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ひとりぼっちの夜~

 ラピスと明日の予定を立てていたが、ラピスもお腹が一杯になって眠くなったのか、欠伸する回数が増えていく。

 ある程度の予定が立ったから、ラピスに「寝てもいいよ」と言ったら、「そうする~」とラピスはマシロのベッドに潜り込んで寝てしまった。羨ましい…。

 俺はやることがないので、妖精の蛹が付いている花と未精霊たちに水を上げた後、家の外に出た。

空を見上げると、衛星が光っているせいか、うっすらとした光が樹々から零れている。意外と明るい。暇だし、ここら辺を散歩でもしてみるか。

そう思っていると、不意に強大な魔力の波動を感じた。これは以前にも覚えがある。俺はその波動がする方向へ視線を向けると、そこにはフェリーゼがこちらに向かって飛んでくるところだった。


「また会いましたね。あなたを探していました」


「やぁ、フェリーゼ。何のようかな。こんな夜更けに。それになんで俺の居場所が分かったんだ?」


 フェリーゼは俺を探していたようだ。嫌な予感しかしない。


「そう警戒せずに、聞きなさい。あなたにも関係あることです」


 フェリーゼは淡々と説明をし始めた。フェリーゼの羽を吸収した俺は、フェリーゼの眷属みたいな存在になったらしい。なので、ある程度の距離が近付けば、どこにいるか方向が分かるみたいだ。とんだストーカーだ。俺のプライベートは守ってほしい。

 俺と会ったとき、実は人間が不振な動きをしているので、偵察をお願いされていたらしい。そして人間の住む地域を色々と偵察していたところ、フェリーゼが見つけた村は俺が最初に訪れた村と同様、謎の病が流行っていたそうだ。

 やはり、あの村だけじゃなかったのか。俺は話の続きを聞くことにした。

 そして、その国の首都と思われる町を見つけたのだが、魔素を吸収する何かがあるせいで近づけず、途方に暮れていたらしい。そこで人間だった俺の知恵を借りたいと探していたみたいだ。


「あなたの考えを聞かせてもらいますか? 参考にはなるでしょう」


 う~ん、聞いただけじゃ、まったく浮かばない。精霊同士なら、思考を送り合えるので、首都と思われる町がどんなのか見せてもらえるか聞いてみるか。


「その首都と思われる町を見せてくれないか? それを見てから考えてみるよ」


「いいでしょう。では右手を出しなさい」


 フェリーゼは俺の右手に翼を差し出し、触れてきた。首都と思われる風景が頭の中に流れてくる。

 首都と思われる町は、山の麓に広がっていた。山の崖は段々畑のようになっており、一番上には立派な大きな城が建っている。上に行くほど、立派な建物が並び、下に向かうほど扇状に広がって小さな館が点在している。

 山の反対側には、半月状の形をした城壁に囲まれた町があり、そこが城下町だろう。その城壁の内側には、さらに等間隔で配置された小さな城壁があり、城下町内でも区域分けがされているようだ。

 立派な建物は貴族や富裕層、城下町には平民が暮らしているに違いない。ざっと見たところ、俺が気になったのは中央にある堅牢そうな建物だった。たくさんの兵士たちがいるので軍事施設だろう。馬車を入れるには大きすぎる建物だ。


「真ん中にある大きい建物が気になるな。フェリーゼはどう感じた?」


「やはり、あなたも気になりましたか。そこには人間の兵士もたくさんいたので、何かあるとは思ったのですが、周りの城壁には魔素を吸収するものがあるみたいで近づけなかったのです」


 俺は、兵器目的としたら、どんなものが考えられるか話した。


「軍事利用なら城壁にある魔素を吸収する装置を搭載した兵器か、若しくは集めた魔素をエネルギーに変換して、強大な魔法を放つ殲滅級の兵器とかがあるような気がします。周りの町を見た限りでは恩恵はなさそうですから」


「そうですか。警戒するに越したことはありませんね。あなたも人間が攻めてくる可能性を考慮して生活するように。私は、これから方々に危険性があることを知らせにいかなければなりません」


 フェリーゼは話が終わると、羽をバサ~と広げて飛び去って行ってしまった。人間が攻めてくる可能性…か。事前準備は何が必要だろう? これはラピスと相談した方が良さそうだ。


「…行ったか。まさか上位の精霊が来るとはな。久々に上位精霊を見かけて、肝が冷えたわい」


 声がする方向へ視線を向けると、エンデが話かけてきた。どうやら、上位精霊が来たときに起きてしまったらしい。話に入れず、沈黙を保っていたのだろう。


「やぁ、エンデ。あれは風の上位精霊でフェリーゼっていうんだ。俺が最初に出会った精霊さ。そんなに上位の精霊って珍しいのか?」


「あぁ。ワシが最後に見かけたのは人外戦争の時だからな。ここ千年は見かけていない」


 上位精霊に会うのってそんなに珍しいんだ。俺って案外、リアルラックが高いのかもしれないな。ゲームをしているときは物欲センサーが発動して、レアアイテムとか全然出なかったのに…。


「ソラ。ワシが何か手伝えることがあるならいいなさい。ワシは動けないが、他のトレントに頼むことは出来る」


 トレントにお願いしたいことなんてあるだろうか? いや、あるな。俺はエンデに早速、頼むことにした。


「エンデ。じゃあ早速だけど、トレントがギリギリ持てるくらいの大きさの岩石を複数の箇所に集めてほしいんだけど、お願いできる?」


「あぁ、明日にでも頼んでみよう。そろそろ、ワシは寝る。ソラも休みなさい。眠れなくても休憩は必要だ」


「分かった、休むよ。エンデ、おやすみなさい」


「あぁ、おやすみ……」


 フェリーゼとの再会で、俺のスローライフが危うくなってきた。ガラガラと崩れる音がしそうなのは気のせいではなさそうだ。だけど、事前に人間の脅威を知れたことはありがたい。

 魔法の訓練も人間相手を想定した方が良さそうだ。時間が空いた時にラピスにお願いしよう。

 俺は畑の脇にある切り株に座り、エンデの言う通り休むことにした。樹々と葉の隙間から見える星空を眺めながら、好きだったアニソンを口ずさんで、思考を放棄することにした。

フェリーゼ来訪、いつの間にか眷属になってました。登場人物が少なかったので、短めになりました。

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