俺の案に納得したみたいで、「ソラ、お主が指示を出せ。ワシらはその通りに動いてやろう」と言うと、他のドワーフやトレント達からも同様の声が上がっていく。


「俺は提案するだけで、そんな責任のあること出来ないよ! ここはガイアスがやるべきじゃないのか?」


 俺はブンブンと頭を左右に振り、全力で拒否するが、ガイアスは見逃してくれなかった。


「ガッハッハッハ、提案している時点で責任など発生している。それに結果がどうなろうと、ワシらが決めたことだ。お主に責任を擦り付けるものなどおるまいよ」


 ガイアス達は皆頷いてくれている。俺は少し肩の荷が下りた感じがした。プレッシャーをあまり感じないのだ。俺は気を取り直して、話を続けることにした。


「それで、誘い出すのが成功した場合、敵のおとり役としてドワーフ達に先頭に立ってもらいたい。理由としては、敵に油断してもらいたいからだ。体の大きいトレントが前にいると警戒されてしまうと思うんだ。そして出来るだけ敵を引きつけた後、茂みに隠した岩でハンマー投げをしてもらい、人間が操縦しているコクピットを狙ってもらう。そのままコクピットを破壊できればそれで良し、出来なくても鋏でガードされるだろうから、相手の視界と動きは制限出来るはずだ。それが成功して相手の動きが止まったら、林の向かい側にいるトレント達が岩を投擲して相手を仕留めにかかる。これが一連の流れだけど、何か質問はある?」


 辺りを見回すと、マシロが申し訳なさそうに手を上げた。


「ソラ。敵の居場所はトレント達にどう伝えるの? それだとドワーフの人達にも当たるんじゃない?」


「投擲するタイミングの時に林の樹々を倒すか避けさせればいけると思うよ。ここには樹魔法を使える人達が結構いるみたいだし」


 俺は辺りを見回しながら話すと、樹を倒す案はトレントやピクシー達にめちゃくちゃ反対された。話し合いの結果、林の中に紛れ込んだトレントが樹を避ける様に樹魔法を使うこととなった。


「じゃあ、体力に自信のある人は偵察部隊として今から先行してもらおうか。なるべく早い方がこちらも動きやすいからね。その間に投擲部隊は投擲の練習だね。ドワーフの人達はハンマー投げで、トレント達は円盤投げの練習をしようか」


「はいは~い、私が絶対いく~。いいでしょ。ソラ?」


「ガイアスも行くならいいよ。でないとリンを止めれる人がいなくて不安になる」


 俺は額に手を当てて分かりやすいように深い溜息を吐く。


「ガッハッハッハ、ワシもまだ若いものには負けん! ワシも一緒に行こう。リン、遅れるなよ。さあ、行くぞ!」


 ガイアスはいきなり走り出し、森の中へ消えていってしまった。リンも大急ぎで後を追っている。ガイアスにリンを任せたのは間違いだった気がする。俺は少し後悔した…。

 偵察部隊を見送った後、戦闘に参加するドワーフの人達にはリンに教えた要領でハンマー投げを教えていく。トレント達は頭の上に手を回せない為、円盤投げの方がいいだろう。俺は岩を持ったあと、手を伸ばした状態でクルクルと回り、勢いが最もついたタイミングで岩を放り投げて円盤投げを披露する。トレント達はそれを見よう見まねで行い、円盤投げの練習をしていく。直ぐに出来るトレントもいれば、中々上手くいかないトレントもいる。出来ないトレントは林担当かな? 

 それぞれに担当を割り振っていると、戦闘に参加しないドワーフの人達が何をすればいいのか押しかけてきた。


「え~と、あなた方にはドワーフの村で留守番を頼みたい。万が一、逃げることになった場合は荷造りも必要だろう? そちらを頼めかな」


 やることが出来たドワーフ達は嬉々として荷造りをしに、各々の家に帰っていく。やることがないと不安になるから、体を動かしている分には大丈夫だろう。終わった場合の仕事も考えておかなきゃな。腹が減っては戦は出来ぬって言うし、終わったら料理を作ってもらうか。

 そう思っていると、肩をトントンと叩かれた。振り向くと不安そうな顔をしたマシロだった。あー、忘れてた! マシロになんの指示も出していなかった。俺はマシロに皆の料理を作って欲しいとお願いする。マシロはニコッと笑った後、酒場に向かって移動し始めた。ラピスとレイもマシロについていく。

 これでほとんどの人達には指示し終えたかな? 俺は偵察部隊が戻ってくるまで、ドワーフ達のハンマー投げとトレント達の円盤投げを練習を見守っていた。


 「もどったぞぉぉぉおおおおおお」とガイアスが叫んでいるのが聞こえる。どうやら偵察部隊が戻ってきたらしい。俺は直ぐに声のする方へ駆け寄った。すると、ガイアスは無傷だったが、リンは所々服が焼けて、髪の毛も縮れている。無茶をしてきたらしい。俺が叱ろうとすると、ガイアスに止められた。


「ソラ。これはリンが無茶したわけではない。奴等なぜか、執拗にリンを追い掛け回してきたのだ。どうやら奴等の目的はエルフみたいだ。ワシなど相手にもされなかったぞ」


 どうやら、人間達の目的はエルフだったみたいだ。なぜエルフが必要なのか分からないが、リンがおとり役をやれば、相手を誘導することが出来そうだ。


「リン。危ないとは思うけど、おとり役をやってくれるか? そうすれば、人間達を待ち構えることが出来そうなんだ」


「もちろんよ、あんな奴等やっつけてやるんだから~! この服気に入ってたのに~、も~~~」


 リン、気にするとこそこじゃないんだけどな…。自分の命を気にしなさいよと心の中で思ったが、口には出さなかった。出しても意味がなさそうだったからだ。

 相手の目的も分かったし、一応エルフの里にも連絡を入れないとな。俺はリンにお願いすると、手と足をバタバタと振りながら「嫌だ嫌だ嫌だ、絶対に嫌!」と全力で拒否られてしまった。それくらいエルフの里には行きたくないらしい。それを見かねたガイアスが、「足の速い若者にお願いしておく、リンはいかなくていい」と先ぶれを出してくれることになった。

 俺はガイアスとリンに戦闘に参加する人達はご飯と休憩を取るようにお願いしておく。そして戦闘に参加しないトレントやピクシー達には防衛ラインを築く一帯の樹々を移動させてもらい、空地になるようお願いする。準備が出来次第、人間達を迎え撃つ!

人間達の目的はエルフでした。リンはお気に入りの服がダメになってプンプンと怒っています。命大事にしてほしい。

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