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お湯の活用法

 リンは依然として簀巻きのまま放置されていた。眠り魔法をかけられているとはいえ、よくこの状態で寝続けられるな。マシロの方へ視線を向けると、トントントンと包丁で野菜を切っている。夕食の準備をしているのだろう。俺は出来る男になるため、マヨネーズ造りに勤しむことにした。マヨネーズはあっさりと出来た。もう手慣れた作業だ。マシロにマヨネーズを渡すと、「ありがとう」と褒めてくれた。フフフフフフ、これで少しずつ出来る男としてマシロに思われたらいいな。

 俺はふと辺りを見回した。ラピスを見かけない。マシロに「ラピスはどこにいったの?」と尋ねると、「あ~、洗剤もって地下に行ったよ。ピナコと一緒に掃除してると思うよ」と返事をくれた。


「ラピスって、面倒見がいいんだな。ホントお母さんみたいだ」


「クスクス、そうだね。私、お母さんのこと覚えてないから知らないけど、ラピスがお母さんで、リンお姉ちゃんは妹みたいな感じかな~って思ってるよ」


 おおぅ、リンお姉ちゃんと呼んではいるけど、内心は妹枠だったみたいだ。見た目以外お姉ちゃんの要素ないもんね。

 ギイィと床の扉が開く音がする。どうやらラピスが戻ってきたらしい。


「地下の掃除は終わったわよ。地下はジメジメしてて部屋全体がカビっぽいから掃除が大変だったわ」


 ラピスは肩が凝ったのか、腕を回して肩回りの筋肉を解していく。ふむ、筋肉を解すなら体温を上げた方が良かったはずだ。水浴びじゃあ、冷たいし、凝ると思うんだよね。


「水浴びの水って冷たいのか? 冷たいと体を強張らせるから、温かくした方が体を解せるよ。お風呂って知ってる?」


「お風呂? 聞いたことないわね。どういうものなの?」


「おっきな桶にお湯を張ったものって言うと分かりやすいかな? 体が温まって凄く気持ちがいいんだ。その分水は必要になるけどね」


「私とリンお姉ちゃんは難しいけど、ラピスが入るくらいなら全然出来そうね。ラピス、入ってみる?」


「え? いいの! 入ってみたいわ」


 俺はマシロに説明する。まずは桶に水を貯める。そして温めた石を桶の中に入れて少し待てば、すぐに完成した。ラピスが入るならこれで十分だからだ。


「マシロ、手を入れて熱くないか確認してみて。ちょっと熱いくらいがいい温度だと思うよ」


「うん、ちょっと熱い。ラピス、入ってみて」


 ラピスは恐る恐る、慎重に足だけを入れて念入りに確認をしている。「あ、いい温度かも」と確かめ終わったら、すぐに肩まで浸かり始めた。


「あぁ~、生き返る~。これってソラの元居た世界の文化よね? あたしにはいいけど、リンとマシロには難しそうね」


「水浴び用の水をお湯に替えるだけでも近い効果は得られると思うよ。今度から水浴びするときはお湯でやるといいんじゃないかな?」


「それ、いいね。次から、試してみるね!」


 ラピスは大満足。マシロは興味津々のようだ。そんな話をしていると、どこからともなく「私がやる!」とおっきな声が聞こえた。どうやらリンが目を覚ましたらしい。

 ピチピチと打ち上げられた魚の様にベッドの上で跳ねている。どうやらリンでも簀巻きの状態から抜け出せないようだ。


「しょうがないね、リンお姉ちゃんは全身が汗でビチョビチョだし、夕食までには綺麗にしてもらわないとね」


「やった~、マシロ大好き~」


 マシロはリンの簀巻きを解く前に、大きめの桶に先ほどの要領でお湯を作っていく。俺はそれを眺めていると、マシロはスンっとした顔になって「ソラは呼ぶまで外に出ててね」とマシロの時同様に家から追い出されてしまった。まあ、前世が男の俺に見られるのは恥ずかしいのだろう。リンは気にしなそうだが…。

 俺は飼育小屋を確認することにした。卵がもう5個増えて10個になってる!! そんなに産んで大丈夫なのか? 心なしか白い鳥の方は衰弱している様に見える。俺は畑から、適当に野菜を見繕い、鳥たちにあげてみる。すると、お腹が減っていたのかガツガツと物凄い勢いで食べ始めた。少しは落ち着いたのか怯える様子も和らいでる気がする。


「ソラー。終わったよ~」


 俺は卵を回収して家に戻ると、リンがこっちに向かって走ってきた。「うわぁ、卵がいっぱい。飼育するのも悪くないね」と顔を綻ばせている。


「だから言っただろ。飼育する方が効率が良いって、あと鳥たちに畑の野菜をあげておいた。餌は畑の野菜で十分みたいだ」


「ありがとう、ソラ。今度からは餌は私が野菜を取るついでにやっておくね。リンお姉ちゃんには任せられないし、ラピスだと大変そうだからね」


 そう言いながら、マシロは夕食をテーブルに並べていく。どうやら夕食が完成したみたいだ。今回は鳥肉のマヨネーズ焼きと野菜サラダに茸と野菜のスープみたいだ。これほどの量なら成長期のリンやマシロにも十分なはずだ。俺はマシロに向けて親指をグッと立ててみるが、「ソラ、それ何?」と言われてしまった。元居た世界の感覚でついやってしまった。こちらでは意味が違ったり、無いに違いない。俺は「よくやったの意味だよ」って言うと、マシロはニコニコとした笑みを浮かべてくれた。かわゆす。

 俺は皆が食事をしている間に、リンの汚れた服とベッドのシーツを洗うことにした。汗でベチョベチョしている。俺は洗濯物の時の要領で洗濯していく。洗濯が終わる頃にはリンとマシロは食事を終えていた。リンはお腹を出して、満足そうな顔をしている。はしたない。マシロは相変わらずキッチンで食器の片づけをしている。俺はマシロに洗濯物の水分を抜いてほしいとお願いすると、マシロは快く引き受けてくれた。

 俺は洗濯物を外に干しに行って、手を扇風機の様に変形させて乾かしていく。洗濯物が乾いたら丁寧に畳んで家に戻ると、リンはマシロのベッドを占領してみーにゃと一緒に寝息を立てていた。マシロも目をごしごし擦りながら、眠気眼で起きている。見た感じ物凄く眠そうだ。でもリンにマシロのベッドが占領されているせいで寝れないみたいだ。


「マシロ、洗濯物が乾いたから、今日はリンのベッドで寝たらどうだ?」


「うん。そうするね。ありがとう、ソラ」


 マシロに洗濯物を渡すと、手慣れた動きでベッドにシーツをかけたあと、直ぐにマシロは寝てしまった。余程眠かったらしい。俺は掛け布団をマシロにかけてあげる。

 そういえば、ラピスと話たいことがあった俺は、「ラピス、話しがあるから畑の脇にある椅子まで行かないか?」と誘った。ラピスは「いいわよ。今日は眠くないから付き合ってあげるわ」と快く了承してくれた。

 俺とラピスは家を出て、畑の脇にある椅子に座りこむ。

 

「話って何?」


「昨日の夜、フェリーゼが来たんだ。どうやら、人間たちが不穏な動きをしていて、何れ何処かに攻める可能性があるみたいだ。リンがいるときには話せなくてね、リンが知ったら色々大変なことになりそうだろ?」


「あー、それはそうね。で、ソラはどうしたいの?」


 ラピスは全力で肯定してくれた。ウンウンと頷いてくれる。


「俺はこの世界の人間たちを守る気は更々ないんだ。知り合いもいないしね。それで人間たちが攻めてくる場合に備えて色々準備しておきたいんだ。そこでラピスに魔法の使い方を教えてほしいんだ」


「そういえば、魔力探知は続けてるみたいだから、そろそろ魔法を教えてもいいかもね。昼間だとリンに邪魔されるだろうから、今から始めましょうか」


 俺とラピスは、魔力操作の訓練を行った空地へと移動することにした。俺は移動している最中に魔法が使える上手く使えるようになるんだと心の中でテンションがぐんぐんと上がっていくのを感じた。

追い出されて、エルフ少女たちの裸は拝めませんでした。

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